月光...。

 旅に出てて、夜月の光に黄昏る時がある。特に満月の時、月光は最高潮に明るくなる。この光に照らさせる光景は、日中照らされる太陽の光とは違って、とても神秘的な世界に浸ってしまうのである。


 初めてこの光景に目覚めてしまったのが、アメリカを旅したときだ。宿代を浮かす為に夜行バスに乗り込み、ラスベガス〜フラッグスタッフ間を移動する際、何気に車窓の景色を眺めると、荒野の中に青白い光にてらされてる光景が...。「すごい!」と一人つぶやいてしまった。文章には表現できないほどの神秘的な光景の中をひたすらバスが走っているのである。こんな時はBGMが必要とザックの中から、ソルトレイクシティのCD屋で買ったカントリーミュジックのカセットDAN SEALSの「BIG FEELDS MOON LIGHT」を取り出し、ひたすら黄昏てしまった。今でもこの曲を聴くと当時の光景を思い出してしまいます。

 
  次に思い出があるのが長野県の上高地。MTBで3回目の旅だったが、キャンプをしていて、トイレで目が覚め、用を足したときの帰りだった。キャンプ場はカラマツ林であまり景色が見えないが、ちょっと夜の上高地はどんなもんかと河童橋までいってみると、懐中電灯が要らないほど月の光に照らされて明るい。そして目の前は壮大な穂高の山々が月の光に照らされてそびえたってる光景はまさに筆舌に尽くせないほどであった。あたりはシーンと静まりかえり、聞こえるのは梓川の川の音のみ。ちなみにここの小梨平キャンプ場は登山をする人がほとんどであるため。夜9:00以降になるとみん寝床についてしまう為。ものすごい静かである。枯れ枝を踏みつけてしまう音にも気を使うくらいだ。


 最後に印象に残ってる所が、福島県の奥只見にあるとあるダムのほとり。このときはバイクで行ったのだが、出発する時間が遅かった為、日もどっぷり暮れ、暗い中野宿する場所を探していた所、ヘルメットのゴーグル先から見えた光景に思わずバイクを止めてしまった。やはり青白い光に山々が照らされ更にダムの湖面に月が写り、極めつけは山の中腹あたりに所々雲が発生していたため、その雲が光に照らされて白くなってる部分と影の黒い部分のコントラストが神秘的な光景を更に強調していたのである。この時の光景は神秘的より、恐怖というのも感じてしまった。いかにもコウモリか何かが飛んできて、ドラキュラでも出てきそうな雰囲気である。妙に寒気が感じてきたので、さっさと野宿先を探そうとバイクにまたがると、休憩してた隣がお墓であたったので、ますます怖くなり逃げるようにして去っていきました。