7/27ジャスパードライブ
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*7/27ジャスパードライブ(くもり時々雨後晴れ)*
 今日はユースを発たなくてはならない日だ。荷物は昨日ほとんど、片付けてたのでガイドブックとか身の回りのものを片付ける程度であったので楽であった。

 この日のユースは、水を入れてあるタンクのポンプが故障してしまった為、水がでないというハプニングに見舞われた。ジャスパーのユースは水道が引かれてなくトラックから運ばれた水をタンクに貯蔵してそこから引いてるのだ。そんなわけだから、キッチンにいくと洗えない食器が山のように積まれていた。もちろん飲料水用の濾過装置がついてるポリタンクも空であった。コーヒーも飲めないから、自販機からジュースを買って来てそれで朝食をとることにした。今日の朝食はハムエッグ、ヨーグルト、マフィン。キッチンに行くとIさんとOさんが居たので、一緒に食べることにした。

 今日はIさんとのドライブの予定だったので朝食をとりながら簡単に打ち合わせをした。特に遠出はせずジャスパー周辺のドライブだ。後なれない海外での運転の練習を兼ねて起きたかったのもある。日本での運転はしょっちゅう行ってるので問題はないが、左ハンドルでしかも右側通行での運転は約10年振りであるので、どうしても練習をしておきたかったのだ。Oさんも行きたがってたけど彼女はホースバックライディングがあるので断念することになった。朝、10:00までにレンタカー会社に行かなければならないので9:45のシャトルバスに乗ることにした。ついでにOさんをホースバックライディングの所まで送っていくことにした。

 歯を磨きたかったが水が出ないので、朝食時に買っておいたジュースで口をゆすがねばならなかった。なんだかもったいない気がして仕方がなかった。

 ユースのチェックアウトを済まして、シャトルバスに乗り込んだ。シャトルバスには、屋根に荷台が設置されてるので、大きな荷物はそこに置かねばならない。俺のザックはあまりにも重いから、運転手と二人で持ち上げて荷台に載せた。

 レンタカー屋のカウンターに出向き、自分の名前を告げて昨日予約した確認書を提出した。スタッフはノートをめくりながら俺の名前を確認し終えると、カギを渡してくれた。車のナンバーを告げて隣にある駐車場にあると教えてくれた。車のところに行こうとするとOさんが驚いた表情で言った、
「ひぇー、B-Yさん、こんな重い荷物を担いで旅してるの?私じゃ持てないよ。」
彼女は俺がカウンターで手続きをしてる時、あまりにも重そうな荷物が気になってたらしい。そんでどのくらいの重さかと担いでみようとしたら、びくともしないので悲鳴をあげていたのだ。
「ははは、無理だよ。俺でさえものすごく重く感じるからな。多分20kgはあるんじゃないか?」
再び俺はその重い荷物を背負い車のところにいった。しかし、沢山の車が並んでるのでどれだかわからず、しばらく探し歩いてしまった。多分これじゃないかという車の近くでキレースエントリーのボタンを押してみた。案の定「ガチャ」と音が鳴ったので、ようやく探し出すことができた。

 車はシルバーのクライスラー社のネオンという奴だ。車体の形状からして恐らく1600CCクラスであろう。ミッションはもちろんオートマ。CDプレーヤーも搭載されている。ただし、パワーウィンドウではなく、レバーをクルクル回転させながら開閉する手動式であった。トランクに荷物を放り投げ、座席に座ってみた。車体の割には車内空間は割りと広く窮屈さは感じられなかった。ただ残念なことにこのレンタカーは禁煙車であった。窓ガラスにしっかりと禁煙マークのラベルが貼られていた。
「まじかよ!レンタカーでさえ禁煙なのかよ!」
カナダはレンタカーでさえも禁煙という徹底された国だ。喫煙者はますます肩身が狭くなってくる。

 IさんとOさんも乗り込み、「さあ、出発だ!」と年甲斐もなくわくわくしてしまった。エンジンを掛け、駐車場内を慎重に車を走らせた。何故か緊張をしてるのだ。駐車場から車道にでようとすると、いきなりポカミスをやってしまった。ウィンカーではなく、ワイパーを動かしてしまったのだ。これは誰もがやってしまうミスらしい。日本のような右ハンドル車だと、右側にウインカのレバーがあるのだが、ここではウインカーのレバーは左なのである。日本で乗ってる感覚でウィンカーを出そうと右側のレバーを使うと、左ハンドル車ではワイパーのレバーにあたるのである。車内ではIさんとOさんに笑われてしまった...。このくらいはまだかわいいほうであるが、次に行ったポカミスは、左側を走ってしまうこと。特に交差点で右折や左折をする時は要注意だ。カナダやアメリカは右側通行である。ぼーっとして運転すると日本の左側通行感覚で走ってしまうことが多々あるのだ。このときは交差点を左折したのはいいが、案の定左側の道路にいってしまった。しかも前方から車がやってきて始めて気づくという恐ろしいことをしてしまった。最初はなんで前から車が来るんだ?と一瞬考えその後、
「あー、そうだ。この国は右側通行だ!」と慌ててわき道にそれて切り返しを行った。幸いジャスパーのダウンタウンは信号もなく交通量もかなり少ない。これが、カルガリーなどの大都市での運転であったならば、確実に事故っているであろう。初めてレンタカーを借りるなら極力田舎町で借りた方がいいと思う。

