8/1トフィーノ(ホエールウォッチング)
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*8/1トフィーノ(ホエールウォッチング)曇り後晴れ*

 さて今日は、ホエールウォッチングツアーに参加しなければならない。朝食までの間、適当に身支度を済ませた。8:30になったので、朝食をとりに一階のキッチンにいったら、既に他の宿泊客である2組の華族が席に着いていた。宿のばあさんに「おはよう。」と挨拶すると、一番奥の座席に座りなさいと言われたのでそこに座った。席にすわると、ばあさんが他の客に俺のことを紹介し始めた。
「みなさん、彼がB−Yです。B−Yいい?彼が、XXX、その隣が△△△、次が○○○、全員覚えたわね?」
そんな、いきなりベラベラといわれたって一度に覚えられるわけないだろうと思いながら、適当にへらへらと笑いながら、改めて自己紹介をした。
「どうも、B−Yです。日本から来ました。」
すると、2組の家族も簡単に自己紹介をしてきた。一つ目の家族はロンドンから来たというので、
「おおー、イングランドですね。ベッカム、オーウェンがいますね。」とつい先月ワールドカップが行われたからサッカーの選手を口にだしたら、ニコニコとわらってくれた。考えてみるとこの旅で、どこから来たのかと聞いて、ワールドカップに出場した国だとわかるとサッカー選手を口走っていたような気がする。話題が見つけれらないので適当にそういってしまっているのだ。もう一つの家族はエドモントンから来たといったので、「クローンダイクフェスティバル!がありますね。」と話し掛けた。みなそれぞれ小学生位の子供連れできていた。朝食のメニューはフルーツさらだにヨーグルト、トースト、あとタマゴ料理(エッグパイといったらいいのか?)であった。みんなばあさんの手作りだ。飲み物はオレンジジュース、ミルクとコーヒー。他に紅茶かココア、ホットチョコレートもあるから、希望があるなら言ってくれとばあさんが言ってきた。俺はとりあえず、テーブルにあるオレンジジュースとコーヒーでよかったので、それにする事にした。ばあさんがオーブンで焼いたタマゴ料理はなかなか美味かった。薄いタマゴ焼きの間にひき肉やタマネギが入っている奴だ。カナダに来て、朝食といったらどこかのカフェでのポテトたっぷり付きの目玉焼き、マックでの朝食セット、サンドイッチだったりしたので、こういった手料理はとても新鮮に思えて感動してしまった。B&Bも悪くないなと思った。ホテルとはまた違った感じがする。なんといっても普通の民家を開放しているところがいい。他の客は国は違えど、同じ英語圏なので会話をしながら楽しそうに食べている。言葉が通じるというのは羨ましい限りだ。一人ぽつんと食いに集中してるのも、なんだかマナー違反のような感じがしたので、会話のなかで適当に相槌をうちながら参加してるフリをした。(当然、会話の内容など聞いていない。というかあまり理解できない。)しかし、たまに俺の方に話を振られるとどきっとしてしまった。9:00を過ぎても、まだまだ2家族は朝食を楽しんでいた。俺は、どちらかというと早食いなので、一人での朝食では10分くらいで済ましてしまう。まあ、今回はみんなと付き合う形でゆっくりとしてたけど、さすがに30分も立つとおなか一杯になってしまった。コーヒーとか飲む余裕はあるけど、これからホエールウォッチングツアーにでて、2時間近くトイレにいけなくなるから、あまり水分は取らないように心がけた。だから、手持ち無沙汰でしかたなかった。それでも2家族はゆっくりとコーヒーを飲みながら会話をまだ楽しんでいた。俺はぼちぼち出かけなければならないので、腕時計を指差し、
「すいません。9:45までに行かなければならないことがありますので、失礼します。」と皆に伝えて、朝食を切り上げた。部屋に戻って荷物を準備し、階下に下りたら、まだ彼らはテーブルから離れず会話に花をさかせていた。しかし、彼らはよくくつろいでられるなと考えてしまった。欧米の朝食はこんなに時間がかかるのであろうかと。とりあえず彼らに手を降り、宿を出てツアー会社のオフィスへ向かった。

