7/16ドーソン・クリーク〜ホワイトホース |
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*7/16ドーソン・クリーク〜ホワイトホース(曇り時々晴れ)* エドモントンからバスに揺られて、ドーソン・クリークに向かってるわけだが、あまり寝れないため結構疲れがたまってきた。空もようやくしらんできたので多少は車窓から見える景色がたの楽しめるようになり、時間が経つのを少しは忘れる事ができるようになって来た。しばらくすると、バスは街の中に入ってきた。時間も7:00近くだから、この街がドーソンクリークであることは間違いがない。街の道中で「アラスカ・ハイウエイ」の基点となる道標が立っているのがみえた。アラスカ・ハイウェイは、ここブリティシュ・コロンビア州のドーソン・クリークからアメリカのアラスカ州にあるフェアバンクスまで全長2400kmの道路である。1900年のゴールドラッシュがなくなると、このアラスカハイウェイ周辺は40年程放置されていて、まさに陸の孤島であったのだが、太平洋戦争勃発後当時のフランクリン・ルーズベルト大統領が日本軍がアラスカからアメリカ大陸に攻めてくることを恐れて、このハイウェイ建設を命じたという。そして今回目指すホワイトホースはここから1477kmの距離で所要時間が約20時間、なんとも気の遠くなりそうな距離である。 バスが街の中に入ると、俺は窓の外を眺めながら適当なホテルがないか見渡すことにした。ホワイトホース行きのバスは月・水・金のみであると、時刻表に書かれていたからだ。今日は火曜日。明日の8:15発のバスに乗るためにはどうしてもここで一泊しなくてはならないからだ。街自体は小さく大きな建物もないので、いがいと見渡すことが可能だ。近くに観光する場所がないのかガイドブックにも乗ってない街である。バスがディーポに到着すると、終点であるため乗客全てが吐き出された。ディーポ内には、これからバスに乗ろうとするバックパッカー数名が待機していた。 さて、これから宿を探す準備をせねば。しかし朝7時では観光案内所も開いてないから、しばらくどこかで時間をつぶさなくてはならない。とりあえず時間はたっぷりあるから慌てることなく、のんびり構えることにした。トイレに行きついでに洗面所で歯を磨いた。外にでると1台のバスが発車をする準備をしてて乗客が乗り込んでいるのが見えた。どこ行きだかわからないが、エドモントンから乗っていた乗客も何人かいる。よくみると、俺の隣に座っていた高校生位の少年もバスに乗ろうとしているではないか。確か彼も俺と同じホワイトホースといっていたので、もしやと重いバスの正面にある行き先をみたら「WHITEHORSE」と書かれているではないか。おかしいな、ホワイトホース行きは月・水・金のみの運行のはず。なぜ?と考えたが現実にホワイトホース行きのバスがあるのは事実である。慌ててカウンターへ行き、パスを見せて「ホワイトホース」までと行き先を告げた。カウンターの係員は先ほどのバスを指差し、あのバスが8:15発だからと教えてくれた。係員は親切にユーコン準州のタグも俺に渡してくれた。急いでボールペンでタグに名前を記入し、そのタグを荷物にくくりつけバスに向かった。バスは一旦車内の乗客のチケットのチェックの為、俺は締め出された形となり、乗降口の前でぼーっと立ち尽くしていた。車内のチェックがようやく終わり、バスに乗り込むと2列シートは既にふさがっていたので、またエドモントンンの時のように、一言断って席を座ることとなった。幸い俺の隣に座ってた人は次の停車場所で降りていったので、これで2列シートを独り占めにできるかと思いきや、休憩中に先住民の人が座ってしまった。とりあえず辺りを見回すと、開いてる席があったので、そこに移動することにした。席を離れる際は念の為、座席になにか荷物系を置かないととられることがある事がわかった。