 そんな訳で、海外で車を運転する時は左折、右折の際はものすごく神経を使わねばならない。

 Oさんの、ホースバックライディングの場所はピラミッドレイクにハイキングに行った際目の前を通ったので場所がわかっていたので楽だった。


ここがホースバックライディング。真ん中にある絵は顔だけがくりぬかれている記念撮影場所。日本にしかないと思ったら海外にもあるので驚いた。



 ここで、Oさんを降ろしてさっさとドライブに出かけるのもあれなんで、ホースバックライディングの中がどうなってるか気になったりもしたので入ってみた。中はまあ、柵があって馬が居てというごく普通の感じであった。犬や猫も放し飼いにされていて、ここでカナダに来て初めて猫をみた。犬はしょっちゅう見かけてたけど、猫は見かけたことがなかったのだ。

 Oさんと別れの握手をして、ドライブに出かけることにした。ダウンタウンを抜け、一気にアイスフィールドパークウェイにでた。ここは1994年にMTBで走破したことのある懐かしい道路だ。Iさんは、アサバスカ滝を見たいといったが、まずはその先にあるサスカチュワン滝を見てから、アサバスカに向かうことにした。

 アイスフィールドバークウェイに出ると、すぐに料金所みたいなところで停まることになった。いわゆる国立公園に入るための料金所だ。自転車の時はとられなかったが、車だと入場料を徴収されてしまうのであった。料金所のレンジャーが、車内に何名いるのか、いつここに戻ってくるのかと質問をしてきたので、素直に応えた。俺の車は2名の乗車なのでここで24ドルの金を取られた。


国立公園の入場許可証。料金を払うとこのレシートみたいなものを渡され、車のフロントガラスに貼り付けておく。

「ちっ、一人12ドルもするのかよ。高ぇな...」
とぶつぶつ言いながら支払った。金を支払うと許可証とガイドブックをもらうことができた。ガイドブックは薄っぺらい冊子になっていたが、内容はなかなか充実してた。こおアイスフィールドパークウェイ上の観光名所がこと細かく載っていて、距離数と車での所要時間も記載されていた。英語でも中々わかりやすく記載してある。ただタブロイド版並のでかさなのが難点だ。でもまあ、このお金も、こういったすばらしい自然を残す為の管理費だからいた仕方がないと自分に言い聞かせた。

 ジャスパーからバンフを結ぶアイスフィールドパークウェイは全長約300kmのほとんどが一本道である。しかもバンフまでは信号などはない(と思う)交差点も俺の記憶ではない。あるとしたらレイクルイーズにジャンクションがあった位だ。なので、後はただ、アクセルを踏んでひたすら走るのみだから右折左折の心配はない。しかも、この道路一本でカナディアンロッキーの名所をくまなく周ることができる道路なのである。アサバスカ滝、サンワプタ滝、コロンビア大氷河、ペイトレイク、ボウレイク、レイクルイーズ(ここはちょっとこの道路から外れるけど)、それ以外にも数々の名所がてんこ盛に存在している、すばらしい観光道路だ。しかも交通量はほどんど少ない。


ひたすら道が続くアイスフィールドパークウェイ。天気がイマイチで残念...


しかし、ガイドブックにも書いてあったが、交通量がいくら少なくても、危険なことがあるのだ。それは野生の動物の飛び出しだ。それと、その野生の動物を見るために急停車する車。だからあまりスピードは出さないほうがいい。野生の動物といっても、体格のあるエルクや熊なんかがでてきたら、車に乗ってるほうもケガをしてしまう。そんな事を念頭においてあったので俺的には80km位のスピードで安全運転をしてたのであるが、周りの車は違っていた。明らかに時速100km以上で飛ばしているのだ。90km/hで運転している俺はいつも後ろから煽られ、一気に抜かされていった。ちなみにここの道路の制限時速は90km/hである。

 しばらく、景色を楽しみながら車を走らせた。1994年に来た時とは逆の走りではあるが、時折懐かしい場面もしばしば現れた。車のFMラジオを掛けながら、走っていたが30分もすると電波が届かなくなり、聞こえなくなってしまった。

 1時間位でサンワプタパスに到着をした。ここには、アイスフィールドパークウェイ上数少ない食事のできる店がある。土産屋もあり、トイレだけの利用も可だ。ちなみにその他の食事のできるもしくは食料を調達できるのは、コロンビア大氷河、サスカチュワン、レイクルイーズのみである。