 ホエールセンターに到着し、カウンターで昨日受け取ったレシートと自分の名前を告げた。スタッフは予約されていることを確認すると、奥の方を指差し防風&防水スーツに着替えてくれといった。店の置くにはハンガーにツアー用のスーツが沢山ハンガーにぶら下がっていた。俺がなるべくきれいなスーツを探していると、スタッフの一人が「あなたのはこれよ。」となんだか薄汚いスーツを用意しやがった。


これが、ホェールウォッチングに使用される防寒スーツ。救命胴衣も兼ねているらしい。まるで宇宙服のようだ。生地はとても分厚く歩いてるだけで汗だくになってしまうが、船に乗ったらこのスーツ無しではいられないほど寒かった。


文句を言ってもしかたがないので、スーツを受け取り外で着替えることにした。着替えるといっても、そのスーツを今着ている服の上に着るだけなのだが。スーツの色は赤色で、なんだか宇宙服のような分厚い感じであった。さて、着替えが終わったのはいいのだが、これからどうしたらいいのかわからんかった。とりあえず、9:45までにはツアー会社の前に集合した。店の前でうろちょろしてたら、スタッフがやってきて、「この道をまっすぐに行ってくれ。」といわれたので、そこへ向かうことにした。幸い、俺のすぐ近くに同じツアーに参加する俺よりも背の高い女性が居たので、一緒に行くことにした。しかし、この分厚いスーツを着てると非常に歩きづらいし、ものすごく蒸れて暑いのだ。2〜3分も歩けば汗が出てくる。一緒に居た、女性もたまらなく暑いらしく、
「まるでダイエットが出来るわね。」と話し掛けて来た。お互いに暑くてたまらんから、上半身部分だけ脱ぐことにした。
「まるで、宇宙服みたいなスーツだな。」
「ははは、まさにその通りね。」
彼女はきちんとボートが発着する場所を知っていたので助かった。彼女が居なければ、迷子になってたかもしれん。メインストリートを横切って、坂道を下り港についた。そこから狭い階段を下りて桟橋を渡って、ツアー会社のボートに到着した。ボートはFRP製の小さなモーターボートであった。操舵手が愛想よく挨拶をツアー客にしていた。ボートの前に10人位集まると、操舵手が
「これで、全員かな?一番前の座席はかなり、前後に揺れるからそのつもりで。」
と腕を上下にジェスチャーしながら言うので、俺は後ろの席に座ろうとすると背の高い彼女が
「私達は一番前に乗りましょう。」と言い出した。
「まじ〜。」と思い他の客をみると、赤ん坊をつれてたり小さな子供連れが多かった。仕方がないので、一番前の座席に座ることにした。ボートの座席は木製の背もたれのついた長いすであった。もちろん、クッションやシートベルトなどもない。ボートに乗ると海風があたり、結構寒く感じてきたので先程暑くて上半身脱いでいたスーツをビチッと着込むことにした。全員が乗船すると、ボートはゆっくり動きはじめた。操舵手は舵をとりながら、この辺に生息するクジラの事について説明を始めた。グレイホエール(コククジラ)というのが生息しているらしい。あんまり良く聞き取れなかったが、夏の間クジラがアラスカまで北上するのかアラスカから南下するのか知らんが、3000キロ位かけて移動し、ちょうどこのあたりを通過するといっていた。ホエールウォッチングをしてるツアー会社もトフィーノには15もあると教えてくれた。

