7/28カナディアンロッキードライブ2
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*7/28カナディアンロッキードライブ2(晴れ時々雨)*
 サンワプタ峠を過ぎると下り坂になった。ここの途中のビューポイントは必ず立ち寄りたいところだ。


とあるアイスフィールドパークウェイ沿い。

サンワプタ峠の途中にあるビューポイント。ここからの眺めは絶景だ。
ただただ、ため息がでるばかりです。はぁ〜。
ブライダルベール滝。上記のビューポイントのすぐ近くにあります。(同じ駐車上から見えます。ビューポイントの左側。)この滝の写真をとれば、2年(3年だったかな?)以内に結婚ができるという言い伝えがあります。

 下りが終わるとビッグベンドというおおきなカーブを走る。サンワプタ峠を登る際スイッチバックでしかできないのを、あえて大きく迂回して一気に登るという設計にしたらしい。

 しばらくしてる内にアイスフィールドパークウェイ上で数少ない休憩所であるサスカチュワンクロッシングに到着した。ここは93号線と11号線が分岐してる場所。食事、ガソリンを補給することができる。昼飯を食べてなかったから、ここで休憩を取ることにした。カフェテリア風の店内に入ると、中途半端な時間のためか、食べるものがほとんど置いてなくてがっかりしてしまった。変な甘い菓子パンみたいな奴はあったが、見た感じがあまり食欲をさそうような食い物ではなかった。適当に土産物屋を見学し、ビスケットやスナック菓子とミネラルウォーターを購入した。周りの人のアイスを食ってるのを見て、俺も食いたくなり タイガーなんとかというアイスを頼んだ。タイガーといっても黄色と黒ではなく、オレンジ色と深緑色がマーブル状になったアイスだ。味はなんだか忘れてしまった。まずくは無かったことは確かだ。

 車の中で、スナック菓子の袋を開け、ぼりぼりと食いながら運転をすることにした。スナック菓子は日本で売ってるドリトス。このスバイシーな味がいい。腹が減りまくってたので、ドリトスは一気に食い終わってしまった。それでも物足りないから、ビスケットの袋をあけてこれまたぼりぼりと食いまくる。ビスケットは塩味のしょっぱい味であった。しかし1/4位で飽きてしまい食べるのはやめることにした。


ひたすらつづくハイウェイ。ここまでは天気がよかったんだけどね。


 ウォーターフォウル湖あたりで、雲行きがあやしくなり雨が降り始めてきた。おまけに霧もでてきたから、景色が全く楽しめない状態だ。

 再び急な坂道にぶちたった。ボウ峠だ。ここを上りきって右折をするとペイトレイクに行くことができる。ここも8年前に行ったが、せっかくなので見に行くことにした。駐車場に車を停め、歩くこと約15分。ちょっとした展望スペースから綺麗な湖が見渡せた。


ペイト湖。ボウ峠に看板がでてるので、まず迷うことはない。駐車場から歩いて10〜15分位で展望台に出れる。深緑色の森にエメラルドブルーの色が一際映える。外せないポイントだ。
ペイト湖の左手には氷河を抱いた山々が。ここの雪解け水がこの湖に流れてくるようだ。
左側から灰色の泥水となって流れてるんだけど、湖に流れ着くと何故かこのような色に変化をするのが不思議でなりません。
ペイト湖へ行くまではちょっとしたハイキングコースを歩いていきます。道脇には小さな花が沢山さいていました。


 ここの湖は天気や時間帯によって色が変わるとガイドブックに書いてあった。ベストタイムは朝方がいいらしいという。水の中に様々な不純物が光に照らされることにより色を変えていくという。夕方に近い為、見物客はそんなにいなかった。20分位して、また出発することにした。

 しかし、天候の移り変わりが激しい、車に乗ると雨がまた降り始めてきた。ペイトレイクからバンフ方面に向かう途中にボウレイクがあるが、雨のため通過することにした。


ペイトレイクを出発すると、雲行きが...。
ボウレイクでまたまた雨が降ってきた。そんな訳で、ここは素通り。


 しばらく走り続けると高速道路のようなジャンクションが見えてきた。ここがレイクルイーズジャンクションである。アイスフィールドパークウェイの93号線はここで終わり。ここからはトランスカナダハイウェイの1号線になる。ここから有名なバンフまでは約50kmの距離だ。今回はバンフまではいかず、時間も遅いのでレイクルイーズでキャンプをすることにした。地図を見ながら、キャンプ場に向かい、日本の高速道路の料金所のようなオフィスの横に車を停めた。料金所にはパークスカナダのユニフォームを来た、若い姉ちゃんがニコニコしながら出てきた。
「テントサイトありますか?」
「大丈夫よ。一人?」
「そうです。」
「テントは張るの?」
「もちろんですよ!」
「残念ながら、ここはテント禁止なの。テントをはるなら別のキャンプ場を紹介するわ。」
はぁ?っと思った。8年前ここに来た時は堂々とテントが貼れたのだ。しかもなんでキャンプ場なのにテント禁止なんだよ。わけわかんねぇなと思い、
「何でキャンプ禁止なの?」
と尋ねると、彼女は事務所の窓ガラスに張ってある一枚の紙を指差した。よく見ると、クマがごみばこをあさってる写真であった。