 一旦ここで小休止をし、車を右折して1km程言ったところにサンワプタ滝がある。アサバスカ滝に比べれば全然たいしたことがないが、まあ時間があれば立ち寄ってもいいところであろう。


これが、サンワプタ滝。あんまり迫力さが感じられない。1994年に初めてここを訪れた時も、みててなんだかがっかりした。


 

サンワプタ滝は8年前に来た時となんら変わりはなかった。勢いよく水が流れてでているだけ。滝といっても日本の華厳の滝のように高いところから流れ落ちているわけでもなく、ナイアガラの滝のように幅広くものすごい水量が出ているわけでもないので、みてていまいち迫力に欠けてしまう。でも一緒にいたIさんはなかなか凄いと興味心身に眺めていた。適当にここはさらっとながして、次なる目的地アサバスカ滝に行くことにした。

 サンワプタ滝の道路から、アイスフィールドパークウェイに出るT字路では、再び神経を走らせた。日本と同じ感覚でまた逆走してしまう恐れがあるからだ。パークウェイに出れば後は一直線なので、運転が楽になる。

 アサバスカ滝に行く途中で「Goats and Glaciers」というビューポイントがあったので立ち寄ってみた。ここはサンワプタ滝に向かう時に、走り去ったのであったが、その時何台も望遠鏡やカメラが設置されてたので、気になっていたからであった。

 車から降りると、Iさんが望遠鏡を覗いてる人達に何を覗いてるのか質問をしにいった。彼らは目の前にそびえ立つ山にいるマウンテンゴートを観察してるとの事であった。マウンテンゴートとは写真でみると白い毛のふさふさしたヤギの一種で、山岳地帯に生息しているから中々お目にかかることのできない動物である。しかも断崖絶壁のような所にいるという。観測をしてた人が見てもいいよといってくれたのでお言葉に甘えることにした。望遠鏡を覗き込むと、一匹のマウンテンゴートがこちらにケツを向けて突っ立ってるのが現れた。俺もこのときになって、この旅で初めてもってきた双眼鏡を車の中から取り出して、再度確認をしてみた。しかし8倍の倍率の双眼鏡ではなかなか探し出すのが難しかった。ちなみに観察している人たちの望遠鏡は60倍の倍率であった。天体望遠鏡を小さくした感じで、しっかりと三脚で固定されている。もちろんちょっとでも動かせば位置がずれてマウンテンゴートを見失ってしまうから、見させてもらうときは細心の注意を払わなければならない。望遠鏡の向いてる位置を確認しながら、再度自分の双眼鏡でようやくマウンテンゴートを探し出すことができた。しかし8倍の倍率では、ほとんど白い点でしか判明できない。周辺には他に5〜6頭程のマウンテンゴートが確認できた。無論肉眼ではさっぱりわかりません。

 何回か望遠鏡で見させてもらった後、彼らにお礼を言って、ビューポイントに歩いていってみた。



Goat and Glaciersのポイントから見た景色。すぐそばにはアサバスカ川が流れている。天気も少し回復してきました。たそがれるにはいいところ。


 ビューポイントの所に説明文があったので呼んでみた。どうもここは名前の如くマウンテンゴートがもっともよく出没するところであることとわかった。別名「ミネラルリック」とも呼ばれてる名所であった。俺は他にもマウンテンゴートや他の動物がいるのではないかと、双眼鏡で周辺をくまなく探し回ったが何もいなかった。しかし、双眼鏡はとてもいい。ちょっとがさばって重いけど野生の動物や景色を楽しみには必需品だと思った。その後双眼鏡は持ってきてよかったと思うことがしばしばあった。ロッキー観光には欠かせないアイテムである。

 ここでの景色を堪能した後、アサバスカ滝へ向かった。アサバスカ滝周辺はサンワプタ滝のところのように何も店がないので、道路の表示板を見落とさずに注意しなければならない。車を運転してると、景色、野生の動物、看板、他の車等、注意しなければならないことが沢山あるから結構忙しい。案の定俺は看板を見落として通り過ぎてしまった。すぐにUターンをして、右折をして駐車場へ向かった。アイスフィールドパークウェイとは正反対に、ここの駐車場は沢山の車であふれ返っていた。客の回転が早いせいか駐車スペースは簡単に見つけることができたけど。

 車から降りて、早速滝へ向かった。近づくにつれ段々と「ゴー」という音が響き渡ってきた。ここの滝は是非見て起きたいポイントだ。落差は22mと低いがなんといっても水量が違う。サンワプタ滝なんか足元にも及ばないくらいだ。



これがアサバスカ滝。すさまじい水量と轟音。岩を削り取るくらいの勢いである。


 8年前にも来たが、相も変わらずの迫力であった。Iさんもこの迫力に驚いていた。前回来た時は自転車だったため、あまり時間もなかったからうわべだけの観光であったので今回はじっくりみてやろうと思った。