 突然彼女が手を降り始めた。なんだろうと思い、手を振ってる方向を見ると、赤ん坊を抱えてた男性が手を振ってるのが見えた。
「旦那さんと、お子さんですか?」と尋ねると、
「そう、子供はまだ生まれたばかりだから、このツアーに参加させなかったの。」
ここで、彼女とお互い自己紹介をした。彼女はカルガリーからやってきたそうだ。旦那さんと子供が視界から消えると、彼女はまるで初めてボートにでも乗ったかのようにわくわくとはしゃぎ始めた。見るもの全てが嬉しくて仕方がないようだ。
「みてみて、カヌーよ。ほら、みてパフィンがいるわ。」何かあるといちいち俺に報告をしてきた。俺は落ち着きながら彼女の報告に適当に相槌をした。ボートがあるていど、桟橋から離れると、一気に全速力で加速をし始めた。するとボートの先端は「ぐわっ」と持ちあがった。背中にずしっと長いすの背もたれに背中が食い込むような感じがした。そして、風をモロに浴びるのでとても顔面がとても冷たい。ここでさっきまで、くそ暑くてたまらんと思ってたスーツの効力が発揮してきた。空はどんよりと曇っていた。風があるせいで波も少々高く、ボートが波を突っ切ると、勢いあまってジャンプをするのだ。そしてふわっと浮いた感じがしたと思うと「ばしゃっ」とボートが海面上に落ちその衝撃が結構ひどくて仕方がなかった。まるでジェットコースターに乗ってるような感じだ。長いすの両端にある手すりにしがみついてないと振り落とされてしまう。これが最初に操舵手がいってた、前後に思いっきり揺れるよといってたことがわかった。カルガリーから来た彼女も波を突っ切るたびに「キャーキャー」いいながら、俺のふとももや背中をバシバシとひっぱたいてきた。大きな波を突っ切るほど、それがジャンプ台となり滞空時間が長くなり、海面に落ち時の衝撃も大きい。子供の頃公園のブランコに乗った時に味わうあの股間から下腹部に走る響きを味わってしまうのだ。しかも俺はこの時ちょっと痔になっていたのだ。エドモントンに滞在したあたりから、何故か知らぬが下痢に悩まされていた。しかも水のような便で一日に何度もトイレに駆け込んでいた。おまけにカナダのトイレットペーパーは日本と比べるととても固くてまるでわら半紙のような紙質なので、そんな固い紙でなんどもケツを拭いてると、その内出血してきて痔になってしまったのだ。だから、海面にボートが着地する際は何故かケツに力が入って痛みを感じ、そして着地の衝撃で、またケツに痛みが走り、おまけに彼女のバシバシというひっぱたき攻撃でふんだりけったりであった。最前列の二人でギャーギャーわめいていたので、操舵手は笑いながら、
「おーい、前の二人大丈夫か?」と声をかけてきた。
「シートベルトないの?」というと、ボート上で笑いが起きた。しかし、後部座席では笑いが起きてたが、うちら二人は必死であった。なるべく心の準備をしておこうと、波が来るたびに
「波、波、波!」と叫んで少しでも恐怖感をやわらげようと一生懸命叫んだ。

 やがて、ボートは減速体制に入った。クジラでもいるのかな?と思いあたりを見回した。しかし何もいない。ボートはゆっくりと移動しながら、岩礁のあるところに近づいてきた。なにやら、動く物体がある。デイパックから双眼鏡を取り出しよーくみると、アザラシの群れであった。海面から突き出た岩礁の島にはたくさんのアザラシが群れていた。


おっ、なんだか岩にナメクジのような物体が...

