7/14ワヌスケウィン・ヘリテージパーク
*7/14ワヌスケウィン・ヘリテージパーク (曇り)*

 今日はサスカトゥーンに来て2日目。再びあのくそ暑い気候を考えると朝から憂鬱になってくる。俺は暑いのが苦手なのである。カナダがこんなに暑いとは考えてもいなかった。これから夏にカナダに行かれる方はカナダは暑いという認識をもったほうがいいでしょう。もちろん、寒い、涼しい、も味わえる。要は気温差が激しいのである。1日で暑い、寒い、涼しいが感じられるのだ。だから服装とかは気軽に脱いだり着たりしやすいものがいいと思います。

今日の予定はワヌスケウィン・ヘリテージパークに行くのだ。交通手段がないから、レンタカーを借りるつもりでいたので、ホテルのフロントへ問い合わせに行った。フロントのスタッフは分厚いイエローページを持ってきて、ペラペラとめくりながらレンタカー会社を探してくれた。探しながらスタッフがどこに行くのと尋ねてきたので、ワヌスケウィン・ヘリテージ・パークに行くと伝えると、なんと市街周辺の観光地をまわるシャトルバスがあるというのではないか。夏季の間、観光案内所が主催をして料金はなんと、日乗り放題で5ドルだという。無論これにすることにした。何十ドルの金をはたいてレンタカーにするより断然お徳だ。しかもシャトルバスチケットはこの泊まってるホテルでも発行してくれるというのもラッキーであった。早速チケットを購入し、バスの時間を確認してみる。9:00頃にミッドタウンプラザ前に到着するバスがあるとわかったので、一目散でそこへ向かった。後5分しかなかったからだ。ミッドタウンプラザ前のところで信号待ちしていると、丁度その白いシャトルバスが止まっていた。チケットをあわててドライバーに見せて乗せてくれといったジェスチャーをすると、ドライバーは、指を指しながら、停留所で待てという。再びそこまで走り、無事シャトルバスに乗り込むことができた。このバスを乗り過ごすと次にくるまで2時間も待たなくてはならないので俺も必死であった。
 バスに乗ると、マイクをもったおばちゃんが、
「あなたはどちらから来たの?」
というので、
「日本から着ました。」
「どこまで行くの?」
「ワヌスケウィン・ヘリテージ・パークです。」
「英語はわかる?」
「うーん、少しだけなら。」
走ってきたので、汗だく状態であったが、幸いバスの中は冷房がガンガンにきいていて、あっという間に汗が引いてきた。むしろ寒いくらいである。シャトルバスの乗客はドライバー、ガイドのおばちゃん、ドイツから来た青年、エドモントンからきた、おばあちゃんとそのお孫さん3人だけであった。ガイドのおばちゃんは、マイクを通していろいろと説明を行っている、どうせ聞いてもわからんから、うわのそらで外の景色を眺めることにした。しかし、時々俺にいろいろと話し掛けてくるので、結局はおばちゃんの話しを真剣に聞くしかなかった。郊外のでかいショッピングモールがあると、
「日本にはこういったショッピングモールはあるの?」
サスカチュワン大学の前に通ると、
「日本の大学のキャンパスはどうなの?」
といった感じで質問してくるのである。その都度俺は、「あー」とか「うー」とかいいながらへたくそな英語で日本の場合はこうであると説明をさせられてしまった。

 バスは西部開拓博物館、動物園、を経由して2時間後にようやく目的地のワヌスケウィン・ヘリテージ・パークに到着した。周りはただの乾いた草原がずっと続いていた。バスから降りると、むあっとした暑い空気が全身に浴びせ掛けてきた。
「うぇー、あちーな。」と思ってると、同じバスに乗っていた、ドイツ人の青年が、俺に話し掛けてきた、よく聞き取れないので何回も聞きなおすと、どうもシャトルバスのチケットをシェアしないかといってきてるようだ。チケットには「1 for 2」と書かれていて、その時俺はあまり意味を理解してなかったのだが、1枚で2人有効みたいなようである。まあ、シェアをすることは一向に構わないが、その分、彼とずっと行動をしなくてはならない。帰りのバスの時間について話し合ったが、どちらも時間を決めてないので、結局シェアの件は頓挫してしまった。
 公園内にある建物のインタープリティブセンターに入った。幸いこの中は冷房がきいてとても涼しい。入場料 6.5ドルを支払う。その辺をうろついてるとさっきのドイツ人が、
「そろそろ映画が上映されるから、入った方がいいよ。」
というので、彼の後に着いていくことにした。