ちょっと離れたところから撮ってみました。


 周辺をくまなく歩いていたら、ある張り紙がはってあったので読んでみた。内容は1ヶ月程前にここでとある男性が滝の中に落ちてしまったらしい。懸命の捜索の中、未だに行方不明だそうだ。ひょっとしたら、まだこの滝つぼの中で遺体がぐるぐると回転しながら存在している可能性もある。そう考えるとなんだかぞっとしてきた。ご冥福を祈るしかない。


アサバスカ滝の出口。狭い岩壁にはさまれていて、いっきに川幅が広くなっている。ここはラフティングのアサバスカ川コースの出発地点にもなっていて、何層もゴムボートが浮かんでいた。初心者コースだから、流れは緩やかでした。


 なんやかんやじっくりと見て回り、最終的には滝の終わりの所までいってしまった。狭い岩壁にはさまれた滝は、いっきに川幅が増したところにでると、またゆったりとした表情に変わっていった。ラフティングの出発地点にもなってるらしく、俺たちが来た時はちょうどいっそうのゴムボートが出発したばかりであった。川の水を触ってみると、氷河の雪解け水であるため結構冷たかった。このとき、まだ風邪が治りきってなかった俺はラフティングのツアーを諦めてよかったと思った。こんな冷たさではまた風邪をひいてしまうからだ。

 ちなみにこの辺の川の水はにごっている。天気がいいと太陽の光の関係で青白い色になったりするが、今日は曇りであるため汚い泥水の色に近かった。Iさんから教えてもらったのだが、水は大半が氷河の溶け水で、その中に細かーい、不純物が沢山詰まってるそうだ。あまりにも細かいから比重が軽い為、水のそこに沈みにくく大量の不純物がそのまま流れていく為にごった色をしているそうだ。とても勉強になりました。


スプレー何とか?(すまん名前忘れた)という場所。名前の如く下から、スプレーのような水しぶきが舞い上がってくる。呼吸をするのも大変だ。しばらくいるとびしょぬれになるからレインウェアが必要(笑)カメラが濡れるのを避けて撮ったが、この場所でもしぶきがまってきます。


 アサバスカ滝は時間をかけて十分堪能した。帰り際、駐車場に向かおうとすると俺に声をかけてきた人がいたので、振り向いたら。昨日、ウィスラー山のゴンドラの駅で会った。パキスタン人のおっさんにあった。俺が驚いて、
「 おおー、今日はアサバスカ滝を観光ですか?」
と言うと
「そうだよ。あれっ?奥さんですか?」
と一緒にいたIさんを見て話し掛けて来た。Iさんはびっくりした様子だったので、俺がこの方は昨日ウィスラー山で会った人なんだと説明をした。
「いえいえ、違いますよ。」
「あー、わかった。彼女ね。」
「いやいや、違うんですよ。」と俺が苦笑いをしながら言い訳をすると、Iさんが、
「たまたま、行き先が一緒だったんで旅してるだけですよ。」と付け加えた。おっさんは更に俺たちのことを突っ込みはじめて、
「 じゃあ、そのうち彼女になるよ。」と言ってきた。俺とIさんはこれ以上なんていったらいいのかわからないので、二人して苦笑いをするしかなかった。おっさんは家族で旅をしてた。
「うーん、凄いね。これ。えーと日本語でなんというんだっけ?忘れちゃったよ。」
「あっ、滝ですよ滝。」
「そうそう、思い出した。滝ね。」
相変わらず、おっさんの日本語は流暢であるが、なれなれしいタメ口な口調がなんだか調子が狂う。おっさんは今ここに付いたばかりでこれからアサバスカをゆっくり観光すると言って、別れることにした。今でも彼の口調が頭の中にこびりついて離れない。面白い人であった。

 アサバスカの観光が終わり、時間が思いっきり余ってるから、エンジェル氷河に行ってみることにした。Iさんは既に行ったことがあるといっていたがもう一度見に行くのも悪くはないというので即決した。

 車をジャスパー方面へ走らせ、料金ゲートを通り過ぎて93-Aという旧道に左折をした。坂道をうねうねと登るが、なんだか一行に付かない。途中見晴らしがいいところがあったので小休止をすることにした。


エンジェル氷河に向かう途中小休止した見晴らしのいいポイント。遠くに氷河を抱いた山が見える。


 車の外にでると、空気がとても冷たく感じた。はるか遠くの山には氷河がかぶさっていた。マウント・エディス・キャンベル・ユースホステルを過ぎ去ってしばらくしたらようやく駐車場が現れた。


エンジェル氷河。翼を広げた天使が舞い降りるようなイメージでそういう名前が付いたらしい。


 駐車場の目の前にはマウント・エディス・キャンベルがそびえ立ち、その右下には左右に広がり真ん中の部分から氷がこぼれ落ちるような感じの氷河が見えた。駐車場からハイキングコースがつながっていて早速歩いていった。コース周辺は以前氷河であったらしく、U字に削られそれに運ばれた大小ゴツゴツした岩が沢山転がっていた。 