いたいた、アザラシが。何頭か、海面に入りながらこちらに向かっていたのもあった。


時おり、何頭かが海面にもぐったり、頭だけを海面からだして、こっちに向かってくるのがわかった。隣に座ってる彼女にも双眼鏡を貸してやった。彼女は嬉しそうにそして食い入るようにあざらしを眺めた。ボートは少しづつその群の岩礁に近づき、肉眼でもはっきりわかるくらい近づいた。ボートの下でも、もぐって泳いでいるアザラシがはっきりとわかる。色からしてゴマフアザラシのようであった。目がくりくりとしてるのもはっきりわかり、とても可愛かった。水族館で見たことはあるが、野生のアザラシは今回が初めてであった。

 20分位そこに滞在して、ボートは次なる場所を求めてまた全速力で走り出した。ボートはそして、海岸線の見えるとある場所で減速し適当にその辺を移動し始めた。周りを見ると、他のツアー会社のボートが点在してるのがわかる。どうやら、この辺がクジラの出るポイントらしい。しばらく漂ってたら、隣の彼女が「見て、クジラよ。」と教えてくれた。
「えっ、どれどれ?」とその言われた方を見ても、なにも居なかった。ようやく海面から、「ブシュッ」といった水蒸気みたいなものがあがったのがわかった。


んん?「ぶしゅっ!」と音が聞こえて、何だか水蒸気みたなものがあがったぞ...

おっ、いたいた。クジラが海面にでるのはほんの一瞬なので、決定的瞬間をつかむのが一苦労...


クジラの潮吹きだ。マンガで見る噴水のような潮吹きではなく、霧吹きのような感じである。当然のことながらクジラは移動しながら潮吹きをしてるから、同じ場所では起こらない。注意深く周辺を見渡しながらが観察するのがコツだ。ボートも潮吹きを確認すると、その方向へ少しづつ移動をし始めた。操舵手も長年の勘でクジラに近づくように追跡してるようだ。あちこちで潮吹きが起きた。どうも1頭だけではないようだ。ボートはどれか1頭に的を絞り、少しづつ近づき始めた。やがて、潮吹きの他にクジラの背中も確認できるようになってきた。まだ距離があるから、どのくらいの大きさかわからないけど、それでもクジラが見えたということだけでワクワクしてきた。たまにクジラの尾びれが見えた。なんかの本に書いてあったが、尾びれが見えるということは、これから深く長いあいだ潜水する時に見せるという。

 しかし、クジラの出没はまさに神出鬼没である。昔はやった、もぐらたたきのゲームのような感覚だ。どこから現れるかさっぱりわからない。だいたい平均してクジラの背中がみえるのがほんの数秒だから、全神経を集中させて食い入る様に海面を見つめ続けた。彼女が突然胸に手をあて、
「おー」と驚いた仕草をみせた。
「どうしたの?」というと、
ボートのすぐ真下を悠々と泳ぐクジラの姿をみて、びっくりしたといった。何々と思いながら海面をみると既にクジラはいなくてどこにも見当たらなかった。


なんだか、こうみると小さな島みたいだな。

パフィンもいました。

 

段々近づいてきた。

海草を背中に乗せて浮上してきました。

 

おお〜、びびった〜。いきなり目の前に現れるとさすがに驚いてしまいます。


すると、今度はボートのすぐ真横で、クジラの背中が「ぬおー」っと姿をあらわした。
「で、でかい...」
なんだか鳥肌がたってきた。テレビではクジラというのを見たことはあったが、実際生でみると実感が全然違うではないか。おまけに「ぶしゅ」っと息継ぎの音も目の当たりに感じる事もできた。恐るべしクジラ。クジラは海面で息継ぎをしたあと、ボートのしたを泳ぎ始めた。その光景もすごすぎた。今回のクライマックスであった。


さらば、クジラ君、存分に楽しませてもらった。


 クジラを十分堪能した後、ボートは別の場所に移動した。移動した先は、岩礁帯にたくさんのトドが生息する場所であった。


トドの皆さんはお昼寝中でありました。

アメリカの国鳥ハクトウワシ。木の上に乗っかってます。(画像をクリックすれば、拡大画像がみれます。)


先程のアザラシとは違って、活発に動き回ってるトドはおらず、みんなごろんとヨコになり昼寝をしていた。たまに、トド同士でいざこざをしてる場面もあった。ツアーも時間が押し迫ってきたので、このトドを見た後、港に戻ることになった。帰り際、木の上に巣を作ってる白頭わしを見ることができた。アメリカの象徴ともいえる、この鳥は現在絶滅に瀕するくらい、数が減少してるらしい。

