7/23エドモントン〜ジャスパー
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*7/23エドモントン〜ジャスパー(晴れ)*
 今日は朝8:30に起こされた。
 同部屋の韓国人の青年が、いきなり大きな声で、
「Timeだよ!」と叫んだのだ。彼は昨日、汗臭いオージーとイングランドの青年にモーニングコールを頼まれていて、彼自身もギリギリまで、寝てて時計をみてビックリして英語と韓国語(「だよ!」という部分が日本語にも聞こえたが)で叫んでしまったようだ。

 今日はエドモントンを発つ日である。ホワイトホースからの苦痛なバス旅で2泊3日の休養をとるために、この街に滞在したのであったが。もう少し居たい気もしたが、後々のスケジュールがきつくなってくるので、発つ事にした。ベッドの周りにある、自分の荷物を整理し、チェックアウトの11:00までユースの中でのんびりとすごした。初日にあった、スキンヘッドの青年が居たので、別れの挨拶をしてきた。彼は特に予定もなく、このまましばらくエドモントンに滞在するといっていた。

 11:00ちょっと前にフロントでチェックアウトを済ませて、また糞重いザックを背負って、バス停まで歩いていった。10分も歩くともう汗が吹き出てくる。あいかわらず、日差しが強くて暑い...。

 バスに乗り込み、グレイハウンドのディーポの近くで降りようとした時、何故か一人の女性がどこまで行くのかと話し掛けてきた。バスディーポまで行くというと、彼女は頼みもしないのに、そこまでの行きかたを教えてくれた。俺もむげに知ってるからというのも悪いので、知らないふりをして、彼女の説明を聞くことにした。意外と旅人に親切な人たちが多いような気がする。そして皮肉にも、一般の人達とは裏腹に客商売をしてりる店員の態度には全てではないが腹の立つ事が多い。カナダという国はそんな感じがして止まない。

 ディーポに到着して中に入ると、一人の青年が50セントをくれとねだってきやがった。後2ドルでメシが食えるから恵んでくれという。とてもお腹がすいて我慢ができないといっていたが、俺は英語がわからんというそぶりで無視することにした。この青年はあっちこっちの人に声をかけまくってた。

 ディーポ内にはA&Wというハンバーガー屋があるので、そこで昼飯を食べることにした。Teen'sバーガーコンボというのがあったから、それを頼むことにした。別に俺は10才台ではないが、なんか見るからにして、食べ盛りの若者が食いそうなボリュームであった。席で一人黙々と食べてると、スタッフの女性が大きなバケツみたいな容器を脇に抱えて俺のところにやってきた。彼女が話し掛けてきた内容をよく理解してなかったのだが、何やらチキンを配ってるような感じだったので、一つもらうことにした。何かのサービスの一環かと思いトクをしたと思って食い終えると、また先ほどのスタッフがやってきた。手には回覧板でまわす様なプラスチックボードを持ってて、いろいろとチキンに関する質問を俺に浴びせてきた。先ほどのチキンはアンケートを取る為のモニター用のチキンだったのであった。そんな事とはつゆ知らず、何も考えずバリバリと食べてしまったので、返答に困ってしまった。とりあえず、スタッフの質問に対して、
「うん、美味かったよ。」
「良かったよ。」
「また、食べてみたいと思う。」
と適当に応えておいた。KFCと比べてどうかと、英語で答えるには難しい質問もきたが、
「A&W is good!」と簡単に答えてしまった。本当はチキンの皮が固いとか言いたかったけど、とっさにそのような心構えがなかったので、当り障り無く応えておいた。フライドポテトはチキンを食べてしまっため、食いきれなかったからバスの中でのおやつにしようと思い、ペーパーナプキンに包んで持ち帰ることにした。

