7/19ホワイトホース3日目 |
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*7/19ホワイトホース3日目(曇り後晴れ時々にわか雨)* 今日の目覚めは10:00であった。昨晩2:00まで飲んでいたので、起きた後も体がだるくて仕方がない。幸い二日酔いにはならなかったが。同部屋のY君が一生懸命カヌーツアーの準備をしていた。カヌーの店から予め水にぬれない為の大きなウォータープルーフのバッグが支給されるらしく、その中に荷物を詰め込んで店の前に集合するらしい。彼もカヌーというのがはじめての体験なので、どんなものを持って行っていいのか悩んでいた。荷物を全部持っていくわけにもいかないので、あるていどセレクトしなくてはならない。10日後にまたこの宿に戻ってくるといってたから、残りの荷物は宿に預かってもらう手はずにしてた。ツアーといっても、ほとんどがキャンプと言っていた。もちろんガイドが同行だ。いよいよ彼が出発するので、旅の幸運を願って固い握手を交わした。俺もいつか機会があればカヌーで川を下ってみたいな。 朝食の準備に取り掛かった。メニューは目玉焼き、食パンにピザソースを塗ったもの、マッシュポテトと紅茶。食後にタバコを吸うからデッキにでて食べることにした。昨日のハイキングと夜遅くまで飲んでたので疲れがとれず、何もやるきが起きない。ワーホリのSさんがベリー茶を入れてくれたので頂くことにした。ベリー茶はきれいな紫色をしてて、なかなかおいしい。お茶を飲みながら、ずっとSさんといろいろと世間話をして時間をつぶす事にした。Sさんと話をしていると、一人の男性が話の中に入ってきた。デッキにいると、宿の住人が入れ替わり立ち代りくるので、ちょっとした国際的な社交場と言った感じでなかなか楽しい。一人で居ても、寂しくなったらここにくれば誰とでも気軽に会話をすることができる。何だかこの場所が段々と気に入ってきた。 「昨日はどこか飲みにいってたのか?」 と尋ねてきた。彼は俺と同じ部屋の人でガイルと名乗った。最初発音が難しくて、「ゲイル」「グァイル」といろいろ聞きなおしたが、めんどうくさいので「ガイル」にした。(Sさんとの間では「フレンチ君」というあだ名で通してた...)フランスからやってきて、ホワイトホースでアパートを探す為いい物件が見つかるまでこの宿に居座ってるとの事であった。彼のベッドの周りはいかにも長期滞在といった感じで衣類がカバンの周りに散らかった状態であった。 「バックウォーターという店でライブミュージックを聞いてきたんだ。」 「誰といっしょだったの?」 「いや、一人で飲みに行ってきたんだよ。」 Sさんはそれを聞いて妙に驚いていた。一人で飲みに行く行動が信じられないらしい。俺にとって一人で飲みに行くということは別に大した行動ではない。飲みたくなったら飲みに行くそれでいいではないか。ライブミュージックのやってるパブなんかは、まさに一人で飲むのには適してる場所だと思う。話す相手がいない分ずっと音楽を聴いてればいいのだ。午前中は結局デッキでのんびり3人で会話を楽しんだ。 午後になったので、自転車を借りてダウンタウンを散策しようと思った。ここの宿には無料で貸してくれる自転車が20台近く置かれている。オーナーに申し出をし、どの自転車にするか迷ったが、無難なMTBを一台借りることにした。もちろん盗難防止用に大きなU字型をしたスチール製の鍵もついている まずは昼飯を食いに宿の近くにある「ノースドラゴン」という中華レストランに入った。宿では自炊をしてたが、即席ラーメンばかりでは飽きてしまったので時には外食も楽しみたかった。テーブルにすわるとチャイナ系おばちゃんがメニューを持ってきた。一通り目を通し、聞いたことのない名前があった「ビーフ・チョーメン」というのを頼んだ。しばらくまって運ばれてくると、相もかわらず皿の上にてんこ盛状態の「チョーメン」というのが運ばれてきた。「チョーメン」とは焼きビーフンのことであった。ついでに箸も頼んだ。デザートには定番の杏仁豆腐もついてきた。