 約2時間のツアーは無事終わった。港につくと釣り人がサケをさばいていた。サケ茶漬けが食いたくなった気分になってきた。

 ツアー会社の事務所に防寒&防風スーツを返却しに行った。事務所をでると、隣に座っていた彼女が握手を求めてきた。おかげで楽しかったといってくれた。まあ、二人で一番前の座席に座り大の大人が、ギャーギャーわめいているうちに何か情が芽生えたのであろう。俺も、一緒にツアーに参加できて楽しかったと礼をいいながら握手をした。近くに迎えにきてた、彼女の旦那さんにも軽く会釈をして、その場を離れることにした。

 さて、ちょうど昼時だったので、どこかで飯でも食おうと一人町中をぶらぶらと歩きはじめた。何件かレストランの前にあるメニュー表を眺めながら、何を食うのか悩みまくった。んで、結局昨日晩飯を食べた、中華料理屋にすることに決めた。迷った時はやっぱり中華が一番いい。店に入り、昨日と同じ場所のテーブルに座った。チャーハンは飽きたので、カレー定食を注文した。チャイニーズティーを飲みながら、外の景色を見てると、とてもいい天気になってきた。天気がいいので、午後は宿のばあさんがお薦めの場所と教えてくれた、トンキンパークビーチに行くことに決めた。地図をみながら、午後の行く場所の予習をしていたのだが、注文していた料理が全然運ばれてこない。俺の後から来た、となりに座った中年の夫婦の方が先に運ばれてくるありさまだ。俺がギロリンコと隣の客に料理を運んだウエイターをにらみつけてるとその夫婦の旦那さんが、
「中華は出てくるのが遅いね。うちらはウエスタン料理だから、君より早く来てしまった。すまんが先に頂くよ。」と言ってきた。
「確かに遅い。どうぞどうぞ召し上がって下さい。」
と内心少々むっとしながらも、表面上は笑いながら言い返した。

 やっと、注文した料理が来たので食べることにした。昨日も来た為、店員が覚えていたのか箸も付いてきた。カレー定食といっても、カレーライスではなく、別々に分かれていた。茶碗にご飯、丼に野菜と肉が沢山はいったカレーであった。カレーというより、カレースープといった方が近いかもしれない。しかし、このカレー、味は悪くないんだけど。めちゃくちゃ熱いではないか。俺は猫舌ではないんだけど、しばらく冷まさないと、口に入れることができないので、料理を目の前にしながらも5分以上お預け状態となった。ようやくカレーが少し冷めて来たので食べることにした。でもカレーとご飯を別々に食べるというのはなんだか少々違和感を感じてしまった。誰も居なければ恐らく茶碗のご飯をカレーの入った丼にぶち込んで食べてしまうのであるが、食事マナーの厳しい異国の地でそういう事をするのは気が引けてしまうので、最後までカレーとご飯を別々に口にしながら食べ終えた。まあ、味は上々だったのでこれでよしとしよう。食後、請求書を申し出ると、餃子を皮を油であげたようなお菓子がまた運ばれてきた。昨日は何も知らず、ぼりぼりと食ってしまったが、今日は気をつけてかじり、先に中に入ってるおみくじを取り出してから食べることにした。そうしないと、昨日の時みたいに紙がちぎれたり、お菓子で汚れまくるからね。

 食後はトンキンパークビーチに行く為、町の南の外れまでひたすら歩いていった。一番通りをずっと歩き続けていき、町から遠ざかるにつれ、家が少なくなってきた。すぐ近くがうっそうと生い茂る森になっている。家も木々にさえぎられていて、正面までにいかないと建物が見えなかった。普通の一軒屋よりB&Bの宿の建物が多かったような気がした。やがて道は行き止まりになり、トンキン・パークの看板が立っていた。


