7/25マリーン・レイク観光
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*7/25マリーン・レイク観光(晴れ時々曇り)*
 昨日のハイキングの疲れもあって、今日は9:00に目が覚めた。起きて直ぐに朝食を作りにキッチンに行った。ハムエッグを作ってる最中にフライパンを持とうとしたら取っ手が以上に熱くなっていて素手で掴む事ができないではないか。「あちっ!あちっ!」と何度も繰り返してると、日本人のカップルが取っ手を持つ為の布を貸してくれたので助かった。メニューは昨日と同じくハムエッグ、マフィン、リンゴ、ヨーグルト。よく飽きずに毎回同じ物を食い続けることができるものだ。今日も目玉焼きはひっくり返すのに失敗しぐしゃぐしゃになってしまった。

 朝食後、歯を磨いてマリーン・レイクへ出かける為の準備をした。今日は10:45のシャトルバスに乗れば余裕で間にあう。準備を済ませたあと、外で一服しながら時間を潰した。タバコをすってると、ロンドンからやってきた女性と話をすることができた。なんだかこの旅ではタバコがきっかけで会話をすることが多いような気がする。彼女は昨日ホースバックライディングのツアーに参加してピラミッドレイクまで行って来たといっていた。、股が痛くて仕方がないとぼやいていた。鞍はとても固く長時間またがってると、とてもお尻が痛くなってくるらしい。電車で旅をしてるらしく、ジャスパー発の切符が手に入らないから、今日キャンセル待ちをするか、明後日旅立つか迷ってるといっていた。結局彼女は俺の目の前でコイントスで明後日の電車に乗ることに決めた。なんとも典型的ないきあたりばったりの旅をしている人であった。予定が決まるともう悩む必要がなくなったため、ケロっとした表情に変わり、「それじゃ」と言って、ユースの中に戻っていった。

 10:45のシャトルバスに乗り込み、ダウンタウンへ向かった。いつもの駅の隣にあるトーテムポールの前で降りてマリーンレイクの事務所へ向かった。途中でMack'sというコンビニに寄り、タバコとミネラルウゥータを購入した。

 事務所の前に着くと既に10人位の人が集合していた。俺は事務所の中に入りラフティングのツアーに参加するかまた迷いながら、ずっと壁に貼られている、写真を眺めることにした。この時点でもまだ諦め切れないのだ。チャレンジしてみたい気持ちはあるが、どうしても勇気がわいてこない。初級コースでは物足りないしかといって中級クラスでは、未経験でも参加できるのかわからなかった。あれこれ悩んでいたら時間ばかり過ぎ、集合の時間となってしまった。青いTシャツを来た青年が集合の声をかけてきた。事務所の前にいた人たちがぞろぞろとその青年の後についていくので、俺も遅れまいと後からついていこうとしたが、どうも雰囲気が違うのだ。まず服装が揃えたようにラフで、彼らの会話の節々に、「ラフティング」という言葉が時々聞き取れた。ここの事務所はラフティングのツアーも行ってるから、もしかしたらそのツアーかもしれないと思い、事務所の前でまだ居る人に、
「マリーン・レイクのツアーに行かれる方ですか?」
と尋ねてみたら、その通りだというので、あやうくラフティングツアーについていくところであった。
「あ〜、よかった。尋ねなければ、向こうを歩いてる人たちに付いて行く所でした。」
「ん?シャトルバスのチケット持ってる?見せて。そうそう、私達と同じバスね。ここで待ってれば大丈夫よ。」
といわれたので一安心した。いかんせん外国だと言葉が良くわからないから、周りの雰囲気を察する技術も必要だ。

 10分くらい遅れてシャトルバスがやってきた。運転手は女性で、ずいぶんふっくらした方だ。やせるとけっこうかわいいような気がする人であった。シャトルバスに乗り込み、マリーンレイクに向かう。ダウンタウンから車で一時間位の距離だ。バスが走り出すと、運転手が軽く自己紹介をし、それから乗客に向かってどこから来たのか尋ねてきた。
「ブリティッシュ・コロンビア」
「カルガリー」
「ノースダコタ州」
と各々が自分達の出身地をいいだした。みんな北米大陸にすんでる人ばかりだ。そして最後に一呼吸おいて俺が、
「日本。」と言い放ったら、何故か笑われてしまった。別に日本から来てもいいじゃないか。

