* 7/13 サスカトゥーン1日目(晴れ)*
疲れていたのだろうか?カルガリーからこのサスカトゥーンに到着するまでの間はほとんど爆睡状態であった。時々目が覚めたりはしたが、すぐに寝に入ってしまうの繰り返しで、ここまでの記憶はほとんどない。しいていえば、夜中にバスの運転手が交代をする時に、運転手がフロントガラスにベッタリと着いた虫の死骸をホースとたわしで洗ってたくらいであった。朝方、空が白んでくるときにようやく目が覚めた。バスは朝日を浴びながら、ひたすら大草原の中を走っていた。そして、朝日を浴びた大草原の景色もすばらしい眺めであった。そのような光景を存分に楽しもうという思惑は早くも裏切られ、バスはすぐに街中に入りサスカトゥーンに到着をした。夜行での移動であるから車窓の景色を楽しめないのは仕方がない。車窓からの景色は、ここサスカトゥーンを発つときに期待しようと自分に言い聞かせた。
サスカトゥーンはカナダのサスカチュワン州最大規模の都市で人口は約236,000人。すぐ近くに南サスカチュワン川が流れている。川沿いにある都市の為、別名ブリッジシティとも呼ばれている。20世紀当初は人口100人位しかいなかった町で、当時は小屋を立てる木もなく、誇りっぽい草原が広がってるだけだったそうである。
バスを降りて、ディーポ内のベンチに座って、しばらくぼーっとしてた。バスの中では爆睡状態ではあったが、やはり疲れはとれなかったからである。夜行を利用するのも宿代が浮いて経済的には助かるが、体力的にはとてもきついと改めて実感してしまった。まず、最初の土地についたら、まずは宿さがしから始まる。「地球の歩き方」を広げ、どこの宿にしようか考えた。ここ、サスカトゥーンにもユースのようなドミトリー形式の安宿がある。しかし、そのガイドブックに書かれているコメントをよんでみると「1階がライブハウスになっていて、すさまじいノイジーなホステル」とかかれていた。このコメントを読んで正直迷ってしまった。安いのはいいが、うるさいのはちょっと困ってしまう。バスの中で寝れないのは仕方ないが、宿に泊まって寝れないというのは俺的には我慢ができないのだ。他のホテルは安くても50$位であることがわかった。頭の中であれこれどうするか悩んでても仕方がないので、一度観光案内所にいって更なる宿の情報を探してみることにしたが、開店時間が10:00なので後1時間以上どこかで時間を潰さなければならない。自動販売機でジュースを買って、外でタバコでも吸うことにした。
外にでると、まだ朝なのに「むわっ」とした熱気がただよってくる。「なんでカナダなのに、こんなに暑いんだ」と思いながら一服してると、一人の若者が、「すまんが、タバコ一本くれないか。」というので、めぐんでやった。この時はなんとも思わなかったが、今後カナダを旅していく中でこの「タバコくれくれ君」達が沢山沸いてくることになる。大抵1箱の内、1/4位はこのくれくれ君たちに分け与えるような感じになる。タバコを吸う度にこのくれくれ君たちが話し掛けてくると正直うざったくて仕方がない。中には小銭を見せて「1本売ってくれ。」というのもいるが、まだこちらの方がましだ。先進国とはいえ、このようなくれくれ君達の存在は少々驚いてしまった。
ディーポの中に戻ると、突然とある青年が話し掛けてきた。よくみると俺と同じバックパッカーだ。
「おう、どっから来たんだ?(俺の荷物を見て)すっげー荷物だなー。」
「日本からだよ。昨日ウォータートンからバスでさっき着いたばかりなんだ。」
「そうか、俺はこれからXX(忘れた)へ向かうんだ。ところで、君の顔どうしたんだ?皮が向けてるぞ。」
といわれ、日焼けしてるのを思い出した。
「ああ、日焼けさ。ハイキング日焼け。」
「ははは、そうか。じゃあお互いに良い旅を。」
と彼は握手を求めてきた。バックパッカースタイルだとこうして同じスタイルの人間と気軽に話せるのがまたいい。スーツケーススタイルではなかなかこうした会話は出来ない。
10:00近くになってきたので、観光案内所に向かうことにした。コインロッカーにくそ重いザックを入れようとしたが、大きめのロッカーはどこも埋まってたので結局担いでいくことになった。地球の歩き方に乗ってる地図を頼りに歩いて向かったが、どこにも観光案内所がない。どうやら、地図の記載ミスか移転したようだ。誰かに聞こうと思ったが、肝心な人も歩いてない。重いザックを背負って汗だくになって歩いてきたので、絶望感とガイドブックに対する怒りが込み上げてきた。
「このくそボケガイドブックめ。でたらめな地図を載せてんじゃねー。」