車窓から見える景色は、段々大平原から緑が多くなってきていつのまにか森の中を走ってる風景にかわってきた。 ![]() そして民家もどんどん減り、ひたすら森の中を走ってる景色へと変化していくのがわかる。森林の中に一本のアスファルトの道路があるだけである。なんとも寂しいというか、よくぞ森を切り開いて道を造ったものだと感心してしまう。窓の景色を見ても、すぐに飽きてしまうので、休憩の時にタバコを吸うのが、段々と楽しみになってしまった。「タバコくれくれ君」は相変わらず俺のところに、ハエのようにたかってくる。唯一救われるのは、みんな、1ドルコインを見せて売ってくれというところだった。しかし何故か俺は金を受け取らず譲ってしまった。皆もあまりの退屈さにタバコでも吸ってないとやってられないのであろう。 通路をはさんで、俺の隣の列に座ってるアントニオ・バンデラス似の青年がリンゴをシャリシャリを音を立てて食い始めた。なかなか食べ方がさまになっててかっこいい。バックパッカーというのはなぜかリンゴが似合う。これは俺が勝手に抱いてるものではあるのだが。多分俺がやっても、動物園のクマが与えられたエサにかじりついてる光景になって似合わないであろう。 とある場所でバスが何もない道路で停車をした。信号が全くない所でなんだろうと思い前の方をみると、車が沢山並んで停まってた。どうも道路工事か何かで通行止めになってるようだ。 ![]() いつまでたっても通行が解除される気配がないので、運転手が10分程停車するからみんな降りていいよ。というので外に出ることにした。但しバスより前や後ろと道路を横切ってはならないという制約がアナウンスされた。長時間のバスは退屈であるから、こうやって外にでるというのは格好の気分転換になる。真っ先にでるのは俺を含めた喫煙者達。グレハンの中は禁煙だから、みんな我慢をしてるのだ。外にでるとやれやれと言った感じで一服に興じる。この辺りで、だいぶ同じバスに乗ってる人たちと会話ができるようになってきた。みんな俺の事を中国人と思ってるらしく、大抵会話の最初に、 「君は中国人か?」 と尋ねてくる人が多い。すかさず俺も、 「いえ、日本人です。」 と答えるパターンだ。暇だからついでに写真をとってもらおうと、デジカメを渡して何枚か撮ってもらった。カナダではデジカメがあまり普及してないのか、結構珍しがる人が多い。撮った後に、カメラの後ろにあるモニターで確認ができることに対してビックリするパターンが多いからだ。ワトソンレイクに向かうおじさんに写真を撮ってもらうと、 「すげーな。撮った写真をその場で確認ができるのか〜。いくらくらいするんだ?」 「5万円です。カナダドルに換算すると、6000ドル位かな?」 「何?6000ドル?」 「ごめん間違えた。600ドル位です。」 「そうだろ。あーびっくりした。」 日本で買った金額を尋ねられると、いちいちドル換算しなくてはならないから面倒くさい。でも、こうやって、バスの乗客といろいろと話ができるのは、バス旅の楽しみの一つである。周りの人達はとっくに打ち解けあってて、ここまで来るのに、俺一人が一人で浮いてた状態であった。乗客はほとんどが若者のバックパッカー。ちなみに東洋人は俺一人だけ。 バスはようやくまた動き出し、ホワイトホースを目指して走り出した。地形も起伏に富だし、アップダウンもかなり多くなってきた。民家などほとんどない。1時間に1回位、ガソリンスタンドがある位だ。まさに森の中をひたすら突き進んでいく感覚だ。バスは時々、観光バス見たいなキャンピングカーを追い抜いていく、窓の景色をずっと眺めていた俺は、ふと共通点を見つけた。キャンピングカーの運転手はほとんど老人なのだ。傍からみると、キャンピングカーにカヌーとか乗せて、いかにもアウトドアの達人風の人が乗ってるのかと思いきや。70歳を過ぎた老人がその体系に似合わぬ大きなキャンピングカーを運転してるのだ。