初めてのキャンプ

 初めて行ったキャンプ。確か大学4年の10月だったと思う。今までは駅で野宿を行っていたが、今回の旅は、長野県の上高地へ2泊3日の自転車旅であったため、最寄り駅が全くない所。どうしてもテントが必要な訳だ。アウトドアに目覚めると何かと道具等の設備投資が必要になって来ます。非常に金がかかって仕方ない。私も旅に出るたびに少しづつキャンプ道具を揃えていきました。テントによく収容人員がかかれてますが、基本的に「1〜2人用」だったら。一人、「2〜3人用」だったら、2人用と考えたほうが無難です。収容能力一杯に入ったら大変です。確かに収容は可能ですが、寝たら身動きがとれずまさにタコ部屋状態となってストレスが溜まって仕方ありません。

 今回の旅は、新宿発の夜行列車に乗って、「贄川駅」で下車。自転車を組み立て、早速出発。上高地・乗鞍スーパー林道に入って、夕方頃乗鞍に到着。キャンプ場は夏期シーズンしかあいておらず閉鎖されてましたが、管理人さんに許可をもらい、早速テントの設営に入りました。組み立ては意外と簡単であっというまに出来上がり。やれやれと思い、ぼーっとたそがれてると、あっというまに日が暮れてしまいました。この日の夜食はラーメン&ライス。その名のごとく一つのコッヘルに一緒に混ぜてしまうのです。「ラーメン雑炊」と行ったほうがいいかな?結構美味です。単なるコッヘルを二つも使うと洗い物がめんどうなので。しかも、閉鎖されたキャンプ場は、トイレは使えるが炊事場の水道はとめられてるので、売店まで行かなければならない状況だったからです。

 夕食も終えると、何もやることがない。さっさと寝ようと思ったけど妙に落ち着かず寝付けませんでした。シーンと静まった雰囲気が、やけに不気味で、時折吹く風や落ち葉がテントにあたったりするとドキッとしてビビリまくりました。正直幽霊がでてもおかしくない雰囲気です。「熊はでるのかな?」と考えたりするとなかなか寝付けず。テントの中にある食料を外に持っていったりと。心の中で「あー、キャンプなんかするんじゃなかった」と何度も思いました。自転車で旅したので肉体的には疲労困憊だったので、ようやく睡魔が襲ってきたので、一旦トイレに行こうと外にでたら、星空が一杯で感動しました。オリオン座が見えたので「もう冬の季節なんだな」とふと思い、だけど信州の夜はとても寒いので早々とテントに戻り爆睡状態に...。


 夜中の2〜3時ころだろうか?もの凄い寒さを感じ急に目が覚めてしまいました。起きるとますます寒さを感じ、「何だこの寒さは、異常だぞ!」はっきり言って信州の秋の夜をなめてた感じでした。今回の旅はTシャツ、パーカー、ウインドブレーカー位しか持ってきてない。しかも寝袋はスリーシーズン。歯がガチガチと鳴るくらいの寒さ「このままだと凍死してしまう」と本気で思いました。試しにヘッドランプを持って外に出てみると、一面が霜に覆われてる、自転車のサドルも真っ白。着込むものがないので、サイドバッグから新聞紙を取り出し、体に巻きつけて寝袋にもぐりこみ、頭も寝袋の紐を利用して、完全にミイラ状態にしたら、熱が逃げなくなったせいかようやく暖かくなってきました。


「助かったー」とほっとしたら再び睡魔が。考えてみたら、最初に寝てた状態は胸のところまでしか寝袋に入っておらず、このため保温機能が働かなかったため寒さで目が覚めてしまったようです。夏ならこのようなスタイルで大丈夫だけど、さすがに寒い季節はスッポリはいらなければと身をていして学習させられました。

 
 翌朝、寝不足気味で、ようやく起きだし、テントからでると、とてもすがすがしい朝でした。ものすごい透き通った青空。しかも紅葉の色ととてもマッチングして感動してしまいました。夕べは確かに怖かったり寒かったりと散々でしたが、キャンプの朝がこんなに気分がいいものとはと実際に経験したひとにしか得られない気分でした。また、こんな時に飲む朝の紅茶がめちゃうまく感じました。


 出発の朝、管理人の人に「夕べは寒くなかったかい?」といわれた。「死ぬほど寒かったです」と正直に答えた。生まれて初めてのキャンプが、閉鎖されたキャンプ場、氷点下、などなど、最初に行う状況では、少々辛かったですが、今思うと翌朝の透き通った青空がなかったら、多分続かなかったことでしょう。そんな訳で、今でもキャンプをしてて、一番幸せを感じるのは朝です。(雨の場合だと、一番憂鬱になりますが)