 映画の内容は、その昔この地にワヌスケウィン族という先住民が住んでいて、その人たちの生活や歴史を上映してたものであった。特に「バッファロー・ジャンプ」の紹介が凄かった。平原に群れているバッファロー達を巧みに集めてガケ下に追いこんでいくという狩猟方法だ。先住民達の罠に追い詰めれらたバッファロー達は、勢い余ってそのままガケ下に落ち死んでしまう。しかも何十頭というバッファローがガケ下に落ちていくシーンは紙芝居的な再現であったがものすごい迫力であった。しかしまあよくこんな狩猟方法を思いつくなとつくづく感心してしまった。てっきり、弓矢や槍で狩猟するのかと思いきや、いきなり何十頭もしとめるなんて、まさにマスプロ的な方法である。しかも先史時代にそんな発想が生まれてくるなんて、とてもすごいことだ。後は、その先住民の踊りとかの紹介で終わった。

 映画を見終わると、とても腹が減ってきてしまった。考えてみれば朝飯を食ってないのだ。すぐ近くにカフェテリアがあったので、そこで遅い朝食をとる事にした。ここに来る時にバスの中でワヌスケウィンではバッファローの肉で作った「バイソン・バーガー」が食べれると聞いたので迷うことなくそれを頼むことにした。バッファローの肉はとても脂肪分が少なくヘルシーな食べものであるらしい。注文をすると、プロレスラーみたいな体格をした先住民の店員が、フレンチフライがどうのこうのといろいろ聞いてくる。俺はとてつもなく腹が減っていたので、彼が尋ねてくる事に対してめんどうくさいからすべて「イエス」と答えてしまった。すると会計が$15を超えていた。「高いな...」と思いつつも今更変更するのも面倒くさいのであきらめる事にした。今回注文したのはバイソン・バーガーとバイソン・スープにミネラルウォーター。待つこと10分位するとさっきのプロレスラーみたいな店員が、所狭しと料理が載せられたトレーを運んできた。まさか俺のじゃないだろうなとおもったら、案の定俺の所に運んできた。店員は、ニヤニヤしながら
「お前これ全部一人で食うのか?」
「そうだけど。」
「Oh.You are hungry man!」
確かに腹は減ってるがテーブルに置かれている目の前の料理をみると、みるだけでおなかがいっぱいになってきてしまった。バーガーとスープの他に、肉じゃがかシチューに似たようなもの、お決まりのフレンチフライに揚げパンみたいなものがあった。単品だけで頼めばよかったのだが、どうも俺はセットでいろいろと頼んでしまったようだ。先ほどの店員がいろいろとごちゃごちゃ聞いてきたのはそのためだったと後になって気づいた


なかなか食べ応えのある量だ...。相変わらず北米大陸の食事はフレンチフライの量が凄い

 バイソン・バーガーの味はなかなか美味かった。写真にでてる、左側に写ってるシチューだか肉じゃがみたいな奴はなんだか漢方薬みたいな味がしてそんなに美味しくはなかった。正直、バーガーと肉じゃがみたいな奴を食べてしまったらおなかいっぱいになってしまった。残すのももったいないから、あげバンとフレンチフライは小腹がすいた時の非常食としてペーパーナプキンに包んで持ち帰ることにした。