なんだかびっくりというか、行動的な老人に敬意を表したい気分にかられてくる。 突然誰かが、 「見て!クマよ!」 と叫んだので、乗客全員が一斉に言われた方向を見始めた。ブラックベアの子供が1頭だけ、道路わきの草村のところをヒョコヒョコと歩いているのが見えた。この地に来て初めて野生のクマを見ることができとても嬉しくなってしまった。考えてみれば、今回の旅は野生の動物を見るのも一つの楽しみとしてたのをすっかり忘れてた。周りは森だらけ。いつ動物が出てきてもおかしくない光景だ。クマを目撃してから俺はまた動物が見れないか、真剣に窓の景色を見るように心がけた。すると、しばらくしてまたブラックベアの子供を見ることが出来またまた感動をしてしまった。しかしバスから眺めることしか出来ないので、目撃が出来ても時間的にはあっという間しかないのがちょっと残念だ。それ以降動物との出会いはぱたっとなくなってしまった。 景色が丘陵から山岳地帯に入るとバスはまたなにもないところで停車した。また休憩だ。 ![]() ![]() バスから降りると、とある青年が俺に声をかけて来た。 「あなたは、中国人?それとも日本人?」 「日本人だけど。」 「おぉーよかった。俺の名はカイルというんだけど、この間背中に自分の名前を日本語で刺青したんだ。日本語読めないから、ちゃんと書かれてるのかみてほしい。」 といい、着ているTシャツをぶぁっと脱ぐと彼の首筋から背中に掛けて縦に、「カイル」とカタカナの明朝体で彫られいた。それをみて俺も思わず声をあげ 「お〜、カイル。すげーよ。バッチリだよ。」 というと、彼はちゃんと自分の名が日本語で書かれてるのを安心したのかうれしそうにニコっと笑ってうなずいた。日本語もずいぶん国際化されたものだ。 バスが停車したところは、山々を展望のできる道路わきのスペースであった。見渡す限り上記の写真のように深緑色の森が延々と続いている。しかし、グレハンに乗ってて、こういった停車場でもないところに停まるなんて初めてであった。できたら観光バスのように、名所でいろいろと停まってもらいたいものだ。 バスは10分程休憩してまた走り出した。森の中をグングンと進んでいく。また、窓の景色をぼんやりと眺める行為に移った。お昼を過ぎたあたりに、とあるガソリンスタンドに停まり、ミールタイム(食事の時間)となった。アラスカハイウェイ上のガソリンスタンドには大抵食堂、お土産やも併設されている。朝から何も食べてないので、食堂の棚に売られていたサンドイッチとフレープフルーツジュースを買うことにした。 ![]() 小雨が多少パラつく中で、ビーフとハムチーズのサンドイッチを食べた。しかしサンドイッチ2つとジュースで合計12ドルはあまりにも高い。ちょっとした街にでれば、結構ボリュームのある料理が食える金額だ。なんだか足元をみられてるような感じになってくるが、北に行けば行くほど物価が高くなってる気がする。それだけ単価に輸送費が含まれているのだろう。品揃えもとても貧弱だ。食堂のメニューもハンバーガー関係、フレンチフライとスープ関係がメインだ。後は棚に置いてあるサンドイッチと菓子パンみたいなやつとスナック関係しかない。でも腹が減っているから背に腹は変えられない。夜行バスだからその分宿泊費も浮くし。サンドイッチを一気に食い終わり、一服しながらその辺を見回してると、おっさんが、手招きしてこっちに来いと手招きをしてるので行ってみることにした。手招きしているおっさんは、俺と同じエドモントンから、ずっと同じバスで一緒であった。なんとなく挙動が変なので、妙に印象深く覚えてはいたのだが、会話はほとんどしてなかった。呼ばれて初めてお互いに自己紹介をしあった。おっさんはチェコ出身でもう何ヶ月もカナダを旅してるという。これからアラスカへ向かう為に、このバスに乗ってるという。