7/22エドモントン
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*7/22 エドモントン(晴れ)*
一昨日からの長いバス旅のせいで、非常に疲れていたのか起きたら時計はAM10:00を過ぎていた。とりわけ今日は何も予定をいれてないので、気の向くままに行動をしようと考えた。エドモントンに来たのは、旅の休養をとるためだ。

 まずは、朝の一服をしに、裏庭に出かけた。途中、ユースのカウンターでWさんを見かけたので、挨拶をしにいったら彼女もここにもう1泊しようとスタッフに問い合わせてる所であった。やはり彼女もバスの長旅で疲れてしまったのであろう。裏庭にいくと、昨日の夜、サムライの話で盛りあがった二人の青年がいた。軽く挨拶を交わしておいた。しかし、今日も天気がいい。こう天気がいいとじっとして入られないので、一服した後街へ出かけることにした。クロンダイク・デイズというお祭りをやってるから、それでも見に行こうと考えた。部屋に戻って、適当に支度をし、バスに乗ってダウンタウンの中心部へと向かった。

 バスに乗りながら、肝心な事を忘れてしまったことを思い出した。クロンダイク・デイズがどこで行われてるのかわからないのだ。ユースのスタッフに聞いておけばよかったが、今更戻る気力もない。そんなことを考えながらもバスはダウンタウンの中心部にたどり着いてしまった。運良くバスの窓から、とある広場で露天が沢山出ている場所を、見つけることができた。多分ここがお祭りの会場だろうと思い近くのバス停で降りることにした。念の為、近くを歩いてた人に会場の方を指を刺して、あそこがクロンダイク・デイズの会場ですかと尋ねてみたら、そうだという返事が来たので安心してその場所へ向かった。会場は市庁舎の隣にある、サー・ウィンストン・チャーチル広場で行われていた。広場の入り口には、ヤンキーっぽい若者達が何人もたむろをしていた。日本でも、祭りや盆踊りとかあると必ずヤンキーが集まってきてたむろをしている。カナダでも同じであった。ヤンキーは祭りが好きなのだ。彼らを見てると、歩く人たちに何かいちゃもんをつけてる感じだったので、俺はあまり目を合わせないようにとサングラスをして、その場所を通り過ぎようとしたら、目の前でいきなりケンカが始まった。どうもヤンキーサイドが通行人の先住民系の人にケンカをふっかけたらしい。いきなりの出来事だったので、俺はあっけにとられ、その場で固まってしまった。すぐに会場の警備員がやってきて、仲裁に入ったのでケンカはすぐに収まったが、先住民系の人は口からよだれをたらしながら、ヤンキーに向かって「FUCK YOU!」と叫んでた。彼は腕のあちらこちらに、擦り傷が出来血が流れていた。彼は警備員に傷の手当てを受ける為、どこかに連れられてしまった。その後警官もやってきたのでヤンキー達は蜘蛛の子を散らすように、どこかへ行ってしまった。日本では祭りと喧嘩は華と呼ばれてるが、目の前でみてるとあまり気持ちのいいものではない。

 会場の周りには、日本でいう露店が沢山並んでいて、ライブ・ミュージックのステージもあった。露店は全てチケット制で、予め36枚綴りで22.50ドルで売られていた。後は、各々の店でチケット何枚かで食べ物と交換するシステムになっていた。ステージでは、とあるバンドがちょうど演奏をしてたので、しばらく見ることにした。