 さて、次の目的地はいよいよカナディアンロッキーの玄関口である、ジャスパーである。ジャスパーは1994年に一度行ったことはあるが、このときはバンフ〜ジャスパー間を自転車で旅した時に最終目的地として寄ったから、半日くらいしか滞在してなかったので、あまり記憶がない。しかもバンクーバー行きのバスを乗るために立ち寄ったから、観光などほとんどしてなかったのであった。だから今回はじっくりと観光を行おうと楽しみにしてた場所であった。

 13:15発のジャスパー行きのバスに乗り込むと、車内は異様な匂いに包まれていた。ちょうど昼飯時の為、車内で多くの乗客が何かしらの飯を食っていた。ツナサンド、リンゴなどなどこれらの匂いが車内に充満して、ものすごい変なにおいに変わっていたのであった。グレハンのバスは窓ガラスが開かず車内密閉型であるからなおさらであった。思わず鼻をつまんで口で息をしたくなるくらいであった。

 車内はさすが人気観光地に行くだけあって、座席は80%位埋まってた。車窓の景色は牧場のような景色からだんだんと、木々が多くなって森の景色へと変わり、最後は灰色の大地を剥き出しにした険しい山々が見え初めて、ロッキーらしくなってきた。

景色もガラリと変わってきた。

いよいよカナディアンロッキーに到着です。

 バスはジャスパー国立公園のゲートをくぐり、再び走り始めた。野生の動物が突然出てくるのを恐れてかなぜかスピードがものすごく遅い。すると車内でどよめきが起きた。なんだろうと前の方をみると、ビッグホーンシープが10頭以上群れて、道路をふさいでいるのが見えた。バスのクラクションにその動物たちはビックリして道脇に急いで逃げていった。いきなりの野生の動物の出迎えで、俺はなんだか興奮してしまい、また動物が見れないか車窓からの景色を食い入るように眺め始めた。しばらくして、バスがまたスピードダウンをし始めた。前方に何台か車が停まっているのが見える。国立公園内で、車が停まってるとなると大体は野生の動物が近くにいる可能性が高い。今度の動物はエルクであった。雄だと大きな角があり、なかなか迫力がある。

写真中央の右よりに、エルクが居る。運良くバス車内から写真をとる事ができた。ロッキーは景色だけではなく、こういった野生の動物が見れるのも楽しみの一つだ。

 グレハンのバスは観光バスではないので、野生の動物がいても「さー」っと過去ってしまうので、動物がいるとわかっても、それを見れるのはほんの一瞬だけである。だから野生の動物目当ての時は全神経系を集中して、車窓の景色を見なければならない。

 バスからジャスパーの町の手前にある、「ようこそジャスパーへ」という道標が見えてきた。1994年に一度来たことがあるので、その時みた景色が再びよみがえり懐かしくなってきた。

「ようこそジャスパーへ」の道標。この写真は1994年にバンフ〜ジャスパー間を自転車で旅したときの写真。

あの時は、バンフ〜ジャスパー間を自転車で5日間かけて走った。最後の日は、ずっと雨で、景色を楽しむ余裕も無くひたすらペダルをこぎ続けたものだ。この道標をみて、ようやくジャスパーに着いたんだと、安心感がでてきたのを思い出した。この旅の模様については、別途改めて掲載していくつもりだ。

 18:00にバスはジャスパー駅に到着した。
ジャスパー駅。VIA鉄道とグレハンのディーポが一緒になってる。左に移ってる貨物列車は100両近く連結していて、ものすごく長い。

さすが、有名な観光地とあって、ほとんどの乗客が降りていった。ジャスパー・インテーナショナル・ホステルはここから約7kmの距離だ。とてもじゃないが、20kgを越すザックを背負って歩いていく気力は到底ない。タクシーかシャトルバスを利用していくのが一般的だ。ホワイトホースでY君が駅のとなりにでかいトーテム・ポールから、シャトルバスが出てるからそれを利用するといいよ。というのを思い出したので、そこでシャトルバスをひたすらまったのだが、一向に来る気配がない。だいたい何時にシャトルバスがくるのかわからないのだ。18:30頃白い大きなバンが来て、何人かの人が乗り降りしてる車があったが(後でしったのだが、それがシャトルバスであった。)、車には何も書いてないからどれがシャトルバスなのだか、さっぱりわからなかった。トーテム・ポールの前には当初、10人近くのバックパッカーがたむろしてたが、40分もすると、誰もいなくなってしまい、結局俺一人だけになってしまった。一人寂しくジャスパーの冷たい風をあびてたら、腹が痛くなってきたので、ジャスパー駅のトイレに飛び込んだ。ホワイトホースからずっと下痢が続いていて、辛かった。