 食後は満腹状態なので少し胃の中を消化させるために、旅の日記を1時間ほど書くことにした。日記を書いた後早速周辺のトレイルを散策を開始することにした。トレイルといっても、ウォータートンレイクのように山を登るわけではない。周辺は「のぺー」とした平坦な地形である。多少、谷間があるくらいだ。外にでると、また「むあっ」とした熱気に包まれる。なんでカナダにきてこんなくそ暑い経験をしなければならないのだろうと考えさせられてしまう。センターの建物からでると、すぐ先住民の住居であるティピーがみえてくる。キャンプ用のテントの元祖と言った感じだ。


これがティピー。泊まることも可能だ。宿泊料金は結構高い。詳細は下記のURLを見てください。
http://www.wanuskewin.com/(ワヌスケウィン・ヘリテージパークのHP)

 センターからでるとすぐ下り坂になる。ティピーを通り過ぎ、バッファロージャンプの場所にたどり着く。下から見上げると、長年の月日の為風雨によって地形が変わってしまったのかそんなに崖の傾斜は高くない。何故か木々が生い茂ってる。このぐらいの斜度であれば、落ちるということはないくらいである。しかし、ハエがすごい。休憩をするたびに小さなハエが俺の周りにたかり始めてくる。耳元によってこられると「プ〜ン、プ〜ン」とうるさくて仕方がない。再び谷を駆け上がると、乾いた草原地帯になる。近くにはサウス・サスカチュワン川が流れていた。結局このトレイルコースを2時間程歩きつづけ、センターに戻った。外はものすごく暑いためセンターに戻ったらTシャツは汗でびっしょりと濡れてしまった。カフェテリアで買った冷たいミネラルウォーターもすっかりぬるま湯状態になってるので、自販機でスプライトを買って500mlを一気飲みしてしまった。カナダに来て感じたのは無性にのどが渇くことだ。

 センター内に入ると冷房が効いているのでとても涼しい。外の暑さとは雲泥の差だ。センター内にあるベンチに座ってしばらく休憩をすることにした。汗でびっしょり濡れたTシャツ姿で疲れた表情でぼーっとしてると、これからトレイルを歩こうとしている人が、そんな俺の姿をみて、
「すごい汗だな。トレイルを歩いてきたのか?」
と笑いながら尋ねてくる。
「外は暑くてね。」
「トレイルコースは、どのくらいなんだ?」
「2〜3時間位ですよ。」
「そうか、ありがとう。」
今度は俺好みの女性が話し掛けてきた。先程の人と同じでトレイル情報と、日本から来たという他愛もない話をした。写真を撮ってあげたら、彼女もお礼をいって、そそくさとトレイルコースに向かっていってしまった。もっとお話をしたかったのに...。彼女が去ってしまった後なんだかむなしくなってしまった。

 30分位するとだいぶ汗も引いてきたので、センター内をうろつくことにした。ここには、ワウスケウィン族の昔の生活の様子、動植物などを模型で再現した博物館もある。説明文は当然の如く英語で表記されてるため、真剣に読むと余計に疲れてくるから眺める程度に押さえておいた。疲れてくると全ての行動がめんどうくさくなってくる。博物館を一巡りをすると、やることがなくなってしまった。土産屋もまわってしまったので、後はシャトルバスが来るのを待つだけだ。最初にここに付いた時は時間目いっぱい使って居ようと考えてたけど、そんな考えは即座に変更することにした。次のバスは16:00の予定である後1時間位なので、適当にブラブラとしながら時間を稼ぐことにした。