 シャトルバスはこのまま、マリーンレイクに向かうのかと思ったら、もう一つの停車場であるダウンタウンの郊外にある、ジャスパーパークロッジに一旦寄ることになった。ここは、ジャスパー最大の最高級リゾートホテルだ。敷地内はとても広く、ゴルフ、乗馬などのコースもある。ロッジという名前のごとく、建物はほとんどが1階建ての木目調のコテージだ。バンフスプリングホテルのようなお城みたいな構えではない。もし泊まるのであれば、車が必要だ。ダウンタウンから結構離れてるので歩くと一時間位はかかると思う。

 ジャスパーパークロッジでは誰も乗客は居らず、バスは再び走りはじめた。途中道路際にメスのエルクが1頭いた。バスはちょっとだけ、泊まってくれて乗客にエルクが見れるようにしてくれた。


マリーンレイクに行く途中見かけたメスのエルク。


 運転手の姉ちゃんに写真を撮っていいかとお願いし、助手席に移動してパチリと一枚撮ることができた。更に野生の動物がみれるか車窓の景色を真剣に眺めたが、一匹の鹿が森の中から姿を出してたのを見ただけで、それ以外は見ることができなかった。

 しばらく走ってると運転手の姉ちゃんが鞄から野菜のいっぱい詰まったジップタイプのビニール袋を取り出して、スナック菓子でも食うかのようにポリポリとセロリ。ピーマン、ニンジン等を運転をしながら食べ始めた。おまけに食べながら周辺のガイドまでしてやがる。
「え〜皆さん、ここが(ポリポリ)、マリーン渓谷です。(ポリポリ、シャリシャリ)」
客の前で物を食べながら話をするなんて、日本ではなかなか考えれん行動だ。その内いやなにおいが車内に充満してきた。キュウリだ。おぇー、キュウリなんか食うなよ。俺はキュウリが大嫌いなのだ。しかもこのバス運転席と助手席以外窓が開かない構造ときてやがる。俺は丁度運転席の後ろの席に座ってたので、匂いが一番来るところだ。
「(頼むから姉ちゃんキュウリなんか食わないで運転に集中してくれよ)」
と日本語でつぶやいてしまった。姉ちゃんは俺のつぶやきに一瞬反応したが、当然日本語なので何を言ったかわからないので、またポリポリとキュウリを食いまくった。

 やがて大きな湖にでた。メディスン・レイクというところだ。この湖は秋から冬にかけて段々減水していき、しまいには水がなくなってしまうという。摩訶不思議な湖だ。湖底に穴があり、そこから湖の水がアサバスカ川に流れてしまうという事だ。そして、春、夏になると雪解け水がこの湖にたまり、満水状態になるということをずっと繰り返してるという。湖の隣は灰色の岩肌を剥き出しにした断崖絶壁の山々が連ね、ロッククライミングのメッカとなってると運転手の姉ちゃんが言っていた。

 ようやくマリーンレイクに到着をした。カナディアンロッキーを代表する名所なので、観光バスも沢山きている。車体にハングル文字で書かれたバスもあった。
「ハイ!」
と突然俺に声をかけてきた。こんなところに知り合いなんか居るはずも無いのに誰かと思えば、昨日パトリシアレイクの所で会話をしたドイツ人のじいさんであった。彼も今日マリーンレイクに来てボートクルーズに乗るとの事であった。俺も思わず、
「オー!」と返事をした。