味はまあまあ、でも当分くいたくないなという感想であった。それに見た目の量の割にはいまいち腹にたまらなかった。レジで会計をすませると、おばちゃんが、 「日本人ですか?」と声をかけてきた。 「そうだけど。」 「学生さん?」 三十路をとっくにすぎてるのに、学生にみられるのはなんだか恥ずかしいやらうれしいのやら複雑な感じだ。サスカトゥーンの時も学生に間違えられたな。俺は笑いながら否定して、ただの旅人だと答えた。厨房の奥からご主人らしき、おじさんも現れて、中国語なまりたっぷりの英語で会話に混じってきた。5分くらい世間話をして店をでた。 ダウンタウンを自転車で走っても、あまり面白くはなかった。ダウンタウンの端から端までは歩いても30分位の距離だからである。でも暇だからアベニュー毎くまなく走ってたらにわか雨に振られたので、マクドナルドに入って雨宿りをすることにした。先ほど食べた「チョーメン」では物足りず、小腹がすいてきたのもあった。さすがにビックマックセットは食えないから、ベーコンレタスバーガーみたいなセットを頼んで時間をつぶす事にした。店内は子供連れの奥様方が多い為、井戸端会議のような社交場となっていた。雨が早くやんでくれないかと窓の景色をひたすらながめていたら、ある光景が目についた。それは自転車で来てる人達は駐輪スペースに自転車を置くと、サドルをとりはずしていくのである。その他にも前輪をとりはずして自転車のボディに横付けしてカギをかけていく姿も目立った。これは全て盗難防止の対策であった。いい自転車であればあるほど、皆そうしていた。日本ではそこまでしてる人は見たことがない。せいぜい頑丈そうなカギを掛ける程度だ。見ててなんだか驚いてしまった。 1時間くらいすると雨もようやく上がったので、店を出ることにした。街中のサイクリングは飽きてしまったので、ダウンタウンの南の端にある、「SSクロンダイク」の見物をしに行くことにした。ここは、ユーコン川のすぐそばに大きな蒸気船が陸揚げされている。その昔、道路もなく交通が船だけの時代であったころを再現するために、大きな水車のような外輪を取り付けた船を博物館にしているのだ。 ![]() 近くの土産物屋のカウンターで博物館に入るためのチケットを購入した。カウンターのおやじが次のツアーは○○時だから時間になったらあそこのテント小屋に行くようにと指示された。時間になったのでテント小屋に行くと、中は長椅子が何列も並べられ、前の方に一台のテレビが置かれていた。時間になるとツアーガイドがやってきて、いろんな説明をした後、ビデオを見せられた。ビデオの内容はユーコン川にまつわる歴史の説明をしてたが、英語で聞いてもよくわからんので、そのうちウトウトと眠くなり爆睡をしてしまった...。夢うつつの中、あたりが騒がしくなったと思ったら後ろからポンポンと背中をたたかれ起こされてしまった。はっと気づくとビデオの上映は終わり、船内のツアーが始まるところであった。起こしてくれた人には照れ笑いしながら礼を言っておいた。 船内に入ると、機関室と食料倉庫のような感じになっていた。黒ひげゲームに出てくるようなビール樽が沢山置かれていた。燃料は石炭ではなく薪を燃やしてエンジンを動かしていたそうだ。薪がなくなると船を停泊させ近くの森から木を伐採してそこで燃料を補給していたとの事。乗客もそんな事情を知っていてか、誰も文句をいわず停泊している間周辺をハインキングしたりなど、ずいぶんのんびりとした船旅であったらしい。一分一秒でも遅れるものならクレームの嵐となる忙しい現代では考えられない船旅だ。 ![]() ![]() ![]() ツアーは、下から上に順番にあがり、くまなく見学をした。一部立ち入り禁止になってるところもあるが、それでも周辺からみることができる。まあまあ楽しめますね。 ![]() さて、見学ツアーも終わったので次はマクブライト博物館という所を見学しにいってきました。ここはユーコン川のゴールドラッシュ時代の資料を展示してあるところ。ところが時間が遅かった為、受付でもう閉店なので明日またきてくれと冷たくいわれ断念しました。 ![]() カヌーピープル:http://www.kanoe.yk.net/ クロンダイク・カヌーイング・レンタルス:http://www.klondikecanoe.yk.ca/ (日本人スタッフ、日本語用のサイトもあります) アップノースアドベンチャー:http://www.upnorth.yk.ca/ (英語とドイツ語のサイトのみ) 宿に帰る途中で土産屋により、Tシャツを買っていった。土産物屋のTシャツは決まってデザインがクマ、狼、白頭ワシが多い。あとエルク、カリブー、ムースのデザインもある。とりあえず黒地にグリズリーのデザインのTシャツを買った。カナダ製やアメリカ製のTシャツはとても物持ちがよく5年位は着れる。プリントもなかなかあせないところもいい。これが中国製とかになると値段は安いがすぐによれよれになってだめになってしまうことが多い。カナダに来てTシャツを買うなら必ず製造国を確かめて買ったほうがいい。 宿に戻って、晩飯を作った。いいかげん即席ラーメンばかりで飽きてしまうが仕方がない。なるべく食料はその土地で買って消化するようにした。でないと荷物が増えて困るからだ。デッキにでて、外の景色をみながら食べた。ここの宿ではほとんどこのデッキに入り浸るようになっていた。タバコも吸えるし、なんといってものんびりとくつろげる場所だからだ。ガイルも相変わらず同じ場所に入り浸っていた。今日もいい物件が見つからなかったようだ。今日もライブミュージックを聞きにいくのかと尋ねられたので、もちろんだよと答えた。一緒に行かないかと誘ったが、今日はアパート探しで疲れたからまた今度にするよと断られてしまった。デッキも夕食時で込み始めて来たので、後から来た人に場所を譲って、PCルームに行くことにした。しかし、先客が居たのでラウンジでCDでも聞きながら、しばらく待つことにした。たまたまニール・ヤングのCDがあったから、椅子に座ってボーッと聞いていた。ニール・ヤングはカナダ出身のミュージシャンだ。写真でみると、なんだか怖そうなおっさんであるが、その風貌とは裏腹にとても声が高くてギャップを感じてしまう。ようやくPCルームが空いたので使わせてもらうことにした。ここのPCは日本語ソフトにも対応してるからとても便利だ。設定内容をちょちょっと変えればいいだけ。しかもご丁寧に、壁に貼り付けられたメモ用紙に操作手順が記載されている。日本語ソフトが入ってないと、当然のごとく日本語を打ち込むことができない。(閲覧は可能)ただしキーボードにはひらがなは書かれてないのでローマ字入力が必要だ。日本語の他にも韓国語、中国語にも対応してある。日本にいる友人達にここからメールを送った。PCルームには宿泊者用の電話も置かれている。最初、俺は宿のスタッフ用の電話かと思い、かかってくるとすぐにSさんを呼び出したのだが、何回も呼び出しをしたら、この電話は宿泊者用の電話なので取ったら自分で探し出して欲しいと怒られてしまった...。 メールを送信し終わった後、なにもやることがなくなってしまったので、またデッキでくつろいだ。たまたまそこにいた、ピッツバーグからきたアンジェラという娘と世間話をした。彼女は缶の中から巻きタバコ用の葉を小さな紙の上に取り出して吸っていた。巻きタバコはフィルターがないから俺にとってはとてもきつく感じるタバコだ。彼女はなれた手つきで紙をくるくると巻いて吸い始めた。グレイハウンドのバスで4日間も揺られてここまで来たというから、驚きだ。ホワイトホースで適当に職を探して旅の資金をためるて、その後はアラスカ方面を目指すといっていた。ぽっちゃりした体系に口元にピアスをしていたのが印象的であった。Sさんがやってきて、伝言を頼まれた。ガイルと何か約束をしてたらしいが、本人がどこかにいってしまい困ってる様子であった。Sさんもこれから英会話スクールで2時間ほど留守にするからこれ以上待てないということであった。彼女の伝言内容を聞いて了解しておいた。アンジェラが部屋に戻ったので、デッキは再び一人ぼっちになった。コーヒでも飲もうとキッチンにいくと、一人の日本人女性がいた。彼女はWさんと行って、今朝ホワイトホースに来たばかりの人であった。