旅はなんといっても準備の段階から面白い。ガイドブックや旅行会社のパンフレットを眺めてるだけでもワクワクしてくるのである。まさに、旅先でラブラブカップルの人達が「きゃっ。きゃっ。」と騒いでいるのを凌駕するくらい、こっちは「うきうき、わくわく、どきどき、ルンルン」なのである。そんな訳で今回の旅日記も準備段階から語っていくことにしよう。
*チケット購入に一苦労*
今回の行き先はカナダ。期間は1ヶ月。カナダには過去2度ほど訪れている。ロッキーとナイアガラの滝である。どちらもピンポイント的な訪問なので、今回は1ヶ月あるから広大な大地を踏みしめてみたいという気持ちが強くあった。
当初は6月位に出発しようかと思ったが、今年はワールドカップの年でしかも開催国が日本と韓国である。日本もあれよあれよと予選を突破し新聞、テレビ等は連日ワールドカップの模様を映し出し、世の中ワールドカップ旋風が吹きあふれ、否が応でもテレビに釘付けとなってしまう。そんな状況の中ですっかり俺もワールドカップにはまり、「出発するのは、ワールドカップが終わってからでいいや」と思ってしまった。
予選は快進撃を遂げた日本も決勝リーグの1回戦で惜しくも敗れてしまい、それと同時に私のワールドカップ熱も多少冷めてきたのであった。「そろそろ、エアチケットを取らないと…。」そう思い。早速ネットでチケットの相場を調べてみると、成田〜バンクーバー直行便が7月上旬だと68千円位なので、「なかなか手ごろな値段だ」と思い、旅行会社へ電話をかけ確認してみると、「すいません。7月上旬は全て満席でキャンセル待ち状態です」との回答が。
「空いてる時期は何時位からでしょうか?」とたずねると。
「7月下旬くらいになります」といわれてしまった。
この頃だとチケットの料金もだいぶ値上がりし150千円位いってしまう。
何だかいきなり出鼻をくじかれた感じがして、憂鬱になってしまうのだ。もともと7月上旬ならまだ夏休み前だから大丈夫だろうと甘い認識でいたのも悪かった。その後何社か電話を掛けまくったが全て同じ回答である。お盆休み前後なら取れにくくなるのもわかるが、7月上旬で満席というのはどうも納得ができない。ある旅行会社に、
「例年この時期は混むのでしょうか?」と尋ねてみると
「いえ、例年この時期満席というのはおかしいんですよ。まあ今年はワールドカップが開催されてますけど、アメリカ人やカナダ人はサッカーなんかそんなに見ないし。不思議です。しかもJALが出してるJAL悟空ですらキャンセル待ちなんで。エアカナダのチケットでしたら割高ですけどありますよ。」と。値段を聞いたら倍近くしていた。成田〜バンクーバーの直行便はJALとエアカナダと全日空しかなく、便数もアメリカ西海岸行きに比べたら本数も少ない。取り合えず、エアカナダの便は滑りとめとして考えることとして、アメリカ経由のバンクーバー行きに焦点を絞る事とした。まずはバンクーバーから近い成田〜シアトルで行く事とした。
某大手格安旅行代理店のネットを検索し、値段をみてみると直行便にくらべて2万円位割高である。しかしこの際、2万円位ケチっても仕方ない。後ろにずれればずれるほど段々料金も値上がりしてくる。早速問い合わせの電話を掛ける。「すいません。いま御社のネットを見て電話をしてるのですが、成田〜シアトルのチケットを7月上旬あたりに出発を考えてるのですが席の方はありますでしょうか」
「大丈夫です。あと3席程空いてます。」
「シアトルからバンクーバーに行きたいのですけど。そちらの方は大丈夫でしょうか?」
「その件については確認してみないとわかりません。後ほどお電話いたしますが」
「わかりました。後は直接、出向いて確認します」といって電話を切ることにした。
電話で話すより直接代理店にいって話した方が楽だ。その場で即決したほうがいいと判断したからだ。
その日の午後に代理店に出向きもう一度確認する。しかしここでも次から次と問題が...。
店員:「行きは取れるんですが、帰りが満席です。」
B-Y:「じゃあ、1日ずらすとどうですか?」
店員:「成田〜シアトル間は大丈夫ですが、シアトル〜バンクーバーが満席です」
B-Y:「あらら。がくッ。NWでなくUAだと大丈夫でしょうか?」
店員:「わかりました。確認してみます」
こんなやりとりを延々3時間近くも続いてしまった。店員さんも7月上旬から1週間分位まとめて調べてくれればいいものをと思いながらもようやくエアチケットを購入することができた。7/7発〜8/7帰国である。やれやれと思いその場で海外旅行保険も申し込み旅行代理店を後にした。チケットは当日成田で発券。後日チケット引き換えのクーポンを郵送との事であった。冒頭で旅は準備段階から面白いと書いてしまったが、初めから憂鬱になってきた。チケット取るのにこんなに苦労するとは思わなかった。旅の準備は始まったばかりだが、ほっとしたせいもあってかどっと疲れがでてきた。