彼は雨よけに大きな杉の木の下にあるテーブル付のベンチに座り、ヌードルスープ(日本でいう即席ラーメン)を半分に割り、先程のGS内にある食堂でコーヒー用の紙コップとお湯をもらって、そのなかに麺をいれて食べていた。彼は俺が日本人だと知ると、いろいろと説教をたれ始めた。 「日本人は海外にくるとお金を沢山使うな。前に一度ハワイに行ったことがあるが、日本人だらけだったぞ。そして彼らは高価なバッグなどを買い捲ってた。君もお金を使いすぎだぞ。俺なんか見ろ。今の食事代はたったの50セントだ。俺はいつも大きな街にでると必ずスーパーに行って食材を買いためるんだ。それからタバコは止めろ。その分お金を節約するんだ。」 前半の部分はあたっているので、多少うなずいていたが。後半の部分はちょっとカチンときてしまった。 「(うっせーな。どう金を使おうと俺の勝手だ。俺なりの予算内で抑えてるから口出しするな。俺なりに高ければ手を出さないし。旅にはメリハリが必要なんだよ。抑える時は抑える。使うときは使う。これでいいじゃないか。それに日本人は休暇がせいぜい1週間くらいしか取れないから、みんな少ない時間内で思いっきり楽しもうとしてるんだよ。買い物の旅の楽しみの一つになってるからな。何ヶ月も長期に旅にでれる時間があれば、大体は節約しながら旅をするだろう)」と言いたかったが、そこまでの英語力がなかったから言い返すことができなかった。やっぱ語学力の必要性を身にしみてしまった。反論ができないのだ。それにしても、おっさんが言うことは日本人の海外での行動は大体あたってる。他の外国人にもそう見られてるのであろう。俺も、それなりにかなり節約して行動をしてるのだが、それでも外人からみれば、一緒に扱われてしまってるのだ。彼はその後もしきりに俺に対し、「金を使いすぎだ。タバコはやめて節約しろ。」といいはなった。あまりにもうるさいから、話題を変えようと、あたりを見回したら、近くにでかい犬がいたので、そちらに話を向けさせた。よくみるとハスキー犬のようだ。ただ日本で見るシベリアンハスキーとはちょっと違う。毛の長さと体系だ。なんだか小熊くらいありそうだ。チェコのおっさんも「ハスキーだ」と俺に教えてくれた。近くに寄って、頭でもなでようかと思ったら。思いっきり、ほえられたので、びびって近寄るのを断念した。国もでかけりゃ、犬もでかくなるのか?... ![]() 夕方近くになると景色が少し変化してきた。山岳的な森の風景から、森林限界線を越えた、灰色の岩肌が剥き出しとなった山々が見え始めてきた。景色が変わると、再び車窓から見える光景みようと力が入る。ふと、とある湖にでた。湖岸線はうねうねと曲がりくねっている、あるカーブを曲がると急に動物の群れに遭遇をした。道路上にビッグホーン・シープかドール・シープの群れがむさいでいるではないか。向こうも急にバスが目の前に出てきたのでビックリした感じで道路わきにある崖をスタコラと上っていくのがみえた。 ![]() この動物やたらと、土を食べてたけど。そういえば土にあるミネラルを食ってるとなんかの本に書いてあったな... やがてバスはミールタイム(食事時間)に入り、とあるガソリンスタンド兼場末な食堂が併設されてる所に停まった。ずっとバスの中に閉じ込められた状態だったので、そんなに腹が減ってないから、今度はサンドイッチ一つを買おうとしたけど、サンドイッチは売ってなく、甘い菓子パン系しか置いてなかったので、それを一つ買うことにした。店内にホワイトホースのガイドブックが置いてあったから、ちょっと立ち読みをしてみた。ホワイトホースの店、地図などの情報が書かれてる。表紙をみると「Free」と書かれていたから、すかさず頂くことにした。他にもドーソンシティ、スキャッグウェイ、ワトソンレイク、はたまた北極海沿いにあるイヌビックまであったので、全部もらうことにした。これでまた荷物が増えてしまった。