 まずは、ここにもあるマリーンレイクの事務所に行って、昨日ダウンタウンで発行されたレシートみたいなクーポン券をチケットに交換した。ここの事務所でもボートクルーズに乗る手続きが出来る。ボートクルーズまであと1時間半位時間があるので、事務所内にある土産屋で帽子とショルダーストラップのついているバッグを購入した。今背負ってるデイパックも機能的ではあるのだが、カメラやガイドブックを取り出すのに、いちいち背中に背負ってるのを降ろしてあけるのも面倒くさくなってきた。ショルダーストラップの付いているバッグであれば、肩にぶら下げながら自由にバッグの中の物を出し入れするのに便利であった。容量はあまりないが、街中を歩く際にはちょうどいい容量だ。すぐに、デイパックの中から頻繁に取り出しを行う、カメラやガイドブック等を先程購入した、バッグの中に放り込んだ。バッグを前の方に持ってくると取り出しが便利で買って正解であった。


ようやく着いたマリーンレイク。天気が曇りでちょっと残念。これからボートに乗ってスピリットアイランドまで行くのだ。


 出発時間まで、適当にその辺をブラブラしながら時間を潰すことにした。天気が曇りなのがちょっと残念だ。これからボートで向かうスピリットアイランドは晴天でないと意味がない。あーでもこればっかりは天候に左右されるものだから仕方がないと諦めることにした。

 出発時間となり、船に乗り込んだ。座席はほぼ満席状態。これから一時間かけてのクルーズだ。船のスタッフは2名。男性のガイドと操舵者兼船長?は女性であった。船が出発すると、ガイドの青年が自己紹介を始めた。なかなか明るくハキハキとしたで途中野生の動物の説明でマウンテンゴートをビッグホーンシープといったボケをかましたりした好青年といった感じだ。

 ボートは水しぶきをあげながらぐんぐんと進んでいく。湖上ではカヌーやプレジャーボートで釣りを楽しんでる人達が沢山いた。湖の周辺には、いくつかの氷河も点在しており、景色を見ててもまったく飽きなかった。





マリーンレイク周辺の氷河。


 氷河が見え始めたところで、船の後部にある、デッキにでてもいいことになったので早速でてみた。デッキといっても5〜6人も居れば狭く感じてしまう小さなデッキだ。風を思いっきりあびるので寒いくらいだ。氷河の写真を何枚か撮ってると、ガイドの青年がもうすぐスピリットアイランドに到着するから中に入るようにと言われたので素直に再び船内へ入った。


ボート後部のデッキから写真を撮った。結構スピードが出て風をあびるので寒い...


 ボートがようやくスピリットアイランドに到着をした。下船する前にガイドから説明があった。船が停泊する時間はたったの10分だという。

「たったの10分...」
俺は思いっきり不満顔をしてしまった。たったの10分で一体何が出来るというのか、写真をとって終わりではないか。 これでは単なるトイレ休憩にしかならない。ガイドの青年は2〜3分前に警笛をならすといった。乗り遅れたものは置いていくぞと冗談交じりで説明をしてた。

 
 ぶつぶついっても仕方がないので、さっさとボートから降りて陸にあがった。周辺は険しい山と森に囲まれたところだ。よく旅行用のパンフレットや絵葉書などに掲載されている撮影ポイントがあるのでそこに向かうことにした。


これがスピリットアイランド。天気がいまいちで残念...
ちなみに天気がいいと下記の絵葉書のような写真のようになってます。


 撮影場所はとても狭く、ただのハイキングコースの一角に過ぎないスペースだ。さすがに有名な場所だけにあって、みんな思い思いに写真を撮りまくっていた。5〜6人位いると身動きができなくなってしまうので、それぞれが順番に写真をとって、交代することにした。


これは水際から撮った写真


 汽笛が鳴らされたので、慌ててボートに戻ることにした。正直この10分という短い上陸時間はあまりよろしくない。せめて30分は欲しいものだ。ぼーっとする暇もなくただ、撮影ポイントに行って写真を数枚とって終わりという感じであった。



撮り収め...