エンジェル氷河の真下にある氷河湖。流氷のように氷が浮いてました。

エンジェル氷河のハイキングコース。岩がゴロゴロと沢山転がってました。


 コースは緩やかな坂道だったのでそんなに苦痛ではなかった。30分位で氷河湖に到着をした。

 氷河湖には、まるで流氷のように氷の塊が沢山浮いていた。そしてその氷には土砂が沢山積もっていた。そして上を見上げると、氷河がでーんと構えている。名前の如く天使が翼を広げているような感じのため、この名がついた用ではあるが、俺は男の○○○にも似てるような印象を受けていた...。案の定氷河の先端からは雪解け水が小便のようにシャーシャーと流れ続けていた。


下から見上げた、マウント・エディス・キャンベル。よこしまの様な小さな氷が未練たらしくへばりついてます。これもれっきとした氷河だそうな...。金槌でたたいて叩き落したい心境になってしまった。(そんなことできるわけないか...)


 隣にあるマウント・エディス・キャンベルにも小さな未練たらしい氷河が岩肌にくっついていた。Iさん曰くあれもれっきとした氷河だと教えてくれた。彼女はプロのハイキングガイドを同行でここに来てたので、いろんなことをガイドさんから教えてもらったとの事だった。しばらくため息をつきながら、ずーっと氷河を堪能することにした。先端の氷河をみてると、そのうち崩れて落ちるのではないかと思った。今俺が立ってるところも何十年前までは氷河であったのだから、時間の問題であろう。もう少し行ったところにキャベル・メドゥというお花畑の名所があるらしいが、時間がなくなってきたので、諦めることにした。植物にはあまり興味がないのだ。


氷河湖から下の風景。何十年か前まではここも氷河で埋め尽くされてたそうだ。その為、氷河によって運ばれた岩が沢山転がっていた。その時の氷河で地表が削られU字谷になっている。


ここも十分堪能できたので、ダウンタウンに戻ることにした。

 しかし改めて思ったが車での移動は本当に便利だ。そして、国立公園内は車で移動しないと見れない場所が沢山ありすぎる。特にレンタカーだと、ちょっとしたところでも自分の意志で停まって見ることができるので大変便利だ。同じ車でもツアーのバスとかでは、あまり融通が利かないから国立公園ないではレンタカーでの移動がお薦めだ。しかし金がかかるが難点。

 夕方頃になって、腹が以上に減ってきた。考えてみたら昼飯を食ってないのだ。晩飯をどうするかIさんと相談をした。彼女は、
「日本食食べたくないですか?」
といってきた。ジャスパーには日本料理屋もある。とんかつ、すきやき、寿司等なんでもやってる店だ。しかし値段が結構高い。とんかつでも16〜20ドルくらいしてた覚えがあった。どこで何を食うかは町をぶらついて決めることにした。

 ジャスパー駅の隣にある駐車場に車を停め、コンノート通りを歩いた。日本料理の前を通ったが、やっぱり値段が高かったので、やめる事にした。この時はとりわけ日本料理が食いたいとも思わなかったし。8年前に来た時もここでしょうが焼き定食と寿司を食った記憶がある。まあ、あの時は自転車でのキャンプ旅行だったので5日間ほとんどバスタ系の自炊料理ばかりだったからな。(店の名前は変わっていたが。あの時はTOKYO TOM'S PLACEという名前であった)近くに「Jasper Pizza Place」というピザ屋があったので、そこにすることにした。ピザの匂いがたまらなくうまそうに感じたからだ。店内に入り、俺はタバコをすうので、パティオのテーブルを選んだ。ここなら景色もみれる。彼女の意見で二人で別々の物を注文することにした。そうすれば、2種類のピザを楽しむことができる。注文すると番号がかかれた紙切れが渡された。できあがると番号で呼ばれるシステムらしい。店内はなかなかおしゃれで若者が多かった。後で気づいたのだが、ガイドブックにもこの店が載っていたことがわかった。薪でピザを焼いてると紹介されていた。食べてる時はそんなことは全く気づかずに食いまくってた。

 ピザが出来上がるまでの間、Iさんが、
「今日の宿どうするの?」
といってきた。考えてみれば、ユースはどこも手配してない。レンタカーも借りたしキャンプ道具も持ってきてるので、
「どこか適当なところにキャンプするよ。せっかく道具ももってきてるので。全く使わないのもあれだから。ユースの下の方に、ウィスラーキャンプ場があるから、そこにする予定。」
そんな訳で、今日もジャスパーに滞在するからOさんも入れて3人で「最後の晩餐」という名目でユースで飲み会をすることに決定した。