キャンプ場の受け付けでもらった、クマに関する記事と注意事項。画像をクリックすれば拡大画像がみれます。


「ご覧のように、このキャンプ場に最近クマが出没から危険の為テントを禁止してるの。」
なるほど、それならば仕方がないなと思った。テントじゃ、あのクマの鋭い爪で引っかかれたらいとも簡単に破られてしまう。考えてみればここは「Bear's Country」なのだ。人間がわざわざクマのエリアに入り混んでいるのだ。大自然の中では、すばらしい景色を堪能することもできるが、そのすぐ裏腹にはこうした危険も沢山抱えてるのも認識しなくてはならないと感じてしまった。
「わかった。じゃあ、テントは止めにするよ。その代わり車の中で寝ることにするから。それならば問題ないでしょ?」
俺はどうしてもここのキャンプ場に泊まりたかった。レイクルイーズの麓だからアクセスもしやすいし、すぐ近くには、スーパーのあるちょっとした町もある。それにここのキャンプ場はシャワーも完備されてるからなおさらであった。2日間もシャワーを浴びてないのでどうしても浴びたかったのもあった。ジャスパーの時みたいに、場末なキャンプ場は今回はちょっと勘弁と思ってた。
「車の中で寝るのならOKよ。」
よかったー。まあ、車の中でねるのはちょっと窮屈だが、テントを張る手間を考えれば楽でいい。しかし、あのくそ重い荷物を背負ってカナダまで来たのに、テントを張ったのがたった一回のみというのもちょっとむなしい気がしてきた。料金を払うと彼女からキャンプ場の地図をもらい簡単な説明を受けた。キャンプサイトの場所、料理の出来る場所、トイレ、シャワールーム、キャンプサイトタグなどなど。他にもレイクルイーズ周辺の地図や観光用のパンフレットももらうことができた。一通り説明が終わると彼女が
「ところで、どこから来たの?」
と言って来た。
「日本から。今回は1ヶ月程カナダを旅してるんだ。8年前も一度このキャンプ場に来たことがあるよ。」
「あらそう。あなた英語上手ね。」
「ありがとう。でももっと勉強しないと。」
「問題ないわよ。あなたの言ってることはちゃんと理解できるもの。日本というと神戸から来たの?」
「いや、神奈川県。知ってる?」
おそらく神奈川といってもわからないだろうと思った。
「東京のすぐ近くです。」
「私ね、神戸に友達がいるのよ。一度行ってみたいわ。」
「本当?神戸か〜。綺麗な町だから、是非行ってみてください。」
と神戸には行ったことがないけど、適当に言ってしまった。ふとバックミラーを見ると車が来たので、もっと話をしたかったけど、ここで車を発進させてキャンプ場に向かうことにした。


キャンプ場の地図。すぐ近くにはボウ川が流れている。
キャンプ場周辺の地図も受付でもらえる。
キャンプ場、タウンサイト、レイクルイーズ、モレーンレイク等を巡回しているシャトルバスの時刻表ももらえた。この用紙をもらうまで、そんなバスが走ってるとは全く知りませんでした。


事務所でもらった地図をみながら、自分のサイトに向かった。ここのキャンプ場は結構広く、A〜Mまでのエリアに別れている。今回俺のサイトはCエリアのC5という場所であった。一つ一つのサイトに番号が振ってあるから、簡単に見つけることができた。ここのキャンプ場は車をサイト脇に止めておくことができる。ひとつの区画は結構広く、ピクニックテーブルに焚き火用のコンロも置いてある。

 とりあえず自分のサイトを確認した後、まだ空も明るいから、レイクルイーズに行ってみることにした。キャンプ場を出る時、事務所も丁度店じまいと言った感じで先程の姉ちゃんも帰り支度で事務所にカギを閉めてるところであった。俺が手を振ると彼女もニコニコしながら思いっきり手を振ってくれた。

 レイクルイーズに行く道は急な上り坂であった。8年前自転車で来た時は、あまりにも坂がきつかったので途中で断念をして、ヒッチハイクで行ったものだった。当時乗せてもらった車は後ろに荷台のあるピックアップのバンでその荷台に乗せてもらったのだが、カーブが連続するのでそのたびにゴロゴロと体が転がって痛かった記憶がある。でも今回は車だからそんな苦労もする必要はない。改めて車のありがたみが身にしみてしまった。