アスファルトの道路が行き止まりになると、トンキン・パークへの入り口の看板がり、ここから、うっそうろ生い茂る森の中へ入っていきます。


行き止まりの為、車が何台も路駐してあった。みんなここから徒歩で向かっているようだ。道路の片隅に、トンキン・パークに行く為の遊歩道があったので、そこに入り歩いていった。


入り口に入るとこんなぶっとい木が沢山あります。

森の中は、まるでジャングルのようでした。

トレイルコースはちゃんと整備されているので、非常に歩きやすいです。でもちょっと草木が邪魔ですが...


道路からすぐ森になっているため、遊歩道に入ると太陽が木々にさえぎれれて一気に暗くなった。レインフォレストと呼ばれるこの辺は気候的に雨量も多く湿潤の為木々の生長がすさまじい。出会う木々がすべて大木のようにぶっとい。また、この辺の森の中にはクマやクーガーが生息してるので少々怖かったが、何人も遊歩道を歩いてる人たちがいたので、少し安心した。15分位あるくと、砂浜が見えてきた。砂浜に出る直前の草むらに、焚き火といかにもテントを張ってキャンプをした後があった。よくまあ、クーガーやブラックベアが生息してるところで、キャンプが出来るものだと感心してしまった。俺にはとてもじゃないが、そんな無謀なまねは出来ない。


森からでると、きれいな海岸が目の前に広がります。

たまりませんな〜。

B-Y is here!俺はここにいる。


 砂浜に出ると、まぶしい太陽の光がたくさんそそいできた。とりあえず、波打ち際まで歩いていき、その辺に打ち上げられた流木に腰掛けて、のんびりくつろぐことにした。青い空に青い海、砂浜はひたすら続いてるのではなく、200M位の幅で両端の岩礁帯にはさまれていた。真夏の江ノ島の海岸のような喧騒さは全くなく、人もまばらであった。10人位だろうか?海水浴をしてる人は居らず、フリスビーで遊んでいる人、流木を背もたれにして読書をしてる人、犬を放し飼いにして散歩をしてる人、日光浴をしてる人、貝を拾ってる人、岩礁で釣りをしてる人等など。俺はそんな人たちの行動をぼーっと眺めていた。それだけでも十分楽しい。退屈という感じがしてこないのだ。なんだか、ここはなんの変哲もない砂浜の海岸であるが、時間の過ぎ去りを忘れさせてくれる心地よい空間であった。

 ふと、空を見上げると一頭の白頭ワシが翼を思いっきりひろげて悠々と旋回していた。そんな光景を見れただけでも嬉しくなってきた。はっきりいってトフィーノはめちゃくちゃ気に入ってしまった。もともとはホェールウォッチングをする為に訪れただけであったのだが、昨日から町中を散策したり、夕日を眺めることが出来たりと、のんびりと過ごすのにはぴったりなところだ。まさに「たそがれる町トフィーノ」「癒される町トフィーノ」とでも行ったほうがいいだろうか?人生に疲れたとき、ここを訪れればいろんな意味で休息や元気を与えてくれるような気がしてならない。逆にアウトドアやマリンスポーツ派のアクティビティな人達にとってもうってつけな場所でもある。フィッシング、カヌー、ホェールウォッチング、温泉やハイキングなどもできる。それらを満たすショップやツアー会社もあり、行動派の人たちも満足できる町だ。静と動を両方兼ねそろえてる不思議な所だ。

 宿のばあさんに、勧められて何気なくきたトンキン・パークはとてもよかった。こんなすばらしい場所を教えてくれたので宿に戻ったら礼を言っておこう。段々海風が強く肌寒くなってきたので、宿に戻ることにした。

 再び、うっそうと生い茂る森の中にはいり、途中、立ちションをして、来た道を戻ることにした。しかし、この町はやたらとバックパッカーが多い、公園などには何人ものバックパッカーがたむろをしていた。