 結局、シャトルバスは諦めて、タクシーで行くことに決めた。シャトルバスだとユースまで3.50ドルなのだが、タクシーだと12ドル位する。しかし、どれがシャトルバスだかわからんから乗りようがない。タクシーならいつでも乗ればいいやと思い、観光案内所にいって資料を集めることにした。ジャスパーの観光案内所は駅からすぐだ。トーテム・ポールのところからなら、コンノース通りの道路を隔てた対面に位置する。中に入り適当にパンフをとり、そしてレンジャーからトレイルマップをもらった。明日はハイキングに行こうと考えてたからだ。グレハンのバスの中でガイドブックをひろげながら、ジャスパーでの行動の予定を発てまくっていたのだ。明日行く予定のパトリシア湖までの時間をレンジャーに尋ねると、2時間位でいけると応えてくれた。他にもいろいろと質問をしようとしたが、19:00の閉店時間のためレンジャー達は来場者達の対応をスパっと辞め、追い出しの行動に入った...。ちょっと位延長したっていいのにと思っても、さすがに外国、客に対してもドライである。観光案内所を追い出された俺は、目の前にある広場のベンチにすわり、ぼーっとたそがれる事にした。19:00を過ぎても、まだ空は思いっきり明るい。広場では子供達がキャッチボールをしたり、バックパッカーがザックを枕に寝そべっているのが見えた。なかなか憩いの場といった感じがした。

 観光案内所には各トレイルので野生の動物の情報が満載されている。野生の動物が危険であることを呼びかけるポスターも貼られていた。そのポスターの中には「危険」と書かれた日本語もあった。国立公園内の観光案内所は情報の宝庫である。一度は必ず寄りたい場所である。

 公園のベンチで少し休憩した後、食材の買出しに行くことにした。ユースではたいていは自炊が中心になるからだ。近くに家族連れにスーパーの場所を尋ねると、ここからコンノース通り沿いに3ブロック程北に向かったところにI.G.S.というスーパーがあると教えてくれた。(後でわかったが、観光案内所からすぐ近くにもスーパー8というスーパーがあることも判明)手ぶらで幾分には何てことこのない距離だが、重いザックを背負ってだと、とてもきつい距離であった。スーパーに着き、ザックを店の外において中に入った。一応ザックの中には貴重品類は一切入れてないので、そんなに不安は無かった。パン、卵、リンゴ、ヨーグルト、ハムを買って店を出た。リンゴ等の果物や野菜は日本のように一個いくらではなく、重さでいくらという測り売りであった。レジには測りがあり、それにリンゴを載せて重さで金額が換算されるようになっていた。再びジャスパー駅に向かう途中、サッカー日本代表の青いレプリカを来た外人の子供がいた。背中には7という数字と「NAKATA」という名前のかかれたレプリカであった。日本のサッカーも随分有名になったものだ。

