第2話2002年カナダ一人旅(出発編)
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*7/7出発当日* 
 いよいよ出発の日だ。熱は少しさがったが油断は出来ない。咳は多少でる位か。薬を飲みフレームザックを「よいしょ」と持ち上げようとすると、ものすごい重量感を感じてしまった。
「なんじゃこりゃ。」と。前日荷物を詰め込むだけ詰め込み、重量のチェックをしてなかったのである。しかし今更荷物を再チェックし選別するだけの時間もない。ともかく必要な荷物なのでこれ以上減らしようがない(旅の最中では使用しないものが何点かでてきたが・・・)。とにかく片手では背中に背負う事が出来ないくらいの重さである。背負うときは、足を蟹股のように広げ重心を落とす、そしてザックを一旦太ももの上に置いて背負わなければならないのである。背負った瞬間は肩にずっしりとその重みがのしかかり、肩痛になりそうなくらいだ。

 幸い、ウエストベルトとチェストベルトがついているので、これらをしっかり固定すれば、重心は腰に行きだいぶ肩の負担もなくなり楽になってくる。そんな訳でよたよたと重いザックを背負いながら成田空港へ向かっていったのであった。

*成田空港*
 7月の東京は暑い。くそ重いザックを背負っているので、汗だく状態になる。京成スカイライナーで成田第一ターミナルで下車。ターミナル内には、これから世界各地へ飛び立とうとしている人たちがわんさかいる。そんな雰囲気の中にいると、いやがおうでも「これから、いよいよカナダに行くのだ」と旅に対する興奮がムラムラと沸いてくるのである。この成田内の雰囲気はとっても気に入っている。出発は、15:10のNW008便だ。まだ3時間以上あるけど、さっさとチェックインを済ませようと思いカウンターへ向かった。

 カウンターの手前で荷物のチェックを受ける。
「これ、御願いします」というと、
「えっ?こんな状態で大丈夫なんですか?」と係員が心配そうにいう。俺のバックパックはアウターフレームなので、そのフレームにフック付きの青いバイク用ツーリングネットをくっ付け、入りきれなかった荷物をそのなかに放り込んでいたのだ。以前ニューヨークに行った帰りもお土産で荷物が入りきれなかったので同じようなことをして問題がなかったので、
「大丈夫です、大丈夫。過去にも同じ形態で問題がありませんでしたから」といったら、「わかりました。お客様はどちらにお出かけですか?」と尋ねられたので、「ここです」と旅行代理店から受け取ってる、航空券引き換え用のクーポンをみせたら、「アメリカ方面ですか、では、あちらで再度荷物のチェックを受けてください」といわれてしまった。過去3度同じようなスタイルで出かけたが荷物を空けられるなんて初めてだ。これもテロを警戒しての影響なのだろうか。7月4日のアメリカの独立記念日では、テロではないがロスの国際空港で発砲事件も起きている。汚い机の上に荷物を「ドスン」と置くと、係員が、「では、中を空けてください」と事務的な口調で命令する。
「ちっ。めんどくせーな。何も怪しいものなんかもってねーよ」と心の中でつぶやきながら、しぶしぶ命令に従う。ネットのフックをひとつずつはずし、次にザックのファスナーに小さな南京錠を三つも付けてるので、そのカギを合わせるのがまた面倒くさい。そんなやりとりを見てた係り員が、「バックパックだと、あちこちカギをつけないといけないから大変でしょう。結構東南アジアに行く人たちがこういうスタイルが多いですね。私も以前同じスタイルで旅したことがあるんですよ。カギを無くしたりすると大変ですよね」といってくるではないか。この人もバックパッカーなのであったのには驚いた。何故かそんな話を聞くと、妙に親近感が沸いた感じがして私の方も非常に協力的な姿勢で対応してしまった。
「これは何ですか?」
「ホワイトガソリン用のストーブです」
「これは何ですか?」
「レインウエアです。開けましょうか?」
「わかりました。結構です」
こんなやり取りを繰り返し、10分位してようやく開放された。開放されても、バックパックから出されたものをもう一度荷造りをしなければならないので、これまた一苦労である。荷造りを済まし、チェックインカウンターに出向きエアチケットと交換する。
「預ける荷物はどれですか?」といわれ、
「このバックパックだけです。」というと、
「では、このタグに名前と住所を書いて、荷物につけて下さい。」といわれた。
細長い長方形のNORTH WESTのタグに住所等を記入し、受付のおばさんに渡したら、
「きゃあ、重い。お客様すいませんが、御自分でこの荷物をこのケースに入れてください。」といわれてしまった。そりゃそうだ、俺でさえこの荷物を持ち上げるには気合がいるのだ。