 会話をしているうちに、ようやくうちらの番号が呼び出されたのでIさんがピザを受け取りに席をたった。運ばれてきたピザは直径30cm位あろうかと思うほどでかかった。
「ものすごい量だな。全部食えるかな?」
と思いながらもあっという間に全部平らげてしまった。しかしうまいピザだった。いつもは居酒屋でしか注文をしたことがなかったので、しかも居酒屋だと他にもいろんなつまみが出てるから、ピザを食べる時はたいてい冷え切っていて固くなってしまってた。ここのピザは生地が薄いため、あまり胃もたれもせず丁度よい量であった。Iさんが、ドライブを連れてってくれたお礼にピザ代を奢ってくれるというのでお言葉に甘えることにした。

 ピザ屋を出た後、近くのアウトドアショップでコンパクトストーブに使用するホワイトガソリンを買いにいった。ピザ屋と同じコンノート通りにある「Totem Ski Shop」という店だ。店内をくまなく見渡し、奥の方にホワイトガソリンが置いてあったので、一本だけ抜き取りレジに向かうと、
「あれ?キャンプですか?」
と店員に日本語で話し掛けれらた。ここの店に日本人のスタッフがいるなんて知らなかったから、思わずびっくりしてしまった。店員さんは、日本人でキャンプをする人は少ないと思ったのか、
「なかなか通ですね、キャンプをされるなんて。この時期のキャンプはいいですよー。」
とレジを打ちながら話し続けてきた。せっかくなんで、ウィスラーキャンプ場についての情報を質問したが残念ながらわからないと言われてしまった。

 一旦車に戻って、今日の晩餐会用の酒を買う為に酒屋に寄った。Iさんがビールは「Kokanee」が飲みやすいよと薦めてくれたので、それにすることにした。青空に雪をかぶった山の景色のラベルがなかなか美味さを引き立たせてくれるような感じでいい。

 その後、Iさんがアイスクリー屋に寄りたいというので言ってみることにした。彼女はジャスパーに来てからずっと気になってる店らしく、どんな種類のアイスが置いてあるのか見てみたいと言っていた。いつも行こう行こうと思いながらも、またいつでも来れるからいいやと先延ばしにしてしまったようである。そう思いながらも明日彼女もジャスパーを発つから、今日こそは絶対と思っていたらしい。

 彼女をユースまで送っていって、19:30頃にまたユースに行くよと伝えた。

 ウィスラーキャンプ場はアイスフィールドパークウェイからユースに向かう道路に入ったすぐの所にある。キャンプの料金所は結構車が並んでて混んでいた。ようやく俺の車が料金所の所に差し掛かったとき、いやな文字が見えた。「FULL」と書かれてあるのである。
「あちゃー、キャンプ場満杯かよ。今日はどこに泊まればいいんだ?」
一瞬不安に襲われてしまった。国立公園内は基本的にキャンプ場以外の野宿は禁止だ。それがたとえキャンピングカーであってもだ。

 Uターンをして戻ろうとしても後ろにも車が使えてるから、そのまま料金所に車をすべらせた。料金所でスタッフからなにやらプリントをされた紙を渡され、説明を受けた。ここは満杯だから、別のキャンプ場に行ってくれというのだ。


ウィスラーキャンプ場が満杯なので、「Snaring Over Flowキャンプ場」にまわされる事になった。その時の地図。


地図にはウィスラーキャンプ場からの道順に黄色のラインマーカーでなぞられていた。距離にして21.5kmの距離である。所要時間を聞いてみたら12〜13分で着くというので、すぐ近くだよと教えてくれた。一旦キャンプ場にはいってからすぐにUターンをして「Snaring Overflowキャンプ場」に向かうことにした。

 キャンプ場に向かう途中、国道沿いに一匹のメスのエルクがいたので、車から降りて写真をとった。


スネィリング・オーバーフローキャンプ場に向かう途中にメスのエルクに遭遇。
逃げやがった。待ってくれ〜。


 エルクは道路脇にある草を食べていたが、俺が写真を撮ろうとして近づくと、スタコラと逃げ去ってしまった。本当は野生の動物に近づくことは危険な行為なので、ある程度の距離を保たなければならない。エルクの場合だと、30mは離れないといけないらしい。ちなみに熊だと100mは離れないとの事だ。もちろんエサを与えるのはご法度である。メスには角がないがこれがオスだとりっぱな角がある。それに体格も牛並にあるから、何かの拍子で襲われたら大怪我をする可能性も高い。

 しばらく車を走らせたら、ちょっと景色がいいところがあったので、車を停めた。幸い、ビューポイントになってるらしく、道路わきには大きな駐車スペースがあったので助かった。自分を入れた写真を撮ろうと、カメラを車の屋根に置いて位置合わせに悪戦苦闘をしてたら同じ駐車スペースに停めていたトラック野郎の運ちゃんが携帯電話で話し中なのに、俺の方を手招きしてシャッターを押すジェスチャーをしてきた。俺が撮ってやるといっているのだ。電話で会話中なのに申し訳ないなと思いながらもお願いをしてしまった。