 やがて大きなホテルが見えた。これがあの有名な超高級ホテル「シャトーレイクルイーズ」だ。湖側と反対側で料金が異なるらしい。以前は宿泊客でない人も中に入ることが出来たが、今は宿泊客のみしかこのホテルの中に入れないという。


超高級ホテル、シャトーレイクルイーズ。まあ俺には縁のないホテルだ。


 駐車場からレイクルイーズはもう目と鼻の先だ。すぐに、目の前に氷河を抱えた山とエメラルドブルーに色ついた湖が見えてきた。ここの湖も氷河の雪解け水の中に含まれている微細な岩粉が太陽光線を受けて色が変化をするという。
たそがれ時のレイクルイーズ。湖の色は緑色でした。また明日来よう。
レイクルイーズとは1882年にカナダ太平洋鉄道に雇われたトム・ウィルソンという人が先住民のストーニー族のガイド案内で目にしたという。先住民は「小さな魚達の湖」と呼んでいたそうだが、彼は「エメラルド湖」という名前がピッタリだと思ったそうだ。やがて、この湖の名前はトム・ウィルソンが訪れた2年後にビクトリア女王の娘でカナダ総督の妻、ルイーズ・カロライン・アルバータ王女の名にちなんで「レイク・ルイーズ」と改名されたという。湖のほとりになる「シャトー・レイク・ルイーズ・ホテル」もトム・ウィルソンが「比類なき壮観」といった景色の価値を知り、1890年に宿泊施設としてログキャビンを建設したことから今日に至ってる。

 湖周辺は時間的にも19:00を過ぎていたので、人もまばらでひっそりとした落ち着いた感じですばらしかった。人がいない分、この景色を独り占めにできるような感覚に陥り、とても気に入ってしまった。これが昼間だともの凄い人の数でにぎやかで仕方なくなってくる。明日もまた来る予定だったので、適当に湖周辺を散策しながら、引き上げることにした。引き上げる前に関西弁のおばちゃんに何枚か写真を撮ってもらった。

 まだ空も明るかったので、コロンビアアイスフィールドの日本人ガイドがお薦めといっていた。モレーンレイクに行ってみることにしてみた。車だから木場向いたら気軽に行けるのがいい。来た時の道を途中で左折をし、荒れた舗装路を走りながらその湖に向かった。地図でみると結構近いような感じであったが、30〜40分もかかってしまった。


モレーンレイク。水の色がブルーで素晴らしかった。目の前にはテンピークスと呼ばれている山々がそびえ立っている。時間がなかったので、長居ができなくて残念であった。


レイク・ルイーズの半分位の大きさでで、目の前にはギザギザにとがったような山がいくつも連なってる(テン・ピークスというらしい)。ここもカナダの旅行用のバンフレットにロッキーのイメージとして使われてる有名な所だ。カナダの20ドル紙幣にもこの景色が使われている。モレーンとは氷河の堆積物を意味する言葉であるが、実際この湖は南岸の岸壁が崩れたものが氷河に運ばれて出来た湖だという。

 ここの駐車場はとても狭い。20:00を過ぎていても結構観光客の車が停まっていた。昼間だとあっという間に駐車乗が埋まり渋滞となってしまうらしい。ガイドブックによると、景観を楽しむベストな時間帯は午前中と書かれている。だんだん陽もくれて来たので、湖沿いを適当に散策をした。湖沿いには宿泊の出きるコテージなどが建っていた。大きな窓からは、室内の明かりがもれていた。ここも人がほとんどいなくて「凛」と静まり返った雰囲気がいいなと思ったけど、湖沿いのハイキングコースを歩いていたら、逆に心細くなってしまった。湖のすぐ脇は森になっているので、さらに薄暗く、クマとか現れそうな雰囲気だからだ。もっと真っ暗になるまで、景色を楽しもうと考えていたが野生の動物は昼間より夜の方が行動的になると聞いていたので、あまり無理をせず40分位で引き上げることにした。

 再びレイク・ルイーズの町に寄りスーパーで晩飯の食材と酒屋でコカニーの缶ビール500mlを二缶調達した。食材はおきまりの即席ラーメンとチリビーンズやチキンの缶詰、それと翌日の朝食用にマカロニの入ったインスタントチキンスープだ。町なかにあるスーパーはキャンパー達のご用達となってる感じで、結構人がいてレジも行列をなしていた。スーパーから出たあと他の店をちょっと散策してみた。ここはサムソンモールと呼ばれていて、店は真ん中に車が一周できるロータリーの周りにあるだけだ。8年前ここのコインランドリーでシャワーを浴びたのだが、今回は潰れたのかその店はもう無かった。俺の今までの経験だと、コインランドリーには大抵コインシャワーも併設されてるところが多い。長期のキャンパーにとってはこういった店は非常にありがたいと思う。要は衣類を洗濯及び乾燥をしてる間に自分自信も洗濯ができてしまうのだ。結構合理的な店だと思う。