 くそ重い荷物がなくなり、せいせいしたと思ったら腹が減ってきたので、昼飯を食うことにした。何を食べようか、空港内のレストラン街をうろちょろしてたら、青いチャイナドレスに身をまとった、きれいな姉ちゃんが「こちらへどうぞ。席もあいてますよ。」というので、そのままふらふらとつられて中華レストランに入ってしまった。店員は全てチャイナドレスに身をまとった女性でおばちゃんからおねえちゃんと幅が広い。スリットから見える太ももがなんともいえず艶かしい。
「太ももはいい!」と思わずオヤジ的に考えてしまった。

 ここで坦々麺を注文したがはっきりいってまずかった。まずかったけど、全部食ってしまった。このあと食後の一服をし艶かしい太ももを充分に堪能しながらこの店を後にした。

 食後は売店で洗濯用洗剤と生水用の消毒液を購入し、再びターミナル内へ。出発まで後90分以上あるので、銀行で米ドル100ドルを換金した後、HPを見るため有料のインターネットでもみることにした。100円で10分みることができる。

 硬貨を入れようとしたら、隣に座ってた人が、
「ジャパニーズ?」といってきた。よくききとれなかったので、
「はっ?」というとまた
「ジャパニーズ?」といってくるから。
「はい、日本人です」と英語で答えると、彼は急に英語で、
「This address! This address!」と何回も繰り返し、彼が見ているヤフーのHPと彼がも
ってる大きな封筒を交互に指差して何度も、いってくる。よくよく話を聞いてみると、どうもこの封筒を送るために住所を検索してるようだ。ヤフーの検索欄には「AKITA RED CROSS HOSPITAL」と打ち込まれてる。「RED CROSS HOSPITAL?あ〜赤十字病院のことね。わかった調べてあげよう」というと、彼は200円を「バン」と私のPCの前に置き、これで調べてくれというのだ。しかし、このPC日本語がどうしてもインプットできない。英語でのインプットでは検索結果がでてこないのだ。困ってる彼に、「このパソコン、日本語がインプットできないよ。ちょっとまって誰かスタッフに聞いてみるから」と近くにいた、警備員らしき人に尋ねると、彼でもわからないようだ。インフォメーションセンターで確認してくれという。困ってる彼に「あそこのインフォメーションセンターで問い合わせてくれだって」というと、彼はとてもそわそわしてて、しきりに時計を見ている。しまいにはその封筒に自分の名前とE-MAILアドレスをかいて、
「あなたが送ってください、受取人はこの人宛で。送り先はこの病院です。送った後、このメールに連絡を下さい。」というや私にその封筒を押し付けようとしてくるので、
「ちょっと待て。俺もこれから海外へでかけるのだ。1ヶ月間日本に戻ってこない。
「ところで君のフライトは何時なんだ。」というと
「13:35です」というので時計をみると既に3分位過ぎている。
「まじか?もう過ぎてるよ。あきらめろ。君、韓国人だろ。韓国からでもこの封筒は送ることができるよ。そこから送った方がいいよ」といったら、KIM君はにこっと笑って、あわてて走って自分の乗る飛行機に向かっていった。韓国人とわかったのは、彼の名前に「KIM」と書いてあったからだ。住所さえ判明できれば、送ってあげても良かったが、住所がわからない以上こっちも送ってあげる保証もできない。ましてやこっちもこれから出発の身であるため、非常に申し訳ないが諦めてもらうことにした。彼はその後ちゃんと飛行機に乗れたのだろうか?なんだか気がかりである。フライトの時刻が迫ってきたので、ゲートに向かうことにした。まずは例の金属探知機のゲートをくぐらねばならない、ポケットからありとあらゆるものを取り出し、プラスチックのケースに入れX線検査のベルトコンベアに載せ、俺は探知機ゲート方へ。今までこの金属探知機ゲートを一回でパスした記憶がない。前回のニューヨークに行った時は、3回もくぐらされ、おまけに警棒みないな探知機でもチェックを受けてしまったのだ。そんな経験もしてるので、何だか緊張してしまう。ゲートをいざくぐると、ブザーもならず、一発OK.。
