ライブハウス BAR ぽち

 今日、引越しの準備をしてたら、写真が3枚ほど出てきた。よくみてると、俺が寮のラウンジでギターを弾いてる写真と先輩達と飲んでる写真があるではないか。あまりの懐かしさに思わず引越しの準備の手を休め写真を見入ってしまった。その写真の光景はBAR ぽちであったのだ。


 BAR ぽちとは、会社の独身寮の2Fにラウンジというスペースがあり、そこにカウンターがついていたのだ、当時の寮長がこのカウンターを利用して飲もうということで何人かが集まり始まった飲み会である。オーナーは私の同期であった通称ぽちくん。彼はカクテルを作るシェイカーを持っていたので文句なし状態で抜擢され、私はつまみを作るコック兼ギターの演奏担当であった。たいていこの催しは月1〜2回程、寮長の「今週の金曜日はBAR ぽちだ!」の声で始まり、寮の玄関にホワイトボードがあったので、当日仕事が終わるとホワイトボードに「BAR ぽち 本日OPEN」と書き込むのである。酒とつまみは参加する各人が各々持ち込むことが原則。カウンターにはバーボン、ウイスキー、カクテル用のリキュール類がずらりと並び、さらにムードを出す為にラウンジの照明をライトダウンさせ、BGM用のCDラジカセからはカントリーミュージックを流していたのである。看板はA4の紙に「BAR ぽち」とかいて、ラウンジの入り口に貼って置くのである。当時はスタッフも入れて5人くらいで行ってました。たまに海外からきてた外人も交えてインターナショナルなBARにも変身し盛り上がりを見せてた事もあった。


 一番盛り上がったのが、新卒新人達が入寮し、翌日寮で恒例の歓迎会を開く前日の日であった、約10名の新人全員がBAR ぽちに来店したので店は火の車状態、終いには面倒くさくなりそれぞれがセルフサービスとなってきました。やがて、どこかで飲んできて既に出来上がった先輩2名が乱入し、「エロビデオ誰かもってこい!今日はビデオの鑑賞会だ」といったものだからもう大変、気品あるBAR ぽちはビデオ喫茶に様変わりし、あとはよっぱらいの大集団となってしまった。夜中の3時になっても、勢いはおとろえず、騒ぎはおさまらず。業を煮やした寮監が「君達何をこんな時間まで騒いでるんだ。明日は歓迎会だから、そのときに騒ぎなさい」と怒鳴られてしまったのである。そのときオーナーのぽちくんが「今日は前夜祭です」と一言寮監に向かって投げかけた言葉には笑いをこらえるしかなかった。