 
右端にあるボートでスピリットアイランドへ向かいます。

 帰りのボートは全速力で戻って行った。ガイドの青年は相変わらず陽気にいろんな説明を行っていた。元の場所にたどり着いた時、乗客全員がガイドに対して惜しみない拍手をしてた。なかなか楽しいクルーズであった。

 ボートから降りて、次のシャトルバスが来るまで1時間近く時間があったので、土産物屋に寄って例のボールパンを何本か買った。例のというのは、北米大陸ならどこの土産物屋で売ってるボールペンだ。デンマーク製の奴でデザインはどこも一緒。ただ地名が違っているだけ。例えば「NEW YORK」「YOSEMITE NATIONAL PARK」等だ。そして、そのボールペンを上下にすることにより、クマやパトカーなどが移動するようになってる。そしてボールペンのインクは全てブルーだ。これはヨーロッパの方でも売られていて、イタリアとかだとベニスにある水舟がキャラクターになっている。

 買い物を済ませて、シャトルバス乗り場で待つことにした。行きのバスで一緒だった家族連れもいて、ボートに乗ったか?と声をかけてくれた。しばらくその家族連れと会話をしながらバスを待つことにした。家族連れのお爺さんは俺がカナダに来たのは大リーグの野球を見にやってきたのかと訳のわからん質問を浴びせてきた。大リーグならアメリカだろう。じいさんの訳のわからん話に付き合せれてるうちにシャトルバスがやってきた。運転手は行きと同じのデカイ姉ちゃんであった。帰りのバスは行きと比べて人が多かった為、一人でやってきてる俺は助手席に座らされることになった。でもこの方が景色の眺めがよくていい。再び野生の動物を見ようと目を凝らして周囲を見回してたが。10分位したら睡魔が襲ってきて助手席で眠りこけてしまった。目を覚ますとバスはジャスパーのダウンタウンに着いており、乗客は自分達の泊まる宿の近くで降ろしてもらってるところであった。運転手の姉ちゃんが俺に

「あなたはどこに泊まってるの?」
「ユースだけど。」
「あら、ユースまでは行けないのよ。」
「いやいや、ジャスパーの駅のところで降ろしてもらえればいいですよ。そこからシャトルバスに乗っていきますんで」そんな訳で、ジャスパー駅の前にある薬屋の所で降ろしてもらった。時刻も17:00を過ぎたところなので、晩飯でも食おうとこれまた駅前にある中華料理屋に入ることにした。「廣東会館」という店だ。ここは1994年にも一度入ったことのある店である。あまり代わり映えはしてなかった。店の中はガラガラであまり客が入っていない。適当なテーブルにすわり、ポロシャツを着たウエイターがメニューを持ってきてくれた。とりあえず、COMBO-Bというセットとチキンスープヌードルを注文した。COMBO-Bの中身は海老のから揚げと牛肉野菜炒めとチャーハンが皿の上に盛られていた。ボリューム、味と共になかなかよかった。ユースの自炊もいいがたまには外食でうまいものを食べたくなってまう心境になってくるのだ。

夕食後は18:30のシャトルバスに乗るため、またいつものトーテムポールの前でぼんやりと待つことにした。タバコを吸いながらバスを待ってると、一人の女性が声をかけてきた。
「日本の方ですか?」
「ん?そうだけど。」
彼女も同じ日本人で、名古屋から来たそうだ。3週間の旅程でカナダに来てジャスパーには俺と同じユースに2週間程滞在して、いろいろと周辺をハイキングしてるそうだ。残り1週間はバンクーバーで過ごすと言っていた。俺も彼女の存在は昨日から気づいてはいたのだが、会話をするまでは台湾人かと思っていたのだ。バスが来るまでずっと彼女とカナダの事やユースの不満点などを話しながら時間を潰すことにした。

バスがようやく到着し乗り込んだ。乗り込む際に頭を思いっきりドアの入り口の上の部分にぶつけてしまった。
(ゴツン!)痛ッ!
もう叫ぶしかなかった。あまりにも音が大きかったせいか周りの人も大丈夫か?と心配してくれた。頭を抑えながら狭い車内を移動し一番後ろの席に座ることができた。