センター内にあった、何かの儀式の模型。

  バスの到着時刻が近づいてきたので、外で待つことにした。センター内のエアコンの効いた涼しい環境になれていたので、外に出た途端また気絶しそうになるくらいの熱気が体全体を包み込んできた。バス亭に来る時に一緒だったドイツ人の青年もいたから、バスチケットのシェアについて話し掛けてみると、既にチケットを購入してしまったそうだ。「あらら、そうですか。」と思いながら彼が被っている帽子をみると、2002年サッカーワールドカップの帽子を被っていたので、日本に来たのかと尋ねたら、ただのもらい物であったようだ。でもドイツ出身である彼もサッカーは大好きであったが、ここカナダではほとんどサッカーの放送はされてなくぼやきまくってた。母国が決勝まで進出して準優勝までした姿をみれないのでかなり悔やんでいたようだ。バスがくるまで、しばらく彼と話をして時間を潰すことにした。ヘリテージパークについても話したが、彼もトレイルでのハエの襲来に閉口していたようであった。ようやくバスが到着したので乗り込むと、エアコンが効いててとても快適であった。と同時にトレイルを歩いて疲れ果てたのか、ダウンタウンに着くまで爆睡をしてしまった。気付くと終点の観光案内所の前にバスは到着をしてた。観光案内所はガイドブックに記載されていた地図の道路を挟んだ対面の場所にあることがわかった。しかし明日ここサスカトゥーンを発つので、今更寄っても意味がないので、そのままホテルまで歩いて戻ることにした。サスカゥーンの街はそんなに大きくはないので、30分も歩けばホテルに着くことができる。途中ミッドタウンプラザにも寄りフードコートで晩飯でも食べようと思ったが、17:30頃には閉店の状態であった。
「なんでこんな早い時間帯に閉店なんかするんだ?」
と一人つぶやいてしまった。日本では考えられん事だ。スーパーの夕方の時間帯なら稼ぎ時の時間帯ではないか。よくよく周りをみてみると、あまり人通りも少なめでなんとなくひっそりとしたかんじである。他の店も閉店してるところが多い。仕方がないので、そのままホテルに戻りシャワーを浴び、ついでに洗濯もしておいた。

 シャワーを浴びた後、部屋の中にあるテレビをつけて、適当にチャンネルを回す。「CMT(Country Music Television)」という番組があったから、これをみることにした。名前の如くカントリーミュージック専門のMTVといったところだ。カントリーミュジックは大好きなのでこれならBGM代りに見ていても全然飽きないからとてもいい。ベッドの上で横になりながらテレビを見ていたら、また睡魔が襲ってきて眠ってしまった。再び目が覚めると20:00を過ぎていた。小腹がすいたので、ヘリテージパークで食いきれなかった、揚げパンとフレンチフライを食べることにした。両方とも脂っこいので、食べ終わると少し胃がもたれた感じがして空腹感はなくなってしまった。カーテンを開けて外を眺めるとまだまだ明るい。気温の表示板をみるとだいぶ下がってきたので、外にでて散歩をすることにした。散歩のコースは昨日と同じ、南サスカチュワン川沿いにある、ミーンワシンバレーへ。川沿いをちょっと歩くと、草が敷き詰められたちょっとした広場に出くわし、そこのベンチにすわって、ぼーっとすることにした。リスがあちらこちら走り回ってる。広場の中は22:00近くになっても、結構人が多く、フリスビーをやってたり、お年よりはベンチにすわってたそがれていたり、MTBでサイクリングをするもの、インラインスケートで川沿いの遊歩道を滑っているもの、ベビーカーを押しながら散歩してる主婦、犬の散歩をしてる人、ジョギングしてる人などなど、様々な人が訪れている。まさにサスカトゥーンの憩いの場である。

 でも、こうやってベンチに座って、ぼーっとするのも何だかいいものだ。ある意味贅沢な行動かもしれない。旅にでると、あっちこっちにせわしなく動き回ってしまう傾向が強い。せっかく来たのだからあれも見ないと、これも見ないと、これも食べないと、これも買わないと...。この要求が多ければ多いほど、ガチガチの分刻みの行動になって、気付くと忙しいだけの何も印象がなかった旅になりかねない。と俺は思うのだが。でもまあ、人間は欲を欲する生き物だから仕方がないか...。
まっ、欲求と行動のバランスが大事ですかね。結局ベンチに座って2時間も黄昏てしまった。ぼちぼち空も暗くなりかけてきたのでホテルに戻ることにした。
 明日は、ここを発ち、一気に北へ向かおう。
(つづく...)