 コインシャワーの店がなかったので素直に諦めて、自分のテントサイトに戻ることにした。外はもうどっぷりと日が暮れてしまっていた。ヘッドランプを取り出してコンパクトストーブ、コッヘルと先程買ってきた食糧をサイト内にある、ピクニックテーブルに置いた。ヘッドランプの光量では物足りないので、焚き火を試みることにした。サイト内には小さなドラム缶を縦割りにした、かまども装備されている。日本のキャンプ場だと、薪は有料となってるが、カナダだと大抵のキャンプ場には直径15〜20cm以上の丸太が「勝手に持っていってくれと」いわんばかりに無造作に山積みにされている。もちろん調理専用場所も設けられていて、ここは雨でも調理ができるように、屋根が設けられ、ばーべQのようなコンロも備えられている。この時は雨も降ってなかったので、コンパクトストーブも持ってるから、自分のテントサイト内で調理をすることにした。ついでに焚き火用に比較的細い、丸太を3本ばかり持ってきて、ドラム缶のコンロに放り込んだ。丸太は野ざらしで置かれてるので、雨がふったのであろうか思いっきり水を吸い込んで湿っていた。そのままでは火は中々つかない。本来であれば、ナタか斧で細かく割って火をつけなくてはならないが、そんな道具は持ち合わせてないので、まずは急いでビールを飲み干した。空き缶にサバイバルナイフを真ん中に刺し、真っ二つに割ることにした。そして、その中にコンパクトストーブ用のホワイトガソリンをたっぷり入れ、コンロの中に静かに置いた。その空き缶の上に丸太を重ね合わせて、火をつけようと考えたのだ。いらなくなった、パンフレットに火をつけて、空き缶の口へ持っていくとホワイトガソリンに火がつき、あたりが少し明るくなった。すると隣のキャンプサイトの車のドアがいきなりガラっと大きな音をたてて開いた。中から中年のおっさんが出てきた。しかし、いきなりガラっとでてくるのでびっくりするではないか。おっさんびっくりさせんじゃねぇと一瞬むかついたら、彼は俺に話しかけてきた。早口で何を言ってるのかよく聞き取れなかったが、何やら、調理をするならあそこにある屋根付きのキッチンシェルターでやったほうが、火もつきやすいしいいぞ。といってるような感じであった。俺はただ焚き火がしたいんだというと、そのおっさんは黙ってまた車の中に入っていった。丸太は水分を吸ってるため、水蒸気の様な煙を吐いていた。しばらくすれば、木に染み込んだ水分も蒸発し丸太に火がつくだろうと思って、食事の準備に取り掛かった。先にフライパンにチリビーンズを缶詰から取り出して火に掛けて軽く炒めた。その後チリビーンズをビールのつまみにしながら、即席ラーメンを作った。即席ラーメンといっても、ミネラルウォーターであるエビアンの水を使って作ったので少し贅沢な感じがしてきた。普段はそんなもったいないことはしないが、キャンプではこうしたミネラルウォーターで時々調理をしたものである。


晩飯は缶詰のチリビーンズを炒めたものと、即席ラーメン。後はビールを飲めばおなか一杯だ。


別にミネラルウォーターでなくとも野外での料理はなんでもうまく感じてしまうものなのだが。ビールも二本目に突入するとおなかいっぱいでだんだん飲むのが苦痛になってきてしまったので、まるで焼酎のストレートを飲むようにちびりちびりと飲みながら晩飯を食べた。やがて雨がポツリポツリと振ってきたと思ったら、本降りになってきてたので、あわてて、テーブルの上にある荷物を車のトランクに投げ込んだ。しかしその本降りはすぐにやんでしまった。車の中に避難しようかと思ったけど、それはやめてピクニックテーブルでビールをチビチビと飲みながら、ホワイトガソリンが燃える火をひたすらながめた。火を見てると何故だか気分が落ち着いてくるのがわかった。一台のバトカーが何故かキャンプ場の中に入りぐるっと一周して、またどこかにイッテシマッタ。キャンプ場も「警察官立ち寄り場所」に指定されてるのであろうか?最後のビールを飲み干すまで、かなりの時間がかかった。結局、薪に火はつかず、ただガソリンだけが燃え尽きたので、車の中に戻ってシートを倒して寝ることにした。明日は天気はよくなるのかな?

(つづく...)

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