 ユースに向かう途中、昨日と同じ場所であるキャンプ場の近くでまたブラックベアの子供を見ることができた。クマは地面に座るような形で木の枝にある実を一生懸命食べていた。車の中から見てる分ではまるでパンダのような仕草でとてもかわいい。シャトルバスの運転手もいったん車を止めて乗客にクマがよく見えるようにサービスをしてくれた。しかし運転手はこの後ユースで俺達を降ろさずに、さらに上にあるトラムウェイのロープウェイまで行ってしまった。満員のシャトルバスの乗客のほとんどはトラムウェイに乗るための客であった。すぐに戻ってくれるのかと思ったら次の出発まで待ってくれと運転手が言う。待ち時間は30分位かかるというので、歩いてユースまで戻ることにした。ユースの客は俺と名古屋の女性とタイからやってきた女性の3人。名古屋の女性は運転手のせいで歩かされるんだから1ドルキャッシュバックして欲しいとぶつくさ文句をたれていた。帰りは幸いにしてずっと下り坂だったのがよかった。これが上り坂だったらマジでキャッシュバックして欲しいと思うばかりだ。そんなことを考えてたら、タイからやってきた女性が急に叫んだ。何事かと思うと、どうやら目の前に見える岩山が人の顔に見えるそうだ。どれどれとその言われた方向を見てみると確かに人の顔に見えるではないか。なんとなくイースター島のモアイ像が横になったような感じだ。


画面中央にあるのが人面岩?影でうまく人物の表情を作り出しています。ちなみに日没で全体に影で覆われると人面にみえなくなります。(画像をクリックしてもらえれば拡大画像がみれます)


 タイから来た女性はその後その人面岩写真を撮るというので、名古屋の女性と二人でトボトボとユースまでの道を下っていくことにした。

トラムからユースまでは下り坂だったせいもあり、15分位で到着をした。

 ユースの前の庭には何故か人が沢山いてにぎやかであった。今朝話をした、ロンドンから来た女性が俺の姿を見つけると、
「どうだった?」と声を掛けて来た。
「うーん、良かったけど天気がいまいちで...」
「ムースはいた?私が行った時はムースの群れが湖で水を飲んでたけど」
「動物全然いなかったよ。パイカとリスぐらい...」
ムースの群れを見れたなんてなんと羨ましい...。俺もアラスカハイウェイでムースを見たとはいえ、バスの中からだからあっという間に見失ってしまう。じっくり見れるのとあっという間では偉い違いだ。そして、今になって気づいたが、天気も青空がいっぱい広がってすばらしい空模様になっていた。彼女とはその後二言三言交わして会話が終わった。

 ユースの庭でタバコを吸ってると、60歳を超えたおっさんが手招きしてここへ座れと言ってきた。彼はドイツからやってきたバックパッカーで、今日の夜の列車でここを発つという。ブリティッシュコロンビアで製造されている「Kokanee」というビールを美味そうに飲みながら、そのおっさんはベラベラと語りはじめてきた。今日はアサバスカ川に行って来てそうだ。昨日はユースの目の前にそびえ立つウイスラー山を登ってきたとも言っていた。片道で登り3時間、下りは2時間かかるそうだ。俺が「すげぇな。きつくなかったかい?」というと、おっさんはどうって事ないというような仕草で答えて来た。6ヶ月程旅をしアラスカにも言ってきたとも言っていた。この後は列車でバンクーバー島を目指すという。おっさんはビール1本で気持ちよさそうに酔っ払い、その後もベラベラとひらすらしゃべり続けていた。おっさんの隣には一人の黒人青年が座っていた。アフリカのガーナからやってきたという。バンクーバーからここジャスパーにやってきて、特に予定も立ててないからしばらくここでのんびり過ごすといっていた。

 ジャスパーのユースに泊まって、3日程過ごしているとようやくいろんな人と会話ができて楽しく感じるようになってきた。そう考えると、もっとここに居たいと思うようになったきた。明日の予定はレンタカーの予約をしに行くくらいで、その他には何も立てていない。キャンプでもしようかと考えていたけど、もう一泊延長することに決めた。