確かに○球の歩き方(今更伏せ字にしてる)はいいガイドブックである。俺自身もかなり海外旅行をするにあたって、かなり参考になり助かっている。でも100%までとはいかないようである。しょうがないのでまたディーポに戻ることにした、ついでなので、ドミトリー形式のホテルも近くにあるから見てみることにした。案の定1階にライブハウスがあった。これをみて
「やっぱりうるさいのはだめだ。今回は普通のホテルに泊まろう。」
と決心した。やっぱり宿ではゆっくり休みたいのである。それに、重たい荷物を背負って観光案内所が見当たらなかったため、疲れ果てて何もかも嫌になり、一人ベッドの上に横たわってくつろぎたいというのもあった。
ホテルは、ガイドブックに載ってた中で一番金額の安かった、「ホテルセネター」にすることにした。再び重い荷物を背負いながら、そこまで歩くことにした。途中、道路に露天が沢山ならんでる所を通った。何かの祭りがあるのかと思ったらただの青空市場であった。

ここがホテル・セネター。1908年に建てられたそうだ。街の中心にあり、ロケーション的には申し分がない。右の奥にある三角の屋根のある建物が「Midtown Plaza」各テナントの他にシアーズも入ってる。
ようやくホテルに到着し、まずはフロントに行った。
「すいません。シングルルームは空いてますか?」
「ええ、空いてますよ。予約はされてますか?」
「いえ、してません。予約してないとだめですか?」
「いや、大丈夫です。」
「ちなみに一泊幾らですか?」
俺は、予約なしでホテルを取る際は、必ず料金を聞くようにした。ガイドブックにも料金は記載されているが、大抵は情報が古いためか実際の金額の方が弱冠高い(税抜きで記載されてることもあるため)。
「シングルだと、一泊59ドルだけど。」
「税込みですか?」
「そうです。」
うーん、ちょっと高いが仕方がない。これ以上宿を探す気力もないので、ここにすることにした。
「じゃあ、2泊したいんですが。」
「了解。それじゃこのカードに名前と住所を書いて。」
カードに必要事項を書き、支払いもトラベラーズチェックで済ました。
「あ〜、やれやれひとまずシャワーでも浴びてのんびりするか」と思いきや、フロントのスタッフが、
「じゃあ、チェックインは午後からだから、また来てちょうだい。」
というではないか…。シャワーを浴びてすっきりしたい気持ちはもろくも崩れてしまった。とりあえず、荷物は預かってくれるというので、身軽なスタイルでひとまずチェックインができるまで、街を散策することにした。と思ったが宿が決まってほっとしたせいか、腹が減ってきた。考えてみればまだ朝飯は食ってなかったのだ。近くにマクドナルドがあったのでそこに向かった。まだ、朝食メニューの時間の為、ビッグックとかは食べられない。ソーセージエッグマフィンとダイエットコークのMサイズを注文した。Mサイズといっても日本ではLサイズクラスの大きさだ。店内はエアコンが効いててとてもすずしいから、しばらくここで旅日記を書きながら時間を潰すことにした。
12:00ちょっと過ぎに、再びホテルに戻った。チェックインをしようとすると、13:00を過ぎないとチェックインできないという。午後というから12:00を過ぎれば大丈夫と思ったのだが。だったら最初から 13:30以降に来いといって欲しかった…。
仕方がないので再び街の散策と考えたけど、とてつもなく暑いのでこれ以上街を歩く気力はない。すぐ近くに「Midtown Plaza」というショッピングモールがあったのでそこに逃げ込むことにした。モール内はエアコンがばっちり聞いているので外のくそ暑さに比べると、もの凄く快適なところであった。店内を適当にぶらつくとフードコートにたどり着いた。いろんな料理の店が建ち並んでる。よくみると日本料理もあるではないか。その店の名前は「EDO」と書かれ左隣に「江戸」と漢字でかかれている。どんな料理をだすのかみてみると、鉄板で肉と野菜をいためたものをライスの上にかけるものであった。店員も東洋系だ。ゴマ油と焼肉のたれの香ばしい匂いが、俺の食欲をそそってきた。ちょっと小腹がすいてたので、食べてみることにした。メニューを見ると、「Teriyaki」「Sukiyaki」とかかれたものがある。ウルトラマンの怪獣にでてくるピグモンみたいなおばちゃんの店員に、スキヤキビーフコンボを注文した。飲み物はと聞かれたので、アイスティーを注文した。注文と同時におばちゃんは、お好み焼きで使うような鉄のヘラみたいな道具を使って、肉と野菜をじゅじゅうと焼き始めた。出来上がると、紙皿の上に盛られたごはんの上にぼんと焼いた肉野菜を載せて俺の前に差し出してきた。割り箸がなかったので、頼むと引き出しの中から取り出してくれた。左のカウンターをみるとお茶のディーバックが置いてあるのがみえた。紅茶とあとよくみると漢字で「煎茶」と書かれてるのが見えた。