 町中でアイスクリームを食うことにした。歩きつかれたときにはやはり、甘いものが欲しくなってしまうからだ。注文システムも理解したので、もう店員に嫌な顔をされず、スムーズにオーダーが出来た。

 土産屋に2軒程立ち寄った。少々がさばってしまうが、フリースのジャケットを購入した。レジにもっていくと、陽気な店員が話し掛けて来た。
「今日はどこに行って来たのかい?」
「ホェールウォッチングに行ってきたよ。」
「そいつはいいね。どこのツアー会社で?」
「ホェールセンターのツアーです。」
「あ〜、じゃあ、こんな感じだったろ。」とその店員は腕を上下にさせて、ボートがやたら飛び跳ねるジェスチャーをした。まさにその通りだ。どうもそこのボートは飛び跳ねる仕様で有名のようだ。
「その通り。ジェットコースターみたいな感じでした。」
「グレイホエールやシャチはみれたか?」
「クジラはみたけど、シャチは見れなかったよ。」
ちなみに、ここの土産屋もホエールウォッチングのツアーを企画してるとの事であった。そんな会話をしながら会計を済ませた。購入した、フリースは思いのほかがさばり、大きな紙袋を持たされることになった。
「(バックパックに入るだろうか?)」
購入してから、ちょっと後悔してしまった。

 宿に一旦戻ると、宿のオーナー夫妻がちょうど食事をしてるところであった。
「あら、B−Yお帰り。夕食は済ませたの?」
「これから、食べに以降と考えてます。」
「クジラはどうだった?」
「ばっちり見れましたよ。凄すぎでした。」
「トンキンパークには行ったの。」
「午後から行ってきました。天気もよく、とても素敵なビーチでしたよ。教えてくれてありがとうございました。あっ、シャワー使っていいですか?」
「どうぞ、どうぞ。」
俺は一旦2階の自分の部屋に行って、荷物を置きシャワーを浴びに行った。やっぱりバスタブ付きはいい。ちょっと浅くて、使いづらいけど湯に浸かるというのは日本人のスタイルに合っているし心地よく疲れてがとれる感じがしてならない。頭にタオルをのせて
「いや〜極楽極楽」と一人つぶやいてしまった。

 シャワーを浴びた後、部屋に戻りベッドの上に横になってくつろいだ。一人では十分すぎるほどのスペースだから腕を真一文字に広げても大丈夫だ。そんなことをしてたら、睡魔が襲ってきて爆睡してしまい、再び起きたら夜の22:00を過ぎていた。
「しまった〜、寝過ごしてしまった。晩飯も食ってないし、夕日も見逃してしまった。とほほ...」
しょうがないから、バックの中から携行食で持参してたチョコとミネラルウォーターで我慢し、朝までこのまま寝ようとしたら、今度は中々寝付けないではないか。夕方から中途半端に寝てしまったので、睡魔が一向に襲ってこなかった。適当にラジオや本を読みながら時間を潰していたら、夜中の1時をまわってしまった。タバコがすいたくなったので宿の外にでた。空を見上げると満点の星空が輝きとてもきれいだった。天の川まで見えた。タバコを吸い終え、宿の中に入ろうと玄関のドアを引いたら、ドアが開かないではないか。「あちゃー、もしかして自動ロック?カギなんかもってないしなー」と、途方に暮れてしまった。まさかこんな夜中に呼び鈴ならして、宿のオーナーを起こすわけにはいかんし...。んー、でも待てよ。確かこの宿は24時間出入り自由のはずだから、カギなんかかからないはずだ。引いてだめなら押してみろということでドアを押したら、何のことはなく素直に開くではないか。ここのドアは押しドアなのであった。

 下らんことに神経を使ってしまったので、どっと疲れが出てきて、再びベッドに戻ったらぐっすり寝れることができた。

 もう少しのんびり、この町に滞在したかったけど。明日はバンクーバーへ行くのだ。

(つづく...)

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