 シャワーを浴びた後、フロントに行ってもう一泊できるか確認してみたが、残念なことに明日はベッドの空きがないので無理と言われてしまった。なんだか諦めきれないが仕方がない。明日ここを発つために荷物の整理をすることにした。3日も滞在していると、ベッドやザックの周りは衣類であふれかえっていた。ついでに洗濯もすることにした。

 ラウンジのテーブルで旅の日記を書いていると、名古屋から来た女性が何してるのと声を掛けてきた。ホームページに載せるために日記を書いてるんだよというと、ものめずらしそうに驚いていた。その後彼女は他の日本人女性と楽しそうにおしゃべりを始めた。しばらく日記を書くのに没頭していると、また名古屋の女性が声を掛けてきた。
「ちょっといいですか?確かサスカトゥーンに行ったといってましたよね。実は彼女がこれからサスカトゥーンを目指すというのでいろいろ情報を教えて上げてほしいんですけど。」
俺もちょうど日記を書いてるのに飽きてきたので、二つ返事でOKした。
「すみませ〜ん、宜しくお願いします。」とピンク色のTシャツを来た女性がやってきた。彼女はワーホリでカナダに来ていて、既に3ヶ月程経ってるそうだ。この夏2ヶ月程利用してカナダを横断すると言っていた。会話をしてると天然ボケが入っていて、中々憎めない面白い女性である。で、本題の質問事項であるが、サスカトゥーンからレジャイナ間のバスの情報を知りたがってるというので、グレハンの時刻表を見せてあげることにした。しかし、その時刻表には直通のバスの記載がない。どうも一度、サスカトゥーンからカルガリーに戻ってからレジャイナに行かなければならないようだ。俺の記憶ではサスカトゥーンのバスターミナル内の表示板にレジャイナ行きの時刻が書かれていたのを覚えていたのであるが、定かではないのであまり自信がなかった。日本の旅行代理店でもらった、ばかでかい北米大陸のグレハンの路線図の地図を広げてみるとサスカトゥーン〜レジャイナ間の路線図は掲載されてはいるのではあるが...。結局ちゃんとした回答が出せることができなかった。現地で確認するしかなさそうだ。(後日彼女から届いたメールでは結局カルガリーに戻ってからレジャイナに行ったとの事であった)質問内容に関しての会話は10分ぐらいで終わり後はほとんど雑談に変わってしまった。その後、札幌からやってきた同じくワーホリの女性も会話に加わってきた。彼女も3ヶ月半前にカナダにやってきて、最初は英会話のスクールで語学を学び、今はもう一人の友人とレンタカーを借りて、バンクーバーまで旅をしているそうだ。語学スクールでみっちり学んだせいか彼女と会話をしてると日本語の中に時折でてくるカナダの地名やカタカナ語は全て英語の発音であった。「トロント」ではなく「Toronto」、「ウィニペグ」ではなく「Winnipeg」と言って来る。なかなか勉学に熱心な方だ。でもこれからどうするかまだ決めてないので悩んでるらしく、バンクーバーに着いたらまず職を探さなければと、こぼしていた。バンクーバーでユース以外で安く泊まれるような場所を知らないかと聞かれたので、ユースのフロントにおいてあった「Back Packers」と書かれた情報誌が置いてあったのでそれを渡して、これを見て調べなさいと教えてやった。ワーホリのような長期滞在型の旅人達は1日に使用する経費にとても神経質だ。少しでも安いところをと常にアンテナを張り巡らせている。彼女はその情報誌を食入るように眺めていた。

 夜もふけてきたので、一旦ベッドに戻ったが、なんだか寝れないので、もういちどラウンジに戻って、さっきの人たちと会話をした。しかし1時で消灯になるので20分位でまたベッドに戻った。せっかく皆と仲良く慣れたのに明日でこのユースを経たなければならなかと思うと残念でならなかった。でも駄目元で明日また延泊できるか確認してみようと思い、そのまま寝てしまった。

(つづく...)

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