「しまった〜。アイスティなんかにしないで、煎茶にすればよかった。」
と悔やんでしまったが、今更追加注文をするつもりがないので諦めた。また明日くればいいのだ。近くのテーブルにスキヤキベジタブルコンボを運び、早速食べてみた。美味い!スキヤキとは名ばかりでただ牛肉ともやし、キャベツ、人参等をいためたものではあるのだが。でも美味いから許せる。やっぱり米はいい。味噌汁がつくともっと最高なんだけどな。
小腹を満腹に満たし、再び店内を散策した。PCのショップがあったので、そこからMSNのメールをチェックしてみた。妹からのメールの返信が来てた。日本語ソフトが使えないのを考慮してか英語で書かれていた。成田を出発する際、TVの「ガチンコ」の録画を頼んでおいたのだ。「ちゃんと録画しておくから」と書いてあった。しかし、便利な世の中だ。こうやってメールでいろいろと伝達事項が海外にいてもすぐ確認ができてしまう。ちょっと数年前まではこうはいかなかった。高い料金を払って、国際電話をするか、10日間位かかる絵葉書等でないと連絡が取れないのだからな。
13:00を過ぎたので、再びホテルに戻った。チェックインを済まし。部屋のカギを受ける。ついでに、この街にインターネットカフェがあるか聞いてみた。何か調べてみたい時があったとき利用するためだ。ショッピングモール内のPCショップは、「5分以上の使用禁止」と書かれているため、あまり利用できない。すると、このホテルから2ブロック程行ったところにあるという。
部屋に入ると、速攻でシャワーを浴びた。ついでに髭も剃る。鏡で自分の顔をみたら、日焼けで皮にひびが入ってるようでひどかった。ひびのはいったところを爪でつかんで剥くとベリベリと剥けて来た。しかも皮厚が厚い。よほどひどい日焼けだったようだ。中途半端に皮を残すと汚らしいので、濡れタオルで顔をこすり強引に皮を取り除いた。こすりすぎたためか顔面がヒリヒリして痛い。腕の皮もむけはじめてきたので同じようにして、とれるだけとった。
ホテルの窓から外を覗いてみると、温度計の表示板がみえたので、その数字をみてビックリしてしまった。なんと「40℃」と表示されている。どうりで暑すぎるわけだ。その温度をみたら、更に暑さが感じるようになってしまった。部屋にある空調のスイッチをMAXにしても全然涼しくならない。天井をみてもどこにも冷気口が見当たらない。よーく見渡してみると、部屋のドアの上に小さな穴があるだけ。そこから冷たい風が申し訳なさそうにでてるだけであった。「なんじゃ、このボロホテルめ」と思いながら、部屋にあったイスをその空調口の下にもってきて、シャワーで火照った体を冷やすことにした。テレビを見ながら、しばらく体を冷やした後、ベッドの上に横になってたらねてしまった。
夕方頃目を覚ました。腹が減ったので、ホテルの前にある、「224 CAFE」という中華とベトナム料理屋に晩飯を食いにいった。店員は勿論中華系の人だった。店内は4人程客がいるのみ。メニューをもらい、どれにするか悩んだが「ピーナッツ・チキン・ライス」というのを頼んだ。ついでにビールも注文したがアルコール類は置いてないので、アイスコーヒーを頼むことにした。料理が出てくるまで、ガイドブックをみながら明日の行動予定を立てる。前もって「ワヌスケウイン・ヘリテージ・パーク」に行くのを決めていたのであるが、ここに行くためには、レンタカーかタクシーで行くしかない。タクシーでも片道22ドルと書かれていた。いろいろ予算等も考え、レンタカーで行く事に決めた。料理がなかなか出てこない、ふと周りの人が食べてるのをみると、ものすごいボリュームである。麺類を食べてる人のをみると、でかいラーメンドンブリにものすごい量の具がかき氷みたいなてんこ盛状態になってるではないか。よくみると外人さんもちゃんと箸で食べている。慣れてないのか器用な持ち方をしていたが…。案の定俺の所にも運ばれてきた、料理もすさまじい量であった。ついでに箸もお願いした。見た感じはとろみ系の中華丼といった感じ。肉、野菜(ブロッコリー、セロリ等)ともにボリューム満点だ。早速食べてみた。「美味い!」ピーナッツがなかなかいい味を出している。料理が来た後、すぐにアイスコーヒーも運ばれてきた。コーヒーはグラスの中にはなく別の容器に入っていて下には練乳が沈んでいる。、その容器から氷の入ったグラスに自分で注ぐみたいだ。コーヒーの入った容器を持ってみると熱い。ホットコーヒーなのだ。これをグラスに注いだら、氷はあっという間に溶けて、ちょっと生ぬるい温度になってしまった。ブラックで飲みたかったから練乳は全部いれないようにした。するとウエイトレスのおばちゃんが、