とある、バンド。こんなステージが設けられ、会場は盛り上がってた。

 結構知ってる曲を演奏してたのでなかなか俺的には気に入ってしまい、ずっと聞いていた。C.C.R.、ドゥービー・ブラザーズやアラン・ジャクソンなど、昔のロックやカントリーなど俺の好きなジャンルばかりだ。ギター&ボーカルのおっさんはいつも、
「あ〜、お腹すいた。中華が食いたいな。誰か差し入れをしてくれ。」と訴えていたが、誰も差し入れをする人はいなかった。このおっさんが、あそこの露店にいくとバイソンの肉をただで食わせてくれるぞというから、思わず俺もその店に言ってみることにした。そこの店はバイソンの肉をサイコロ状に細かく切って鉄板の上で焼いていた。道行く人に爪楊枝でさして配っていたので、一つもらうことにした。味は普通。一通りバンドの演奏が終わり、ステージも次のバンドが出てくるまで、1時間位の休憩に入ったから何もすることがなくなったので、昼飯を食いにチャイナタウンまで行くことにした。例のおっさんが「中華、中華」というからサブリミナル効果で俺まで中華が食いたくなってしまったからだ。チャイナタウンは広場から、歩いて10分位の距離であった。入り口に大きな中華門が立っているからすぐにわかる。この門を超えると町はがらりと、雰囲気が変わるのがわかった。今まで英語一色だったのが、漢字だらけの世界になっていた。「XXXX公司」「XXXX飯店」などなど。道行く人も圧倒的に東洋人ばかりだ。しばらく散策しながら、どの店で食おうかと迷っていると、とある食堂の看板に「ランチタイム4.90ドル」と書かれた店があったので、そこに行くことにした。

 店の中は結構広く、客は5人ほどしか居らずかなり空いていた。適当に空いてるテーブルを見つけてそこに座ると、チャイナ系のおばちゃんがメニューを持ってきた。ランチセットは日替わりになっていた。その他のメニューも一通り目を通し、「ヌードル・スープ・ビーフ味(ラーメン)」と「ランチセット」を注文した。しかし、この店の従業員の態度には、すッげーむかついてしまった。俺は2つのメニューを注文したつもりであったが、どうも言葉の行き違いがあったため、メニューはヌードルスープしか出てこなかった。まあ、このヌードル・スープはとてつもなく美味かったのではあったが、その後もう一つ頼んだ、ランチセットが一行に出てこない。ウェイターのおばちゃんが、プラスチックのプレートに請求書を貼り付けて持ってきたのをみたら、その請求書にはヌードルスープしか書かれてなかった。一つのメニューじゃ物足りないので、もう一度追加オーダーをしようと、そのウェイターに、
「すいません、追加オーダーしたいんですけど...」
「何?あんた、またこれが食べたいの?」
と先程食べたドンブリを指差しておばちゃんが怒った口調で言って。
「いえいえ、ランチセットを頼みたいんですけど。」
「どのセットが食べたいの?」
(メニューを見ないとわからねえだろと内心少々むかつきながら、でも表面上は穏やかにして)
「すいません。メニューをもう一度持ってきてください。」
というと、そのばばぁ(もう、おばちゃんとはいわない)はぶつぶついいながら、メニューを俺のところへ持ってきた。ばばぁは、なんだか機嫌が悪いらしく、俺がメニューを眺めている間も、そわそわとしながら心理的に煽ってくる。そんな感じだから俺もあまりメニューを眺めず、とりあえず目に付いた「カレー丼」を頼むことにした。するとそのばばぁは俺からメニューを引っ手繰るようにして取り上げ、「ふん!」といいながら厨房へ行こうとした。俺はそんなばばぁの態度に「ぷつん」と切れ、
「なんだ、このばばぁ!その態度は!」
と日本語で言ってしまった。もちろん表面上は笑顔でだ。あまり露骨に怒った態度で文句をいったら、厨房の置くから青龍刀を振りかざされるのも怖いので、あくまでも笑いながら怒るのが一つのテクニックだ。ばばぁは一瞬俺の方を振り返ったが、俺がニコニコしてるのを見て、厨房の奥へ入っていった。10分くらいしてカレー丼が運ばれてきた。ものすごいボリュームだ。ばばぁは、カレー丼を置きながら、
「13:30で閉店だから、もう追加はできないわよ。」
と言ってきやがった。
「わかったよ。ばばぁ。うるせぇーな。もうこれ以上食えねぇよ!」
と、「うんうん」と首を立てに振りながら、日本語で文句を言ってやった。しかし、むかつくばばぁだ。ちゃんと客に対する教育をしっかりして欲しい。味の方は、むかつくばばぁとは裏腹にとてつもなく美味い。これが唯一の救いであった。勘定をしたあと、くやしいから、そのばばぁにまた日本語で、
「二度とこねぇよ!」
といってやった。
 腹がとてつもなく満腹状態になりながら、店を出て。もう一度、会場へ向かうことにした。戻る際に、もう一度先程の店の件をおさらいしてみた。どう思い出しても俺の方に、ばばぁを怒らせるような態度が思い当たらないのだ。追加オーダーの時も、きちんと低姿勢でお願いをしていた。どうも、ばばぁはさっさと昼休みの休憩をしたい為に、俺が閉店間際に追加オーダーしたのが気に入らなかったようだ。しかし、今思い出してもむかついてしかたがない。