「お〜、やった〜」と心の中で喜んでると女性の係り員が
「すいません、お客様のバッグの中に、ライター等に使用するオイル缶みたいのがあるのですが、開けても宜しいでしょうか。」と言うではないか。
「あちゃ〜、しまった。ジッポ用のオイルだ。」と心の中でつぶやく。
「いいですよ。多分ジッポ用のオイルです。これは機内持込だめなんですか?」と本当は機内持込禁止を知りながらも知らない振りをして、しらじらしく答えた。係り員は、「はい。こちらは機内持ち込み禁止となっています。申し訳ありませんが没収という形になりますが。」
「構いません。こちらこそ勉強不足ですいませんでした。以後気を付けます。まあ、
向うでも購入することは出来るので」
「そうですか〜。向うでも売ってるんですね。それじゃあ、申し訳ありません。規則なので、こちらは航空会社の方で処分させていただく形になりますので、こちらの承諾書にサインを御願いします。」といわれ素直にサインをする。
「ちょっと待って、その前に…。」と言って、俺はジッポオイルを取り、ジッポの中
にそのオイルをたっぷり染み込ませた。これで1週間位は持つだろう。
「はい、すいませんでした」と言って係り員にジッポオイルを渡した。そんな女々しい行為をした俺をみて係り員は、
「本当にすいません。ご協力に感謝します。」とニコニコしながら頭を下げてきた。なんだか随分腰の低い係り員だと思った。見つかった瞬間は怒られるのかと思ったけど。ちなみに昔、海外に行った時飛行機の中にうっかりアーミーナイフを持ち込んでしまったことがある。デイパックの中に入れっぱなしで、X線にも引っかからず通ってしまったのだ。機内に入り、デイパックの中をガサコソと探し物をしてたら偶然でてきて、そのときは「ドキッ」としてしまった。 
 
 途中免税店により、ラッキーストライクのタバコを1カートン購入。カナダで買うタバコは高いのでここで買っておかないと。200本まで持ち込みの税金がかからないので。これで10日は持つだろう。購入直後、箱からバラしてデイパックに一気に詰め込んだ。

 長〜い通路を歩き、ようやく自分の乗るゲートが見えてきた。ゲート前はものすごい人でごった返している。出発まで少し時間があったので、タバコの吸い溜めをしていこうと喫煙ルームへ。入った途端、ものすごい煙だ。目がしょぼしょぼしてくるくらいの煙の量である。世の中喫煙者の肩身はますます狭くなってきている、海外にいったら尚更だ。タバコを吸わない方であったら、一瞬にして出てきたくなるだろう。それでも、喫煙者はこんな環境でも吸わなければならない厳しさ。とりあえず2本連続で吸ってしまった。もう当分吸えないのだ。

 再びゲート前へ。人が更にごった返している。当初14:30頃搭乗開始とアナウンスが告げられてたが、一向にそんな気配がない。航空会社のスタッフもしきりに、英語と日本語でなにかを説明しているがあまりの人の多さに良く聞こえない状態である。14:50頃ようやく飛行機に乗ることが出来た。搭乗口をすぎて、飛行機に乗るまでのほんの僅かの距離を歩いていくうちに再び心の奥底からテンションが高まりつつのを感じてきた。
「おお〜、いよいよカナダだ。」希望と不安を抱いて飛行機の中へ一歩一歩踏みしめて歩いていくのであった。

(NW008便 シアトル行き。いよいよ出発だ)


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