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ふとトイレに行きたくなったので、食堂のトイレに並ぶ事にした。バスにもトイレは装備されているが、結構汚いのであまり使う気がおきない。他の乗客も俺と同じ考えなのだろうか結構並んでいた。ようやく俺の番になり、トイレに入ると、前の人(グレハンの運転手)のウ○コが水洗トイレの中にプカプカと浮いていたので、すかさずもう一度水を流してやった。他人のウ○コが視界に入るのはあまりいいものではない。実は俺も大の方をしたかったのだ。とりあえず用を済まし、ケツを拭こうとトイレットペーパを取ろうとしたら紙がない...。 「うそだろ...」 と思っても現実に紙がないのだ。携帯用のティッシュはバスの中に置きっぱなしにしてある。ここで大きな声で「紙をくれ。」という訳にもいかないので、仕方がないから、水道で手を拭く為の紙が置いてあったのでそれで拭くことにした。便器に座ったままでは届かないから、中腰で少し歩いて手拭用の紙を5〜6枚取ってきて再び便座に座ってケツを拭く事にした。紙はトイレットペーパーと違ってとても厚手で、拭くとかなり痛い...。わら半紙で拭いてるような感じだ。しかしこの紙は水で流すことができないから、拭き終わった紙は新しい紙で何重にもくるんでゴミ箱に捨ててしまった。いやはや、トイレに入ったらまずトイレットペーパーがあるか確認すべきとつくづく思ってしまった。用を済ませてそそくさとトイレから出た。次に待ってる人にトイレの紙がないよとなぜかいえなかった...。なぜかさっさとそこから離れたかったのだ。外に出てタバコを吸いながら、先程店からもらってきたホワイトホースの小冊子をパラパラと眺めてると、チェコのおっさんが、俺もそれが欲しいといってきたので、店の中にあるからと教えてあげた。しばらくすると、バイクの音が聞こえてきたので、そっちの方をむくと、若い姉ちゃん二人組みが四輪のバギーにのってやってきた。どうもここの店の娘らしい。彼女たちはバギーにのると、「イェーイ」と大きな声をだして、走り去っていった。道路を横切り、しばらく見えなくなり、またはるか向こうに姿がみえるとこっちに向かって手を振り上げ「イェーイ。」と叫んでる。まさに若気のいたりだ。ちなみに誰一人彼女らに手を振って応えてる人はいなかった。ミールタイムの停車だから結構まだ時間があった。ゴールデンレトリーバーの犬が放し飼いされてたので、暇だからその犬と遊ぶことにした。二匹の犬はとても人懐っこくてかわいい。尻尾をフリフリしながら、俺のところに擦り寄ってくる。英語で「お座り!」というとちゃんとお座りをしてくれる。「お手」を英語でなんというかわからなかったので、日本語でいってしまった。それでも手のひらをだすと、きちんと俺の手に足を乗せてくる。結局出発するまでずっとその犬と遊んでしまった。 ![]() バスが走り出すと湖のあるところに出てきた。そしてバスはとある湖が見下ろせる場所に停車した。 ![]() マンチョレイクで再び休憩というか写真タイムといったほうが正解かもしれない。なかなか幻想的な湖だ。 ![]() なにやら解説が書いてある。標高817m。マンチョとはカスカ語で大きな湖を意味する。長さ12kmはカナディアンロッキーの中で一番大きな湖だそうだ。カスカ語ってこの辺の先住民の言葉か?...。太陽の光の反射で時間帯によって湖の色が変わるらしい。 ![]() マンチョレイクには10分程停車をした。ホワイトホースまでの道のりはまだまだ長く、みちもウネウネと続いている。そろそろ、ホワイトホースでの宿をどうするか、真剣に決めないとと思い。日本から持ってきたガイドブックと先程のガソリンスタンドからもらってきた小冊子を眺めることにした。現地でもらった小冊子はタウンページを見るような要領で、アルファベット順でジャンル別に探すことが出来る。幸い「HOSTEL」とかかれているのを見つけたので、じっくり見てみることにした。