何気に景色がよかったので立ち寄った所。景色のいいところでは大抵道路脇にこのような駐車スペースが設けられてます。中にはピクニックテーブルが設置されてるところもある。このシルバーの車が今回レンタルしたクライスラーのNEON。なかなかスポーティな形状で良い。しっかりアルミホイールを履いてました。右にある緑色の置物はゴミ箱。クマに荒らされたにように、フタの部分にしっかり対策がされてます。


 再び車をキャンプ場めがけて走らせた。地図をみるとどこかで左折をするのであるが、なかなか左折をするような道が見つからない。すると標識がなにもでてない、小さな道があった。ここかなと思って、左折することにした。ここまで来ると回りには民家もなにもなく寂しい道だ。木々にはさまれた道を走っていくとようやくキャンプ場の料金所らしき建物が見えてきた。

 料金所の横に車をつけると、口にピアスをつけた若者が
「ハーロー。」といってきた。
おいおい、国立公園内のキャンプ場はParks Canadaが運営してるんだろ?ある意味レンジャーと変わらない気がするけど、なんだこのふざけた野郎はと思いながら、
「すいません、ここはキャンプ場の事務所ですか?」
というと
「イエース。8ドルね。」
彼に料金を渡すと地図を見せられた。彼が手で示す場所であるならどこでもいいよと指示された。そして、針金のついたタグと利用証明書を渡され針金のついたタグはテントにつけておけといわれた。これを付けて置かないと、また二重に料金をとられてしまう。


真ん中より上の四角い部分のところであればどこでもテントを張っていいよと言われた。ここのキャンプ場の設備はドライトイレ(要は汲み取り式)、井戸水みたいにポンプで汲む水場、所々にピクニックテーブルがあるのみであまり充実していない。


そして、地図が渡されると彼は、
「This is bears area.Put food in your car.」と付け加えた。要はクマが出没するから食べ物は必ず車の中にという事だ。日本のキャンプ場だとこういった危険はほとんどないが、北米大陸では当たり前の事情である。8年前にカナディアンロッキーを自転車で旅した時、バンフの観光案内所で、クマの事について質問したら、あっさりとレンジャーに「This is bears country!」と返された記憶があった。その分クマ対策設備も整ってるところが多い。たまたまここのキャンプ場はなにもなかったが。アイスフィールドパークウェイ沿いにあるキャンプ場だと、食料を入れるコインロッカー(後で金は返却される)やワイヤーで木の上につるすなど、クマ対策の設備は結構整ってるから指示通りに従えば問題はない。食料に限らず、歯磨き粉や化粧品類もなどニオイがきついものは全てテントの中に持ち込んではならないのである。クマはニオイに釣られてやってくるのであるから。そのため、国立公園ないのゴミ箱は鉄製のボックスになっていて、上部のフタを持ち上げる仕組みになっている。しかも持ち上げる際は、取っ手の中にレバーが入っていて人間でないとフタがあかないようになってる仕組みになっている。国立公園に限らず、アラスカハイウェイ沿いのゴミ箱も同じような形で設置されていた。ちなみに同じ北米大陸でもアメリカだと、国立公園内で車の中に食料を保管するのは禁止してるらしい。クマがガラスをぶち破ってしまうからの事である。ヨセミテ国立公園でも年間たくさんの車が車内に食料を置くことによってクマにあらされてしまう被害が後をたたないらしい。何かの本で、トランクの中に食料を置いていた車がクマに窓ガラスを割られ、クマが後部座席からトランクめがけて、あの鋭いつめでボロボロにひっかいた跡の写真を見たことあった。

 そんなことを考えてるとキャンプもある意味命がけと思わなければならないと思った。

 料金所から車を走らせ、目的の場所についた。キャンプ場は車が通ったり風がふくとほこりが舞う、なんだか荒地のような所であった。既に何台のキャンパーが場所を占有していた。ピクニックテーブルのある場所はほぼ全滅であった。一度ぐるっと回ってなるべく水場はトイレの近いところに場所をとることにした。

 ザックからテントを取り出し、設営にとりかかった。するとどこから来たのか蚊が一斉に俺に襲いかかってきやがった。ジャスパーの蚊は半端ではない。服の上だろうが平気で刺してくる。それに耳元で「ぷ〜ん」となるのも気持ちが悪い。しょっちゅう、手で払いのけたり、体を揺さぶりながら蚊をよけた。おまけに風が強いから、設営に手間がかかってしかたがない。風が強いためペグを深く打ち付ようとしたが、すぐ下に岩があったりしたのでなかなか思うように設営ができなくて苦労した。こまめに張る位置を調整しながらようやくテントを張り終えた。張り終えると今度はテントの中にテントマットと寝袋を放り込んで置いた。蚊がたくさんいるので、すばやくテントを開けそして閉めなければならない。いつもなら、10分もかからず設営できるところが30分近くかかってしまった。

 テントを張り終えて再びユースへ向かった。途中、また野生の動物に出くわした。こんどは雄のエルクだ。


キャンプ場からユースに向かう途中今度はオスのエルクに遭遇。

エルク君は食事中に周りから沢山フラッシュをあびてました。ごめんよ、食事の邪魔をして...