 再び会場に着くと、まだ演奏はやっておらず、待ってるのも暇なので会場の近くにあるシビックセンターに行き、時間を潰すことにした。センター内は冷房が聞いててとても涼しい。エドモントンの屋外はとても熱くて、サスカトゥーンを思い出してしまった。センター内にはショッピングモールがあるので、適当にブラブラと歩いているだけでも、十分暇つぶしができる。ちなみにエドモントン郊外にウエスト・エドモントン・モールという世界最大級のモールがある。モール内に店舗が800店以上、デパート10店、レストランやフードスタンドが110以上、映画館26、その上ホテル、プール、遊園地まであるという。しかも遊園地にはジェットコースターまであるということだ。バンジージャンプも出来るらしい。今回はそこには行かなかったが、機会があれば次回行って見たいものだ。

 センター内で体を冷やして、また広場へ戻ると新しいバンドが演奏を行っていた。今度のバンドは女性がボーカルでR&B系の曲を演奏をしていた。ステージの前の方ではノリノリの客が一生懸命曲に合わせて踊っている。しかし昼間はとても暑い...。直射日光を浴びてると、汗がだらだらでてくる。その代わり日陰に入るととても涼しいのだ。のどが渇いたから、近くの自販機に言ってバニラコーラというのを買ってみた。新製品らしく、日本でも売られてないからとても興味深かった。味の方は、コーラの味にバニラ味が加わったもの(当たり前か...)。いつもダイエット・コークばかり飲んでたので、ちょっと甘さがきつく感じがして、しつこい。しかも先程の中華料理屋でバカ食いをしてしまった後だから、炭酸が余計に胃を圧迫して苦しくなってしまった。ついでにビールも飲んでしまった。アルコール類はパブリックスペースで飲むことは出来ないので、会場に別途策が設けられていて、その中でしか飲むことができない。日本のように、ビール片手に、その辺を歩き回ることができないのだ。

 ステージの横がちょうど日陰になってたので、一旦そこに避難することにした。そこからずっとステージのライブを見てたら、ボーカルの人と目が合ってしまい、彼女はニコニコしながら俺の方を指差し、そんな所で見てないで、ここに来て踊れという仕草をしてきた。俺は思わず笑いながら、顔の前で手をふり断った。こんな暑さで踊ってしまったら倒れてしまうではないか。段々ライブを見るのも飽きてきたので、一旦ユースに戻ることにした。次のステージは21:00からで、「ブルース・スペシャル」とスケジュールボードに書かれていた。ブルースというジャンルも悪くはない。結構好きな音楽だ。そんな訳でもう一度、夜になったらこの会場へ行くことにした。

 ユースの部屋に戻ると、二人の青年がいた。ちょうど、今ついたばかりといった感じで、荷物を整理していた。「ハイ!」というと、二人は自己紹介をしてきた。一人はオーストラリアから、もう片方はイギリスから来た青年で、俺と同じようにグレハンのバスで旅してるとの事だった。俺が前回ホワイトホースから、30時間かけてここまで来たというと、オーストラリアの青年は
「30時間?俺なんかトロントから48時間かけてここまできたよ。」
といってきた。案の定彼らはバス旅で風呂に入ってないから、とても汗臭かった。あまりの汗臭さに鼻がもげてしまいそうだったので、適当に会話をやめて部屋を出ることにした。

 次のライブの時間までかなり余裕があるから、一旦シャワーを浴び、ランドリーで洗濯もしておいた。旅の最中では洗濯はこまめにやっておくのがキモだと思う。いつ何時選択が出来なくなる可能性も多々あるからだ。乾燥機に放り込んで乾いた頃、時間が20:00近くなってきたから、再び祭りの会場へ出かけにいった。