「練乳は入れないの?甘いの好きでないの?」
というので、
「うん」とうなずいた。別に甘いのは嫌いではないが、今回たまたまブラックでのみたかっただけだ。そういった表現は英語でいえなかったので、単純に嫌いなの?といわれてうなずくだけにした。
店の奥では従業員らしきおじさんが、ランニングのシャツを来て、店内のイスをベッド代わりにして寝転んでる。客がいる前でよくそんなことができるのかとあきれてしまった。おじさんは時々起き上がるとタバコをすい新聞にめを通した。そしてまた寝るこれの繰り返しであった。
とりあえず、料理は全部食い終えた。量が沢山あったが、最後まで飽きることなくおいしかった。レジに向かい勘定を払おうとすると、先ほどのウエイトレスのおばさんが、
「あなた中国人?」と尋ねてきた。
「いえ、日本人です。」
「学生さん?」
「いや、ただの旅人です。英語がなかなかうまく話せなくて大変です。」
「英語なんて、少しだけ話せれば大丈夫よ。」
旅行なら、なんとかなるかも知れないけど、生活するうえでは英語は重要だろと思ってたけど、現地の人がそういう風にいうのは以外であった。しかし、三十路をとっくに過ぎた俺を学生と見間違えてくれたのはちょっと嬉しかった。俺も若く見れるのかな?そんな言葉に気をよくして、俺も、「いい味でした。美味しかったです。」
というと、おばさんは嬉しそうに笑ってくれた。
腹が満腹状態だったので、運動がてら街を散策することにした。明日はレンタカーを借りる予定だからついでにレンタカー屋もチェックしておきたかったからだ。20:00を過ぎると空もようやく夕方っぽくなってきた。いろいろ歩いてみたけど、サスカトゥーンの街はそんなに大きくはないことがわかった。日本料理屋もあることもわかった。カラオケも着いているらしい。
ふと、街外れにでると若い女性が俺に道を尋ねてきた。バスで○○に行きたいのだが、どうやっていったらいいか教えて欲しいという。俺も今日ここについたばかりなので、そんなものはわかるはずはない。
「すまん、今日ここに来たばかりなので、何もわかりません。」
「あら、どこから来たの?」
「日本から。」
「じゃあ、着いたばかりだから街をいろいろと歩いてるのね。」
「そうです。」
「わかったわ。ありがとう、それじゃ。」
といって彼女はどこかに行ってしまった。結構好みのタイプだったので、もっとお話をしたかったのに…。結局街中を90分位歩き続けた。レンタカーの会社はエイビスが一軒あったのみであった。途中で自動販売機でミネラルウォーターのペットボトルを買った。22:00を過ぎても空はまだまだ明るい。ホテルに戻ろうと思ったが、ついでにミーワシン・バレーに行ってみることにした。ホテルから歩いて近くの所だ。ここは南サスカチュワン川沿いにある。緑と木々のある、ちょっとした散歩道だ。ベンチに腰掛てぼーっと黄昏た。川では、水上スキーやジェットスキーで遊んでる達が何人かいた。川沿いの遊歩道には、犬の散歩連れの人、ジョギング、ローラーブレード、サイクリングをしてる人たちが行き交っている。なんだかぼーっといろいろと考え事をしてたら、急に日本に帰りたくなってしまった。何故だかよくわからない。旅がつまらなくなってきたのだろうか?ふと「どうして俺はここにいるんだろう。」と考えてしまったからだ。カナダに来てまだ1週間位だ。ホームシックにかかるにはまだ早すぎる。大体今まで旅にでてホームシックにかかったことなんて一度もない。いつも「ああもっとここに居たいな〜」と思うのが常である。ぼーっとしてるからそんな考えが生まれるんだと思い、遊歩道を歩くことにした。しばらく歩くと、とある広場みたいなところにでた。ここには、沢山の人が、それぞれ思い思いにくつろいでいた。時間も23:00を過ぎて来たので、あたりはだいぶ暗くなってきたから、ホテルに戻ることにした。ホテルの自販機でまたミネラルウゥーターを買おうとしたが、既に売り切れで、売ってるのはルートビアしかない。俺はこのルートビアはあまり好きではない。11年前アメリカで初めて飲んだが、あまりの不味さに嫌になってしまったからだ。なんとなく薬臭いのだ。しかしそれしかないから我慢して買った。部屋に戻り、ルートビアを飲んで寝ることにした。夜になると気温もかなり下がり25度位になっていた。
さて、明日はワヌスケウイン・ヘリテージパークに行こう。
(つづく…) |