雌のエルクとは違って頭には立派な角が生えていた。でも小さめな感じがしたのでまだ若いエルクであろう。車の中から写真を撮ろうとしたが、いいアングルで取れないので、思い切って車の外にでてみた。俺の同じように他の人も車から出てきて、写真をとっている。とあるチャイナ系の家族連れが無謀にもエルクをバックに写真を撮ろうとがんばってた。周りからあぶないからやめろといっても言うことも聞かず、エルクに3m位近寄っていた。幸いエルクはおとなしかったので事なきを得たが...。

 結局ユースに着いたは21:00頃になってしまった。ラウンジに行くとIさんとOさんが既に待ちくたびれた感じでいた。遅れてきたことを素直に詫びた。Oさんはまたまた新たなフリーフードをゲットしてたのでそれをつまみ代わりにした。どっちにしても俺は車だからアルコールは諦めることにした。ユースの自販機でペットボトルのレモネードを買ってきてそれを飲むことにした。Oさんが、俺のレモネードを飲みたそうな顔をしてたので分けてやった。彼女はカナダに1年ほど滞在するので、もの凄く節約をしなければならないとぼやいていた。なのでジュースなどの類はほとんど我慢して買わないでいるそうだ。食費を抑える為にもフリーフードの獲得に余念がない。使うところは使って、抑えるところは徹底的に抑える。これが鉄則のようだ。彼女に限らず、ホワイトホースで出会ったY君も同じようなことをしてたのを思い出した。彼もスーパーで食材を買う時も値段を一つ一つ吟味しながら、選んでいた。そうでもしないと金が続かないだろう。

 話は盛り上がりながら、3人で住所やメアドの交換をした。そしてメモ帳にこれからの旅の幸運を願ってメッセージの交換も行った。なんだか、中学を卒業する時にノートに書いてもらった時みたいな感じだ。2日間という短い間であったけど、2人に出会って、とても有意義な時間を過ごすことができた。旅というのはきれいな景色をみるのも楽しいが、こうやっていろんな人との出会いが一番思い出に残る。これはカナダに限らず、旅全般において共通していえることだ。彼女達も異口同音に言ってた。0:00を過ぎたあたりで、そろそろお開きにすることにした。2人が外まで見送りに来てくれた。外にでると星空が綺麗だったので、しばらく眺めることにした。目の前にはウィスラー山がそびえ、山頂にあるゴンドラの駅にはまだ職員がいるのか明かりがついていた。地面には地リスがガサゴソと走り回ってる音も聞こえる。ふいに誰かが俺達に声をかけてきた。ラウンジで宴会を開いていた若者のグループの一人だ。
「君らは日本人かい?」
「そうだけど。」
「これから、町へ安いパブに繰り出すんだけど君らも一緒にどうかい。」
今から飲みに行くのかよ、元気な奴らだと思いながら丁重にお断りをした。彼はバンクーバーからやってきた若者で、
「バンクーバーか、自然が多くていい町だな。」
といってやると、
「うん、バンクーバーはいい町だよ。」
と酔っ払ってるせいか、夜中なのに大声で元気に答えて来た。 彼が去るとまた周りは静寂な雰囲気につつまれた。あまりいるとあまりの寒さに風邪をひきそうになってきたので、彼女達と握手をして別れることにした。

 ユースの駐車場に行き、車にエンジンを掛けてキャンプ場をめがけて出発した。しかし、この車、何故だか車内灯が付きっぱなしなのが気になって仕方がない。いろいろスイッチを探したのだが、どうしても切れないのだ。車内が明るいと余計に外が暗く見えて、運転上危なくて仕方がないのだが、諦めてそのまま走らせた。

 夜になると野生の動物が活発になるのか、国道沿いには、エルクをたくさん見ることができた。あんまり何回も同じ動物を見るとどうでもよくなるので、そのまま通り過ぎた。ここでまた新たな動物をみれた。コヨーテだ。道路の脇を車と同じ進行方向でチンタラ走っていた。噛みつかれるのも怖いから、そのまま通り過ぎることにした。

 キャンプ場の手前に入ると、車もすれ違わないから周りは本当に真っ暗で気味が悪い。いきなり動物に出くわす可能性もあるから、スピードを落としてゆっくりと走った。キャンプ場に入るとさらにスピードを落とした。もうみんな寝に入っているからだ。自分のテントを見つけ、そばに車を停めてから、蚊が入ってこないようにすばやくテントにもぐりこんだ。キャンプ場はしーんと静まり返っていて、その静けさが余計に神経を張り立たせてなかなか寝付けなかった。少しでも何か音がするとビクっとなってしまうのだ。ラジオにスイッチを入れ多少の雑音を出すことによって神経を落ち着かせたらいつの間にか爆酔してしまった。

(つづく...)

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