 ジャスパー駅についてタクシーを呼ぶことにした。駅内の公衆電話にタクシー会社の電話番号が書かれてあったのを思い出し、中に入ろうとすると、鍵がかかってて中にはいれない。どうも19:00を過ぎた時点で営業時間が終わってしまったようだ。しかたがないので外にある公衆電話の所へ行き、備え付けのイエローページからタクシー会社を探し出すことにした。このイエローページ、アルバータ州全域のものが乗ってるから、まずは「J」という所からジャスパーという地名を探し出した。その中に「JASPER TAXI」と書いてあるのを見つけてそこへ電話をかけた。今までの電話ではかけても、なかなかでない、かけ方がよくわからんということがあったが、今回はすぱっと出てくれたので安心した。今ジャスパー駅のトーテム・ポールの所にいて、目的地はユースホステルです。というと相手は1分でこちらに来るといってきた。念の為、タクシー料金も確認してみると、約13ドルと返って来た。電話を切り、タバコをふかそうとすると、タクシーが本当に一分でやってきた。タクシーはイプサムのような車で、フロントガラスにはひびが入っていた。カナダではフロントガラスにひびが入っていても平気で乗り回してる車が多い。ユースには10分くらいで到着した。料金は12.50ドル。15ドルを渡して釣りはチップにしてくれと、言ったのだがドライバーは律儀にも2.50ドルのおつりを俺に戻してきた。面倒くさいのでそのまま俺も釣りを受け取ることにした。

 ジャスパー・インターナショナル・ユースはウィスラー山の中腹にあり、周りは他の家もなく、森の木々に囲まれたとても静かな場所にあった。建物は山の斜面を切り崩して建てた3階建てで外の階段をあがり、二階が玄関と受付になっている。設備はキッチン、ラウンジ、シャワー、ランドリー、自動販売機、有料インターネット、レンタサイクル、ばーべQセット等がある。水道は引いてないため、トラックからタンクに水を補給してるらしい。受付でチェックインを済まし、ベッドのある部屋に向かった。とりあえず、ここのユースには3泊する予定だ。部屋は一階のため、階段を下りなくてはならない。部屋のドアには「MIXED ROOM」と書かれていた。男女混合部屋だ。もちろん、ここのユースには女性専用の部屋もある。多分、収容ニンズンの関係で男女混合になったのだろう。とりわけ、カナダでのユースで男女混合というのはめずらしくない。1994年にカナダのアイスフィールドパークウェイを旅したときも、男女混合のユースがあった。この道路には数多くのユースが点在しているが、ほとんどが掘っ立て小屋のようなつくりで、宿泊する棟も一つしかないところでは男女混合になってしまう。俺の寝るベッドは入り口から入ってすぐの場所であった。荷物を置いて、シャワーを浴びた。

 晩飯をつくろうとキッキンへ行ったが結構混雑してたので、しばらく待つことにした。皆楽しそうにおしゃべりをしながら食事を作ったり、ラウンジでくつろいでる姿をみてたら、うらやましくなってしまった。一人で旅をしてる時に、なんかこういった雰囲気の場所に居るのはとても苦手なものだ。なんとなく一人仲間はずれになったような感じがして仕方がない。キッチンでこのまま待つのも嫌なので、自販機でジュースを買って、外にでてタバコを吸いながら時間を潰すことにした。ユースの玄関をでると、ちょっとした広場になってて、テーブルチェアやバスケのゴールもある。上を見上げるとウィスラー山の頂きが見え、そこまで行くことのできるロープウェイの駅も見えた。

 外の景色を堪能してはいたのだが、蚊がものすごくて嫌になったから、再びキッチンに向かった。だいぶ人が減ってきたので、晩飯を作ることにした。晩飯はいつもと同じ即席ラーメン。ラーメンを作ったのはいいが、それに見合うドンブリがないので、しかたがないから、適当な食器を見つけてそれで代用をした。ラウンジでは相も変わらず楽しそうな人たちでいっぱいだった。食後は旅の日記を書きまくった。飽きるとガイドブックをみてジャスパーの行動予定を立てたり、時々タバコを吸いに外にでた。22:00を過ぎるとジャスパーも真っ暗になり、昼間とは違って気温がぐっと下がりTシャツ姿では寒すぎる位であった。しかし星空はとても綺麗で人工衛星や流れ星まで見えた。近くで「サササっ」と音がなりビビッタがよく見ると地リスが走り回ってるのがわかった。

 0:00まで旅の日記を書いて、部屋に戻って寝ることにした。
 
 明日はハイキングだ。
(つづく...)

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