*どこに行こうか…*
エアチケットの獲得もようやく済み、出発まで1週間となってきた。その間、トラベラーズチェック、カナダ$キャッシュ、グレイハウンドのカナダパス、国際免許証など等、そうそう、国際免許証を申請しに免許センターに出かけたら、サッカー日本代表のGK川口選手がいたのにはビックリしてしまった。旅に必要な物も大方揃え終わったが、一つ重大な事が残っていたのだ。「何処に行くか?」旅に行くにあたって、最も重要なことである。カナダに行くのは決めたがカナダの何処に行くかがまだ絞り込まれてないのである。
ここ数年、国内旅行でも出発する3日位前に「えいやッ」と決めるパターンで来ていたのでそんな習性が染み付いてしまったのかもしれない。普通は旅に出る際、グランドキャニオンに行って見たいからアメリカに行こうとか、富良野に行ってみたいから北海道にいこうとか具体的な場所を決めてから行くものである。今回の旅も当初はイエローストーン国立公園とグランドティトン国立公園にいってみたいという気持ちで、アメリカを考えていたが、いろいろ計画を練っていくうちに様々な問題にぶちあたり、止めてしまったのだ。
そして次の候補にあがったのが「カナダ」である。暑いのが苦手な俺は安易に涼しい所がいいなと思いカナダに決めてしまったのだ。 「地球の歩き方」をペラペラとめくりながら「どこにいこうかな〜」と考えていても、なかなか決まらず、そうこうしているうちに残り1週間と迫ってきたのであった。もちろん行きたいところが無いというわけではない。興味のあるところは沢山あった。しかもカナダの国はとてつもなくでかい。1ヶ月という期間ではあまりにも短すぎる。しかも今回のカナダでの移動は全てバス。なので移動する際の効率性も要求されてくるのだ。様々な要因を考慮し、ようやくどこをまわるか絞り込むことができた。
ウォータートンレイク国立公園〜サスカトゥーン〜ホワイトホース〜ジャスパー(カナディアンロッキー)〜バンクーバー。他にも行きたいところはあったけど5ヶ所に絞り込んだ。あんまりビッシリスケジュールを組み込むと大変だし、へたすると移動ばかりになりかねない。どうせ、また現地に行くと気が変わって他のところにも行く可能性がでてくるのでスケジュールはかなり余裕を持たせた。最後のバンクーバーは10日間位滞在する予定でいたのだ。
目的地も決まりあとは、荷造りをするのみとなった。
*出発前に風邪を引く・・・*
出発の二日前、なんだか朝から体がだるい。風邪かもしれないので熱を測って見ると37.5℃の微熱だ。微熱といっても侮ってはならない。生活態度が誤れば、いっきに熱が上がるかもしれないのだ。熱が上がったら最後。思考能力も衰え旅事態が楽しめなくなるしへたすると旅行中止なんてこともでてくる。現に咳もひどくなってきている。
「あ〜、出発を前にしてなんたる事だ。風邪を引くなんて」とひとりつぶやいても仕方がない。もうこうなったらひたすら安静にして薬をのんで寝るしかないのだ。しかし、海外を旅する前に風邪をひくなんて、なんたる運の悪さ。日頃の行いが悪いのだろうか…。航空券もFIXだから変更のしようがない。
前日から、けだるい体を引きずって荷造りに入ることにした。今回は国立公園にも行くのでキャンプ道具を持っていく事とした。万が一宿が取れなかったことを考えて。7月ともなるとカナダはハイシーズンまっさかり、国立公園だと宿がとれない可能性もでかい。そんな時のためにどうしてもキャンプ道具は必要になってくる。国立公園内には必ず、キャンプ場があるので。
テント、シュラフ、テントマット、コンパクトストープ、コッヘル、着替え、レインウエアー、双眼鏡、アーミーナイフ、ガイドプック3冊、英会話手帳2冊、英和和英辞典1冊、カメラ2台、フィルム10本、3脚、薬、携帯用ラジオ、MDウオークマン、文庫本3冊、塩コショー、七味唐辛子、タオル、乾電池、ヘッドランプ、変圧器、洗面道具など等。これらの物を、次から次へとザックに放り込んでいく。当然、50リットルのフレームザックに収まるはずもなく、ザックに30リットルのストレージバッグをくくり付け、更にバイク用のネットで固定しその間にテントマットを押し込んだ。その他にウエストバッグと20リットルのデイパッグもあるのである。特に薬は風邪を引いてることもあり、総合感冒薬、咳止め、鼻炎用薬、解熱剤、ビオフェルミンなどなど大量に準備した。
<20KGを越す荷物。背負う時、あまりの重さで筋肉痛になってしまう>
荷造りも終了しあとは出発を待つのみである。風邪は治るのであろうか、幸先から出鼻をくじくよとだらけだが、はたしてちゃんといけるのだろうか。そんな不安をいだきながらも、やがて俺は爆睡してしまった。
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