ホワイトホースには3件のホステルがあることが判明した。値段は書いてないが「BACK PACKERS」とかかかれてるからそんなには高くはないだろう。ちなみにユースは2003年に開設される予定だ。とりあえず、安宿を見つけることができたので一安心した。日本のガイドブックにはそこまで書かれておらず、70ドル以上の宿の紹介しかない。まったくしっかりしてもらいたいものだ...。ふと、背中に自分の名前の刺青をしたカイル君と目があってしまった。彼は俺がずっとホワイトホースの小冊子を眺めてるのを知ってか、 「ホワイトホースに行くのか?」 「そうだよ。」 「どこに泊まるんだい?」 「ホステルがあるから、そこに泊まろうと考えてる。」 「お薦めのキャンプ場があるよ。」 「何?どこのキャンプ場?」 俺はその小冊子を彼のところへ持っていった。 「ロバート・サービス・キャンプ場さ。このROBERT SERBICE WAY沿いを歩いていけばわかるよ。俺は毎年ホワイトホースに行くとここに泊まるんだ。」 「一泊いくらくらいなの?」 「確か、12ドルだと思った。」 「そうか、ありがとう。俺もキャンプ道具を持ってきてるんだ。」 なかなか貴重な情報を手に入れることが出来た。考えてみればキャンプ道具を持って来ているのではあるが、まだ一度も今回の旅では使っていない。値段が安いのも魅力だ。まずはキャンプを第一候補にしてホステルを第二候補にすることにした。宿泊の予定がきまったので俺は再び、窓の景色を眺めて野生の動物探しに没頭した。 しばらくすると、道路のはるか彼方に、動物らしき物体が見えてきた。乗客も今度は何かと真剣になって見ている。だいぶ距離が近づいてきて、その動物はなんと馬であった。 「はぁ?馬ですか〜。しかしなんでこんなところに馬が走ってるんだ?」 馬は3頭縦列に並びながら、バスと共にアラスカハイウェイ上を走っている。野生の馬なのかどこかの牧場から逃げ出してきたのかはわからない。それ以降、動物との遭遇はなくなってしまった。外も大分暗くなってきたので、野生の動物を探すのは不可能になってきたのであきらめることにした。再び休憩が来るたびに外にでてタバコを吸うことにした。それしか楽しみがない。タバコを吸うと大抵ワトソンレイクに行くおじさんと会話をすることになった。彼はゲホゲホと咳き込みながらも一生懸命タバコをすっている。しかもフィルターなしの両切りタバコだ。誰かが、 「タバコ控えたら。」 と忠告をしてもそのおじさんは、 「ちょっと風邪を引いててな、でもタバコは止められないんだ。」 といっていた。なんだか俺もそんな苦しそうに咳き込みながらタバコをすうおじさんの姿をみてるととても痛々しく感じてしまった。 バスはようやくユーコン準州に入った。ワトソンレイクにいくおじさんが、 「やっと地元に戻ってきたよ。」と嬉しそうに言っていた。10何時間もかけて、ようやく到着してほっとしていたのだろう。なんだかわかる気もする。 車内の乗客は爆睡体制に入りつつあった。みんな大きな枕を背中にあてたり、抱き枕にしたりと少しでも快適に睡眠をむさぼろうとしてた。俺も段々とねむくなってきたから寝ようと思ったが、相変わらず熟睡はできず寝たりおきたりの連続であった。しかもバス車内のエアコンが切られたため、異常に暑いではないか。汗までかいてしまう始末だ。グレハンのバスは密閉式になっているので、窓をあけることが出来ない。この暑さがさらに睡眠の妨げになってしまった。結局サスカトゥーンからまる2日間ほとんど寝れない状態が続いてしまったので、精神的にボロボロに参ってしまった。もう2度とバスには乗りたくないという気持ちが込み上げてくる。 そしてバスは、空が白んだ早朝にホワイトホースに到着をした。 (つづく...) |
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