俺と同じ日にトロントに到着し、一ヶ月かけてグレハンのバスでカナダを旅するらしい。スケジュールを聞いて驚いたのだが、イエローナイフに行って、バンフ、ジャスパーを経由してここまで来たという。明日ここを経ち、カナダの東海岸まで旅するというから驚いてしまった。一ヶ月でカナダ縦横断というとてつもないハードなスケジュールだ。案の定話を聞いてると、ほとんどバスでの移動といった感じであった。彼女もワーホリ経験者で1年ほどトロントに在住していたと行っていた。お互いバス旅の大変さを愚痴りながら、話をしているとガイルがやってきた。Sさんからの伝言を伝えておいた。彼は約束事をすっかり忘れていたらしい。なんともいいかげんな奴だ。その後3人でおしゃべりをはじめた。Wさんはさすがトロントに1年在住してただけにあって英語が堪能だ。俺も最初は会話に混じっていたが、英語のスピードについていけず、断念した。もううなずくだけが精一杯なのだ。当然会話の中身などわからん。その内一人暇になってきたので、もりあがってる二人に 「そんじゃ、飲みに行ってくるんで。」 と断って一人で飲みに行くことにした。行き先は昨日と同じバック・ウォーターという店だ、その前にまたユーコン川のほとりに行き、エンヤの曲を聴きながらたそがれた。 ![]() ![]() ![]() 音楽を聴きながら、ひたすら黄昏た。昨日に引き続き、一番幸せな時間帯だ。川沿いの遊歩道の彼方で黒いラブラドールレトリバーが飼い主と散歩してるのが見えた。飼い主が木の枝を川に放り込むと、その犬は一目散で川に飛び込んで行った。しかし川の流れは結構速い。時速10km位のスピードだ。犬は枝を拾ってくるのを諦め、犬の後方にいる飼い主めがけて一生懸命泳いでいくが、川の流れには勝てずどんどんと流されていく。俺はそんな光景を見てて犬がずっと岸にたどり着けず流されてしまうのかと心配してしまったが、その犬はとても利口で川上に向かって泳ぐのを止め、流されながらも岸に向かって方向を変えて泳ぎ始めた。犬はすんなりと岸につき体についた水をブルブルと体を震わせて水をきった。1時間位音楽を聴いたので、飲み屋に向かうことにした。しかし飲み屋は何故か閉店してて、鍵がしまってた。 「うそだろ?今日は土曜日なのに何故?」 土曜の夜といえば、盛り場で商売してるならば、どこの世界でも稼ぎ時の日じゃねぇか。なんだか理解ができなかったが、仕方がないので、ふてくされながら宿に戻ることにした。とちゅうコンビニに寄って、あられを買った。冷蔵庫にあるビールのつまみにしようと思ったからだ。宿に戻るとキッチンにはまだガイルとWさんが会話をしてた。俺があまりにも早く帰ってきてのでビックリした様子であった。Wさんが俺に英語で、 「ガイルさんも、本当は飲みに誘って欲しかったんだって。」と言ったので、 「(てめえ、晩飯時に俺が誘ったらいかねえって言ったくせにと内心ちょっとむっとしたが)ああ、すまない。でも今いったら閉店だったよ。信じられん。土曜の夜だぜ。」 というとガイルが 「明日は行かないのか?」 「明日?だめだ。明日はここを発つんだよ。それよりビール飲まないか?」 最初は二人とも遠慮して断ったが、一人で三本も飲めないというと、Wさんが、じゃあみんなで飲みましょうということになり、バドワイザーを二人に配った。つまみにあられをだしたら、ガイルがなんだそれというので、 「あられ。ライスクラッカーみたいなものさ。味はしょっぱいよ。食べてみる?」というと、手を顔の前でふりながら、いらんと言われてしまった。誰も食べようとしないから一人でぼりぼり食べるのもあれなので結局フード用のかごにしまってしまった。 しばらく3人でビールを飲みながら会話をした後、再び会話についていけなくなり、俺は部屋に戻って寝ることにした。明日はいよいよ、ここを発つ日だ。でもまたグレハンで30時間も揺られなくてはならないと考えるとちょっと憂鬱になってしまった。 (つづく...) |
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