 会場は夜になると(とはいってもまだまだ空は明るいが)仕事帰りのサラリーマンが立ち寄ってる関係もあって人がかなりごった返していた。小腹が空いてきたので、日本料理の店にいって、寿司を頼むことにした。日本料理といってもチャイナ系の人がやっているだけだ。カルフォルニア巻きとBCロールを頼むことにした。カルフォルニア巻きは以前食ったことがあるが、そのときはアボガドが入っていたが、今回は、俺の大嫌いなキュウリが入ってやがった。1994年に初めてカナダに行ったときにバンクーバの寿司屋でカルフォルニア巻きを食ったのだが、その時は一瞬キュウリが入ってるものと思い一瞬ためらったのだが、よくよく食べてみたらそれはアボガドだったので、とてもうまく気に入り、何個も食ってしまったのだが。その時の記憶でカルフォルニア巻きにはアボガドが入ってるものと認識してたので、ためらわずくってしまったのだ。口の中に入れた瞬間、じゅわーっとキュウリの味が蔓延し、思わず吐き出してしまった。キュウリとアボガドは色が似てるから非常にまぎわらしい。口直しに、韓国料理の露店にいってみた。ここでは何故か「天ぷら」がメインで売られていた。天ぷらといえば、日本料理だろと思ったが、ここで文句を言っても意味がないので、野菜テンプラを頼むことにした。テンプラと言っても、具はニンジンとゴボウの細切り状態で、まるでサッポロポテトみたいな形状であった。天ぷらのつゆは自分で掛けるのだが、そのつゆはなんだか醤油ドレッシングのようであまり美味くない。結局半分くらい食べて後は残してしまった。

 ライブの時間がちかづいて来たので、アルコールの飲めるスペースに移動して、モルソンラガーというカナダのビールを買って、テーブルチェアに座ることにした。バンドのメンバーが出てきたので、彼らの楽器を見てみると、バンジョー、フィドル、マンドリン、ドブロなど、どうみてもブルースを演奏する楽器ではないことがわかった。演奏が始まると、曲はコテコテのブルーグラスではないか。俺はてっきりブルースと思っていたのだが。フルーグラスとブルースを読み違えてしまったようだ。でもブルーグラスも結構好きな音楽なので、そのままライブを見ていくことにした。21:00を過ぎると、気温は昼間と違ってぐっと下がり、過ごしやすい気温になってきた。俺のそばでは、酔っ払ったおやじが、Tシャツを投げ捨て、上半身裸になってブルーグラスの曲に合わせて踊りまくってる。周りからは冷ややかな視線を浴びていたが、その内そのおやじはステージの前に走り出し、腰をきゅっきゅっとくねりながら更に一生懸命踊りはじめた。ライブを見ている観客は演奏より、そのおやじの踊りに注目をし笑いが起こりまくっていた。そして更に、そのおやじに対抗するように一人の黒人女性もステージの前に出てきて、踊り始めた。彼女の体系はゴムマリみたいな感じなのであるが、身のこなしは軽く側転などを披露し、周りの観客を喜ばせていた。ライブは一時間位して、客のアンコールにも応えて終了した。バンドのメンバーが最後に、うちらの前で踊ってくれてた人たちにも盛大な拍手をというと、観客はその踊ってた彼らにも拍手をして、大いに盛り上がり、幕を閉じた。

 帰りはまたバスでユースに戻ることにした。バスの中では後ろの座席で黒人の若者達が、ぎゃーすか騒ぎまくってて、なんだかとても怖かった。ナンパでもして、引っ掛けた女性に電話番号を教えていて、彼女達がバスを降りると、必ず連絡してくれよとしきりにわめいていた。しかもバスの中をうろちょろと歩き回ったりもしてる。目を合わせようものなら、いちゃもんでもつけられるような雰囲気だったので、彼らには極力目を合わせないようにした。

 無事ユースに戻って、タバコをすって寝ることにした。明日はいよいよ、カナディアンロッキーに向けての移動だ。
(つづく...)
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